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「奇跡にも近い私という生命」

2013年11月30日 18時59分25秒 | 色んな情報

「奇跡にも近い私という生命」
 ………………………………………………
 約30年前、
 産婦人科医院の一室で...
 母親学級を始めた助産婦の針間幹子氏。
「どんな母親のもとに生まれるかで、
 子どもの一生が決まる」
 という信念のもと、
 元気で賢く心優しい子を育てるための
 母親指導を行ってきた。

 子どもたちが授かった命を輝かせるために
 母親がすべきこととは――。
 ………………………………………………

 これはうちの末の娘が
 まだ小さかった頃の話です。
 魚の揚げ物を食卓に出したところ、
「いやじゃ、なんじゃ」と言って、
 食べようとしません。

 そこで私はこう言いました。
「このお魚かわいそうね。
 もしかしたらお母さんと一緒に
 お昼寝していたかもしれないし、
 お友達と一緒に遊んでいたかもしれない。
 それが運がいいのか悪いのか、
 漁師さんにすくわれて、
 お魚屋さんに並べられて、
 あなたに食べさせようとした
 お母ちゃんに買われて」

「ほんなら、かわいそうやから
 海に流しいや」
 と娘が言うので、

「そうね。
 でもあなたが遊びに出ていって、
 車にはねられたか何かで、
 死んでうちに帰ってきたら、
 お母ちゃん、どうする?」
 と問い掛けました。

「……泣くね」

「じゃあ、お魚のお母さんも泣くね」
 と言うと、
 娘は困った顔をして
 黙ってしまいました。

「だからね、このお魚に
“ごめんね、ありがとう”
 と言って食べてごらん。
 このお魚の命が
 あなたという人間の命に変わるのよ」
 そう教えた時、
 娘の目がきらっと輝き、
 以来好き嫌いを一切言わなくなりました。

 よく、
「子どもたちに命の大切さを教えたい」
 という声を聞きますが、
 自分の命は他の生物の
 命の上に成り立っていること、
 自分という命は奇跡にも近い確率で
 この世に誕生したことを
 教える以外にない、
 と私は思っています。

 約3億の精子と、
 200万個の原始卵胞から排卵された
 たった1つの卵子がめぐり合い、
 受精する。
 それがちゃんと着床し、
 流産もせず、
 堕胎もせずに生まれてきた――。
 何百億、何千億分の1の確率で
 自分という人間がこの世に
 誕生したと思う時、
 私は震えがくるほど感動し、
「選ばれた人生、頑張らなきゃ」
 と本気になります。

 ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・

 地元の小中学校や高校に呼ばれ、
 このような「生命の誕生」のお話をする
 機会もありますが、
 そのたびに子どもたちから
 こんな感想文が寄せられます。

「私が生まれてきたのは、
 東大に行くより
 倍率が高いと分かりました」

「両親が不仲で、
 つまらない人生だと思っていたけど、
 命にならなかった
 他の精子や卵子を考えると、
 僕はやらなきゃと思います」

 授かった命を
 精いっぱい輝かせて生きる。
 人にはそれぞれに
 あてがわれた環境があり、
 その中でどれだけ懸命に励むかという
 ことに尽きるのです。

 私は地方都市に住む
 1人の助産婦として、
 そして4人の子どもの母親として、
 精いっぱいできる限りのことを
 やって生きてきました。

 国家がどう、教育がどうといっても、
 人間がいなければ何も始まりません。
 いま子育てをしているお母さん、
 そしてこれから母になる
 若い女性の皆さん、

 あなたたちが
 産み育てる子どもたちが
 明日の日本をつくるのです。

 そう考えると、
 お母さんの仕事は
 一国の首相よりも任が重い。
 その自覚を強め、
 まずはお母さんが
 正しい知識をもって育児にあたること、
 そしてご自身がいまいる環境で
 精いっぱい命を燃やし、
 人生を輝かせてほしいと思います。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

「お母さん、
 あなたが産み育てる命が
 明日の日本をつくります」
 針間幹子(針間産婦人科医院)
             
『致知』2007年3月号
 特集「命の炎を燃やして生きる」より


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