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頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

高血圧の怪

2020-02-05 13:14:15 | メモ帳

最近、歩行速度が遅くなったので、血行不良が原因ではないかと考え、医師に相談したところ高血圧と診断され、降圧剤を服用するようになった。しかし、3カ月たっても一向に血圧が下がらないので、「薬が効かないから、飲むのをやめたい」と言ったところ、医師は「飲み続けなくてはいけません」と言う。

ちなみに、私の最高血圧は平均すれば150~160だが、130とか140のこともあり、バラツキがあるものの、大したことではないようにも思える。

では、血圧がいくら以上だと、高血圧なのか。「薬に頼らず血圧を下げる方法」(加藤雅俊著 アチーブメント出版)によれば、1960年代までは、基準値は「年齢プラス90」だった。しかし、その後年々基準値が下がり、今では後期高齢者の降圧目標は150(年齢が若ければ140)である。私の年齢は84歳だから、昔の基準値なら楽勝だが、現在の基準値ではアウトである。

錚々たる学者たちが半世紀も研究して、まだ基準値の結論が出ないというのは不思議だが、基準値が年々下がるのは、さらに不思議だ。変化する基準値に振り回される患者にとってみれば、釈然としない気分である。

厚生労働省の統計によれば、あらゆる疾病の患者数の第一位は高血圧性疾患の1,010万人で、第二位の歯肉炎および歯周疾患の331万人をはるかに引き離してのトップである。ちなみに第三位は糖尿病の316万人。

つまり、需要が最も多い薬は降圧剤であり、製薬会社から見れば、高血圧性疾患の患者が増えることが望ましい。そして、高血圧の基準値が年々下がっているから、それにつれて高血圧症の患者数も年々増えているはずで、製薬会社にとって理想的な状況になっている。換言すると、製薬会社は労せずして売上が伸びる状況にある。

この高血圧の基準値を決めているのは「日本高血圧学会」である。ひねくれた観方をすれば、“「日本高血圧学会」は製薬業界と結託して、もしくは忖度して、高血圧の基準値を年々下げているのではないか”、という疑いが生まれる(笑)。

その話はともかく、冒頭に述べたように、私が医師に相談したのは歩行速度・血行不良であって、それまでは血圧に関心はなかった。医師の指示で血圧測定器を購入し、毎日2回測定・記録しており、医師との面談ではその記録がテーマになる。その結果、医師は「降下剤を飲み続けなさい」と言っているわけだが、歩行速度・血行不良についてはなにも聞かれない。論点が高血圧にすり替わってしまった!!

ひねくれた観方をすれば、この医師の専門は高血圧症であり、その方向に患者を誘導しているのではないか。

何につけ、ひねくれた考えになるのは、年を取ったためなのか。嫌味な人間になったものだと反省している。


*(注)著者は薬剤師で、現在中外製薬で血圧関係の研究開発に携わっている。