ビッグ3が反対 高まる保護主義
野田首相(左)がTPP交渉への参加方針を表明した日米首脳会談。米国との事前協議では自動車市場などを巡る議論の難航も予想される(昨年11月、ホノルルで)
日本の環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加に向けた日米の事前協議が7日、ワシントンで始まる。(井岡秀行、ワシントン 岡田章裕)
米国内では自動車業界などから、この機会に日本の市場開放を求める声が噴出している。日本は自動車問題などを事前協議から切り離したい考えだが、日米協議が日本のTPP交渉参加に向けた最大のハードルとなりそうだ。
条件付き
7日の協議で米国は、TPPが目指す関税の原則撤廃などに、日本がどれだけ応える準備があるのかなどを見極めるとみられる。協議は7日に続き、21、22日にも行う予定だ。
外務省によると、米国が日本との事前協議を前に行った米国内の意見公募では、日本のTPP交渉参加に9割近くが賛成した。
しかし、賛成意見にも「すべての(日本の)障壁を議論すべきだ」(全米商工会議所)と、日本の一層の市場開放を望む姿勢が目立つ。生命保険業界は、日本郵政グループのかんぽ生命保険に対する「特権を与えない」ことを求めた。食肉協会は、米国産牛肉の輸入緩和につながる「国際基準の順守」を賛成の前提としている。
最難関は自動車
米国で日本の交渉参加に最も強硬に反対しているのが、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーの米自動車大手3社で組織する米自動車政策会議だ。
当初は日本独自の軽自動車規格の撤廃さえ要求した。さすがに「日本世論の反発と、米国内で支持が広がらないことに配慮した」(通商筋)ためか、同会議のホームページからは削除されたが、まだ態度は硬い。日本の自動車の技術基準や認証制度などの規制が「国際標準と異なり、日本への輸出には大きなコストがかかる」などと主張し、日本のTPP交渉参加に反対している。
ただ、自動車やかんぽ生命などは、TPP交渉とは別に長年の日米間の懸案事項だ。日本政府は、こうした問題はTPPと切り離して協議する方向で理解を得たい考えで、7日に米政府の反応を探る。しかし、最終的には米議会の了承を取る必要があり、反応が注目される。
米国内では11月の米大統領選を控え、保護主義的な機運がじわりと高まっていることも懸念材料だ。
製造業を中心とする労働組合は与党・民主党の最も重要な支持基盤。オバマ米大統領も1月の一般教書演説で、不公平な通商問題を監視する通商執行機関の新設を打ち出すなど、製造業を保護する姿勢を鮮明にしている。
国内にも異論
日本政府は米国と並行して、豪州などとも事前協議を急ぐ。9~10日にマレーシアとシンガポール、21~23日に豪州とニュージーランドに代表団を派遣する予定だ。これにより1月から始めた9か国との事前協議が一巡する。
一方、TPP参加に向けた日本国内の意見集約は進んでいない。政府は今月中旬から、各地でTPPに関する説明会を実施する。米国などとの交渉を有利に運ぶためにも、国内での迅速な意見集約と、国民への丁寧な説明が求められる。
(2012年2月7日
読売新聞)
関連ニュース
・「ギリシャ、緊縮策抗議の一部国民が暴徒化 」:イザ!
・
「プラチナバンド」SBが最有力に
・「インドネシアのファストフード、ご飯は必需品」:イザ!
・ワックス脱毛 大阪