■ ドンマイ、リーセ |
◆ 違和感・・・
ロスタイムに痛恨のオウンゴールをしてしまったリーセ。
私自身は、意外とがっかりしてなかったりするのです。
試合の結果は、1-1のドローだったのですが、チームとして序盤の難しい時間帯を耐えて先制点を得た。
試合全体を通して見るとリバプールの方が優勢だったと思っています。(トーレスやジェラードのシュートなどチャンスはあった)
何よりもチェルシーのGKチェフの素晴らしいセーブ(やはり彼が第1GKであると改めて証明したとも言える)があり、リバプールはついてなかったとも思います。だから、全体的にはそれほど嫌な敗戦ではなかった。アウェイゴールを与えたという事実はあるが・・・むしろ気分的にはマンチェスターUに負けた時の方が悔しかった・・・(遠い目)
この「リバプール対チェルシー」の試合に関する他の方のブログやコメント欄なんかを読んだりしましたが・・・その中で
「リーセは、頭ではなく(右)足でクリアすべきだった」
という内容の記事やコメントなんか読んだ時、ちょっと違和感を感じました。
余談ですが、サッカー経験者であれば、誰しも感じたことあると思うのですが、最初ヘディングって意外と怖くないですか?!
特に、シュートであったり強烈な弾道だったりするとやっぱり人間の本能なのかびびってしまう。
ところが、ヘディングって慣れてくると意外と怖くもないし、上手く額のちょっと上辺りに当てると痛くない。
むしろその内、あの感覚が快感に変わってきたり・・・って俺だけ?(笑)
強烈な弾頭と言えば、バレンシアの監督を退任となったクーマンや現在ラッツィオのコーチであるミハイロビッチなど彼らの現役時代のFK、そしてフェネルバフチェのロベルト・カルロスのFKを至近距離で喰らったらきっと首取れるんじゃないかな?(笑)
冗談はさておき。
そこで、私の感じた違和感とリーセの判断について考えてみようと思っていました。
(だから、前回の記事で「この詳細は、別に記載」と書いたわけです)
◆ 検証ポイントと仮説
カルーのクロスからリーセのヘディングでのクリアの一連のプレー。時間にすれば1~2秒程度です。あのタイミングであのポジショニング及びリーセの体勢、そして、カルーの蹴ったボールの弾道などを考慮するとヘディングのクリアという判断自体に全く問題ないと思っています。ただ、ヘディングをミスった(苦笑)
まず、検証するにあたり幾つかポイントと仮説を挙げてみる。
1.カルーのクロスの質(軌道、速度など) 2.リーセの利き足、ポジショニング、重心など 3.リーセは、初めから頭でクリアするつもりでいたのではないか? |
1.カルーのクロスの質(軌道、速度など) |
◆ ボールの軌道 ・ゴール側に向かってくる軌道。 (下記の気持ち悪い画像参照) ・ドライブするような速い回転が掛かっている。 (動画参照) ・リーセに触れなかった場合は、直接ゴールインにはならない軌道。 ・見送った場合、アネルカがいたので決められた可能性は否定出来ない。 最後に、「リーセが触らなかったら・・・」という判断は、妥当ではない。 なぜなら、一般的にこのようなケースでDFが“見切る”ことはあり得ない。 |
◆ クロスからヘディングまでの時間 問題のシーンの動画をコマ送りで確認してみた。(1秒=24コマ) 以下がその内容。
つまり、カルーがクロスを上げてからリーセがヘディングするまでの時間は約1秒強(1秒9コマ)だった。 |
◆ カルーのクロスの速度 a) アンフィールドのピッチサイズ 101 m × 69 m (wikiより) b) 両選手の距離(但し、両選手の位置はおよその値) リーセの位置は、ピッチの中央(34.5m)よりやや右寄り カルーの位置は、タッチラインから約2mくらい カルーとリーセの距離は、32.5mとなる。計算し易いように32mとする。 c) カルーのクロスの速度:32(m)÷2(秒)=16m/s これを時速に変換すると 57.6km/h ※ 両選手の距離、一度クロスがワンバウンドする等、多少の誤差はご了承下さい。 |
ここで素朴な疑問。
野球などでも一度ワンバウンドしたボールが鋭い弾道でミットに収まることがある。この辺の空気抵抗、摩擦、回転、軌道、進入角などに詳しい超理系の方読んでいましたら教えてください。実は、他にも数ヶ月前に着手したあるネタがあるのですが、そこでもこういう超理系の疑問があります。ぜひ、ご協力よろしくお願いします。
2.リーセの利き足、ポジショニング、重心など |
◆ リーセの利き足 リーセの利き足は、左である。(確か右でも蹴れたと思ったが) ■ 利き足について、少し・・・ 手と同じように足にも利き足というものが存在する。この利き手、利き足は、先天的なものなのか後天的なものか分からないが、多分、後天的なものだと思われる。小さい時に左で箸を持ったり、左でボールを投げたり、蹴ったりすれば、自然と左利きになる。また、何かの行為(動作)により右と左を使い分けている人もいる。 リーセが右足でクリアすれば良かったのではないか?という意見・発想の人の真意を考えてみる。 1.その人(発言者)が右利きなのではないか? 2.ボールの軌道などから右足(インサイド)で跳ね返すという判断(イメージ) この2つが考えれる。 前述の通り、リーセの利き足は左である。ということは、リーセにとっては右足のインサイドであのクロスをクリアするよりは、左足のアウトサイドでクリアする方が簡単だったかもしれない。 例えば、アジアカップ2004のオマーン戦での中村俊輔のシュート。 相手DFを交わして得意の左足、それもアウトサイドに掛けゴール隅に決まったシュート。 このボールの軌道は、右利きの人であれば、同じ軌道を右足のインサイドに掛けて決めれるシュート。(意外とトーレスはこういう軌道のシュート得意)しかし、中村俊輔にとっては、右足のインサイドを使うよりも左足のアウトサイドを使った方が何倍もゴールする確率が高かったのだろう。そして、実際にゴールを決めた。 次に、ボールの軌道などから右足(インサイド)で跳ね返す判断。これは、利き足に関係なく、あの局面でのプレーの選択肢としては正しい。正しいというのは、ボールを正確に跳ね返すことが出来るという問題。 例えば、この判断を誤ったのは、ご存知ドイツW杯「日本対クロアチア」の試合で柳沢が打ったシュートを思い出せば分かり易い。 右から来たボールを右足のアウトサイドで、まさに跳ね返すように蹴ってしまった。結果はご存知の通り(QBK) |
・・・話は戻る。
◆ リーセのポジショニング もう一つ、何度か見返して気づいたのは、リーセがクロスへの反応が一瞬遅れているように感じた。その理由は、アネルカをマークしていたから。つまり、ポジショニングの問題である。 1.クロスが上げられる前、リーセはアネルカをマークしていた。そして、彼のマーカーとしてのポジショニングには問題ない。 2.ボールとアネルカ両方同時に見ることは不可能な位置関係であった。 3.リーセは、ボールよりアネルカのマークすることの比重を多少大きくしていたと思われる。 4.クロスが上げられた後、リーセはアネルカのマークよりもボールをクリアすることへ判断を切り替えた。 まず、リーセはアネルカをマークしており、一瞬、アネルカの位置も確認する。 つまり、リーセのポジショニングは基本的にアネルカの支配下にあった。(アネルカに依存していた)そして、特に、一般的なDFとしてマークするポジショニングには問題がない。(アネルカより外にいれば問題だが) |
◆ リーセの重心と上体 実は、リーセの重心を見れば、あのシーンで足でクリア出来たか否かが分かる。 1.一瞬細かいステップを踏んだ後「右足、左足、右足」と重心を移動 2.ボールを右足でクリアするには、重心が左足の時でなければならない 3.最後の右足に重心が移動した時点では、すでにリーセがヘディングでクリアという判断を下した後だと思われる。 但し、足でクリアしようと思えばクリア出来るとは思う。その場合、足からボールの着地点飛び込んで上体が後ろに倒れたような形になる。そして重心は軸足から上体へと抜けていき身体は後方に倒れる。イメージ的には、日韓W杯でのベルギー戦での鈴木のゴールのような姿勢。 さらに、リーセはカルーのクロスに反応した時点で上体はやや前のめりになっている。 つまり、初期動作(上体)の時点で、足でクリアという判断はあり得ない。 |
3.リーセは、初めから頭でクリアするつもりでいた |
いくつかポイントを挙げて検証したきたが、そして、少なくとも「足でクリア出来なかった」というよりも「リーセは、初めから頭でクリアするつもりでいた」と思う。
初めからというのは、前述の通り、あの一瞬(約1秒強)の間に、カルーの速度57km/hのクロスボールが上げられ、さらに、ドライブの掛かったボールは一度バウンドしている。そして、リーセがクリア出来る(触れる)位置に動くには、彼のこれまでの経験により右足でもなく利き足の左でもなく、ヘディングでクリアしようという判断を下したのである。
そう、何よりも考えるべき最大のポイントは、経験である。
昨日今日ディフェンダーを始めた選手ではない。何百、何千というクロスボールをクリアしてきた選手である。一瞬の判断は、カルーのクロスの軌道・速度・落下点、自分のマーク・ポジショニング・状態などを一瞬で判断(勝手に身体が動いたという表現が正しいだろう)でヘディングでクリアしたのである。つまり、これまでの数多くの経験による判断だったのである。
「リーセは、頭ではなく(右)足でクリアすべきだった」という、ある種正当に思われる発言は正しいとは言えない。リーセのプレーの選択・判断には、少なくとも妥当性があった。しかし、唯一の問題点は、ヘディングを失敗したということである。それ以上でもそれ以下でもない。だから、オウンゴールとなった。
あえて書く必要ないと思いますけど、GKのレイナが飛び出すという意見もありましたが、論外です。
最後まで読んで下さって、ありがとうございます。
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リバプールにとっては運がなかったとしか言いようがありません。
リバプールへの愛を感じますw
しかも速度と秒単位で解析とは!
DFとFWの両方をやった事があるのでいつも思うのですが、
FWは1回や2回ぐらいならシュートを失敗しても笑って誤摩化せるのに、
DFやGKはワンミスで1失点に繋がって、即戦犯扱い…。
それでいてFWの方が給料高い。公平じゃないですよね(グチっぽいw)。
しかし確かに2人もマークしてて
クロスを上げられた事自体に問題もありますね。
いや、カルーを誉めるべきか?。
なんにせよ、得点が一人の力だけでは出来ないのと同じで
失点というのも一人だけの責任じゃありませんよ。
ミスしたことは反省点ではありますが。
言われているように足でクリアしに行った場合、アネルカが黙ってみているはずはなかったでしょう。
つまり、リーセに突っ込んで、ごっつぁんになったかもしれない。
それでリーセはアネルカがボールを触りに着たらファールを取れるような体勢、前のめりになってのヘディングクリアを選択したのでしょう。
ともあれ、ラファ監督は最近リーセを出場させなさすぎだと思います(苦笑
トーレスの調子が良い今、きっとアウェーで勝ってくれますよ。
僕たちはユルネバの練習をしておきましょう。
こんばんは、はじめまして。
サッカーってそういう運・不運みたいなものがあるからこそ楽しいと思いますね。
話題性と着眼点が両立して、なにより分析内容が愉快でした。リーセ一人を戦犯としない事を納得させる、
「イギリス全土が涙!」
の一筆。
いや、まじめにクロスのスピードから始まる球質の検証、プーレーヤー心理分析と結果への流れは見事の一言です。
横溝正史の小説を読むように一見つじつまの合わない動機と犯行を、天才的閃きで意外な犯人を探り当ててしまう金田一耕介の推理を彷彿させました。いずれも試合(全ての犯行)が済んでしまってからの焦燥感まで似ております。笑
レッズの「一年に一度」は
05 CLの決勝
06 FAカップの決勝
07 CL準決勝
の近代ガチンコ三大勝負、延長PKが特徴だそうです。只これやると、ガス切れで次負けてしまうのだそうです。確かにブースター全開状態に似た、一回こっきりの代物ですね。
こんばんは。
ご指摘の部分、私もそう思います。
今回は、2ndのプレビューで書こうと思っているので割愛しました。
こんばんは。
速度とかは、ちょっと実験的かつ面白半分でやってみただけです^^
クロスが速い、速いっても実際にどんくらいの速度かは分からないのでピンとこないと思うんでね。
リーセは、週末、そして来週の2ndにも出して欲しいと思っています。アンフィールドのサポーターはきちんとサポートしてくれると思いますし、この逆境を逆に勢いに変えるきっかけになって欲しいものです。
こんばんは。
私も最近ちょっとリーセ出ないなぁとは思っていました。
ただ、アウレリオが今シーズン絶望らしいので、必然的にリーセが左SBになると思うので、頑張って欲しいものです。
こんばんは、お褒めいただき光栄です。
いつもとは違い検証及びアプローチに時間掛かった。文章を書く行為自体はそうでもなかったんですけどね。
犬神家みたいなオチではなかったですが(笑)
なるほど、ブースターね…
バルサvsユナイテッドはスコアレスドローだったようなので、モスクワの舞台までブースターを温存出来ればと思いますね。出来るなら相手は・・・いわずもがなですがユナイテッド!