◆穏やかな路傍の爺◆ ３７８１

『やあ、こんちわ、翁ですが、ハハハハ。暫くです、弘泰さん。この先の韓国総菜の店にキムチを買いに立ち寄って。稲架掛けが始まったね、旨い新米が食べられるわ。気候のせいなのか、今年はイチジクが出来が悪かったが柿の出来も悪いな、秋の味覚の柿と栗は食べたいわ。この間は義一さんに会って世間話を、先輩の皆さんが達者で負けそうだよ。俺は畑は遊休地、一応花木苑と言うことで、ハハハハ』

 『おや、お珍しい方が、同い年でも翁さんは若いわ。気持の持ち方の違いかな、ハハハハ。田圃があるから作るが、家で食べるだけだから、のんびりと百姓だ。・・・・郵便局長が来たかさ？、そう「見守りサービス」の勧誘だよ、俺も婆さんと二人だから申し込もうと思って。・・・・相変わらずに奧さんと温泉にでかけているかね？、そうかね、奧さんが体調を崩した話は薄々耳にしたが、遠出はもう無理かね？』

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 『局長は来たわ、一応話は聞いたが、見回りが月１だそうで、ならば申し込みした家庭には、郵便配達員が郵便物を手渡しするとか、ハハハハ。・・・・野菜などもそうだが、病害虫に強い品種改良の米も、どうも“こく”がないわ。食料も過保護が旨くないよ。勘さんから聞いたが、詩吟の会が解散をしたらしいね、どうも趣味を持たない人が多くなっているとか。婆さんは病院通いで温泉は無理だわ、ハハハハ』

 『翁さんの趣味はゴルフのようだが、メンバーが全員８０を過ぎだが元気だな、コースでは山坂を６，７キロ歩くそうで、ハハハハ。俺は県が地勢に適した品種の銘柄米をここ数年作っているが、格別に旨いとは思わないよ。米は作付けをする水、新潟や東北などは、ミネラルをたっぷり含んだ雪解け水、この辺りは雪には無縁、それよりも未だに山にはセシウムだものな。・・・・今度そっちにも遊びに行くからね』

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  あとがき＝＝そこここに、徒然なるままに暮らす知己が、中なる者と思いながらだわ、ガハハハ＝＝放念の翁