ONE DAY: RYOKAN's Diary III

誰にだって訪れるさ どうしたって悪い日は 地雷と番犬と腰に機関銃 ドイツ製でもダメでしょう

縦縞とマルーンの融合

2006-06-02 21:30:19 | ニュース
なんか、こういう形で阪急阪神の経営統合があっさり決まっていくことになろうとは思わなかった。うーむ、結局は阪神サイドが株式に関して無防備すぎただけの話だったと思うんだが。同様の指摘はオリエンタルランドを関連会社に持っていた京成にも以前からあったが、たしか京成は既にオリエンタルランドの持株比率を下げたりして敵対買収に対する防衛策を済ませた筈。建設中の空港新アクセス鉄道のこともあるし、将来的には持株会社に京成・新京成北総がぶら下がるような形態になっていくのかもしれないけど。

で、阪急と阪神の経営統合のメリットっていったい何処なんだろうと、やっぱり思ってしまうのも確かで。統合相手が(路線が阪神と競合しない)京阪だったら分からないでもないのだが、阪急+阪神となると梅田再開発にしても両者の保有するエリアが微妙な距離だし、どちらかというと神戸方面で何かあるのかもなぁ。神戸では阪急・阪神が第3セクター(持分の関係で阪急グループ会社になる)の神戸高速に乗り入れて線路が繋がっており、線路幅は違うが阪急傘下の神戸電鉄もある。やはり神戸高速を介して繋がっているが現在は阪神のみが相互乗り入れを行っている山陽電鉄までも巻きこんだ再編になりうるのかどうか。
 また、神戸高速に乗り入れる関係から現在の阪神・阪急の車両のサイズはほとんど同じであり、経営統合されると今後は外観のカラーリングはともかく車体そのものや電装部品は共通化されていくのかもしれない(阪神の各停専用車、いわゆる青胴車は高加速度など特殊設定なので別だろうが)。阪神電車なのに中身は阪急風の木目調内装に濃緑のシート、ということが起きるのかどうか。

阪急は沿線を宅地開発・分譲しながら発展させていった(結果的に高級住宅地を沿線に持った)り、休日の輸送量確保対策として沿線の遊園地や百貨店、文化事業を手掛けるなど、日本の大手民鉄で一般的になっている手法のほとんどを最初にやった会社で、特に首都圏の民鉄でいうと東急とよく似ている印象があるのだけど、それも当然の話で、東急の五島慶太が事業展開として最も参考にしたのが阪急の小林一三が生み出したビジネスモデルだったという。田園調布や多摩田園都市の開発、映画会社の立ち上げ(その後東映は東急グループを離脱したが)などは阪急にかなり影響を受けている。ま、今では阪急も東急も遊園地については一切手放してしまったが。
 阪急を東急に例えるなら、近鉄はグループ事業の展開規模の大きさで西武、または路線規模で東武ということになるだろうか。京阪は小田急(長大な緩急分離の複々線を持ち、系列子会社の鉄道が古都や山岳路線を走るなど意外に共通点が多い。どちらも阪急・東急に一度吸収され戦後また独立した歴史もあるし)南海は京成(参詣者輸送から現在は国際空港アクセスへ)が似ているかな。となると、それぞれ阪急・東急と真っ向から競合する路線という点から阪神は京急になるかなぁ。どちらも元は路面電車が出発点であり、駅間が短く高加速性能の各停専用車両ジェットカーを持つ阪神と、アップダウンと曲線の続く路線を120km/hで爆走するジェットコースター京急と(笑)…うーん、似てるか? (笑) 決定的に違うのは京急が空港輸送という側面を持つのに対して、阪神は鉄道の方がタイガースや阪神百貨店の関連会社のような扱いにされかねないことか(汗)

現在、関西では18m3扉・アルミ車体の全面塗装、関東では20m4扉・ステンレス車体に無塗装というのが主流だが、これもそれぞれ阪急・東急とそのグループ企業(アルナ工機・東急車輌)が最初に積極的に導入して定着したものだ。関西では近鉄・南海のように20m4扉車を採用する会社もあるが、近鉄はアルミ車体を全面塗装しているし南海も一時はステンレス車体を全面塗装していた。
 逆に関東で18m3扉が主体なのは地下鉄乗り入れの関係で京成と京急だが、京成はステンレス車体、最近の新型車で日立製アルミ車体を採用している西武・東武は無塗装だし、いまや関東の大手民鉄で全面塗装車体なのは京急だけ。ここはパスネット加入前に独自展開したストアードフェア(ルトランカード)もパスネットやイオカードなどと同じ基本システムでなく何故か関西の「スルっとKANSAI」と同じシステム(元は阪急のラガールカードが出発点)を採用していたし、技術的な面でやたら独自色が強いのだが。

阪神は車体サイズこそ阪急・京阪・山陽と同じ18m3扉だがアルミ車体は一両もない。これは阪神が系列子会社の武庫川車両(今はない)で大半の車両を製造してきたことにも関係があり、現在あるステンレス車も震災直後の緊急時にメーカーの川崎重工で空いていた生産ラインがステンレス車用だったから、ということで非常的な措置だった。このため最新型車両は普通鋼製に戻ったが、その後に武庫川車両が解散したので今後の西大阪線延長開業・近鉄乗り入れ時の新車などはメーカー発注になるのは間違いないところ。
 一方の阪急も系列のアルナ工機が一般電車車両の製造をやめ(阪急車両の改造更新工事は請け負う)基本的に路面電車専業メーカー(アルナ車両)となったため、新車の製造はFSW(摩擦攪拌接合)というきわめて加工精度の高い工法で一躍アルミ車体のトップメーカーになった日立で行うようになっており、今後は阪神の車両も日立製アルミ車体になるのかもしれない。