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セットプレーに関する一考察

2008年04月07日 | 考察集
■ セットプレーについて

◆ セットプレーという特殊性と重要性
ここ数試合のリバプールの失点を見ると、セットプレー(FK、CK)からの失点が目立つ。
特に気になったのが、リーグ戦のマンチェスターU戦、アーセナル戦、チャンピオンスリーグ準々決勝1st legのアーセナル戦。
リバプールは、これらの試合でセットプレーからの失点を許した。(ユナイテッド戦は2点目がCKからの失点)

以前から何度か書いているが、リバプールはセットプレー時でもゾーンディフェンスで守るわりと珍しいチームである。
しかし、セットプレーの場合であっても、チーム戦術としてのマンツーマンディフェンスとゾーンディフェンスとその特徴は大きく変わらないと思う。相手選手を捉えるマンツーマンと各選手がゾーンを受け持ち守るゾーン。

しかし、決定的に違うのがセットプレーという特殊な状況である。

サッカーは常に攻守が入れ替わる競技であり、ファウル行為、タッチラインやゴールラインを割るなどしない限り試合は止まることはない。しかし、セットプレー時だけは、(スローイン、ゴールキック除き)唯一試合が止まる瞬間である。
そして、攻撃側と守備側が明確に分かれる。例えるならセットプレーでボールをセットしてから蹴るまでの間は、ボールポゼッション率100%である(笑) ボールにチェックに行けない守備側のチームは、プレースキッカーに精神的にも行動的にもプレッシャーを掛けることしか出来ないし、ゴール前では当然激しいポジション争いが行われる。

さらに、相手ゴールに近い位置でのセットプレーとなると得点のチャンスが高くなるとされている。

また、近年W杯やCLのような舞台で勝ち上がる為には、チームとして強固な守備力が必要とされ、流れの中からゴールが決まりにくくなっている。こういう状況下においてセットプレーの重要性は非常に高くなっている。

余談だが、幸いこれまでの日本代表はプレースキッカーにはわりと恵まれてきた国であると思う。現在、日本人で最高のプレースキッカーは中村俊輔であることに疑いの余地はないが、今後もこの系譜は受け継いでもらいたいものである。

■ セットプレー時の守備陣形の類型

一般的にセットプレー時の守備は次の3通りに分類される。
以下、便宜上FK、CKを蹴るチームを攻撃側。それに対応するチームを守備側と表記し進めていく。
 1.完全なマンツーマンディフェンス
 2.完全なゾーンディフェンス
 3.マンツーマンとゾーンの混成

適当な表現が見つからなかったので「マンツーマンとゾーンの混成」としているが、この辺は後ほどの説明で理解して頂けると思う。また、完全なゾーンと言ってもケースバイケースで、チームによってその運用は異なる。例えば、相手チームにヘディングが強烈な選手がいればそこをマンツーマンにしたり、FKの位置次第ではゾーンにしたりするなど・・・

ちなみに、リバプールの場合は、基本的に「完全なゾーンディフェンスに近い」と考えてよい。(詳細は後述)
また、最近まで気にも留めなかったが、アーセナルもセットプレー時にゾーンディフェンスを採用しているみたいだ。

余談だが、どっかのリーグにおいてセットプレー(FK、CK、ロングスローなど)によるゴール数がそのリーグの総得点のどれくらいなのでしょうか?その割合について調査出来れば、セットプレーの重要性・有効性は一つのデータとして証明出来るんでしょうけど・・・(一度調べてみようかなぁ~)

■ セットプレー時の守備側のポイント

リバプールのCK時の守備陣形 ~アーセナル戦より~1.マンツーマンディフェンス
攻撃側の選手に対して1対1でマークする。
マーカーの決定及び対応がきちんと出来れば、能力差やフリー選手に決められる危険性が低い。(ゾーンの場合はミスマッチが発生し得る)しかし、トリックプレーなどにやられ易い。例えば、バスケットボールでも使われるスクリーン・ディフェンスのように相手選手をブロックしてフリーの選手を作るなど。

2.ゾーンディフェンス
ゴールエリア付近に3~4人でゾーンを形成する。(この時、リバプールなどは、ゴールから離れた相手にはマンツーマン気味に対応)
さらに、セットプレーの位置によりこのゾーンの位置・配置は異なる。

相手の動き・ポジショニングに大きく依存しないので、侵入してきた相手選手及び蹴られたボール(ゾーンに入って来たボール)に対して各ゾーンの担当者が責任を持って対応する。但し、ミスマッチも発生し得る。
また、前述のトリックプレーなどにやられ難い。しかし、マークの受け渡しが難しくゾーンを捨てる瞬間であったりと一瞬の判断が要求される。

3.CK時の初期設定
一般的に、守備側のチームにはセットプレーの初期設定が存在する(便宜上こう表現)。ポイントは以下の3つ・・・
 1.ゴールポスト (ニア、ファーサイド)
  ※チームによってはファー・ポストに選手を配置しないケースなど色々と異なる(右図参照)
 2.ペナルティスポット周辺に一人
 3・CKが蹴られるサイドに一人

その後、マンツーマン、ゾーンのどちらを採用しているかによって全体の配置が変わってくるが、この3点に関しては、これはマンツーマンでもゾーンでも大差はなく用いられている。

FKの場合 一般的には、壁を形成することは万国共通であるが、それ以外はFKの位置など様々な条件により対応の仕方が異なる。

■ セットプレー時の攻撃側のポイント

1.プレース・キッカーの能力
一般的にはキッカーは各チームごとに決まっている。
FK、CKでは相手のプレースキッカーの能力が結果(得点)に大きく反映される。端的な例を挙げれば、ベッカムのプレースキックと一般的なキッカーとではボールの質(軌道・速度など)が異なり、大きな差となり得る。
つまり、試合中の動きの中でも良質のパスを配給できる選手が止まっているボールをチーム及び自分の狙い通り蹴れる状況は、守備側のチームは、それだけ失点する脅威にさらされることになる。

2.高さという武器
セットプレー時(特にCK)、攻撃側のチームのDFがゴール前に移動してくる。これは純粋にDF(CBなど)は身長が高くヘディングによるゴールが決まる可能性が高いからである。例えば、日本代表の試合における中澤のCK時のゴール数は歴代CBの中でもかなり上位のような気がする。まぁ単なる印象かもしれないが・・・この辺は詳しいデータが欲しいところだが(誰か知らないっすか?)→ こんなの見つけました。「サッカー歴代日本代表選手・ゴール数ランキング」
中澤ランキング入りしていました。(14位 9ゴール 4/12付)

さらに、試合中は、ボールを保持する攻撃側のFWが、守備側のCBに対して“高さ対スピード”のようなミスマッチを作り出せるが、セットプレー時には守備側(マンツーマン)がマーカー決定時にミス等(守備側のバルサが、メッシにリオ・フォーディナントのマークをさせる・笑)をしない限りミスマッチを作り出せない。但し、マンツーマンでも前述のトリックプレーなどでは変化を作れたりもするが・・・

3.戦術
セットプレーは、相手チームの特性をスカウティングすることにより色々と研究が出来る。それを参考にしてチームとして複数の有効なオプションを持つことが可能である。
例えば、個人的にW杯をこれまで見てきたなかで最も印象に残っているのが、アメリカW杯、「スウェーデン対ルーマニア」でブローリン(スウェーデン)が決めたセットプレー(トリックプレー)である。

さらに、アーセナルのようにショートコーナーを使ったり、チームとしてニア、ファーサイドと蹴り分けたり、また、グラウンダーの早いボールを入れたりと色々と変化をつけたりと、プレースキッカーの能力だけに依存することなく色々な工夫を凝らすことが可能である。

長くなったので、今回はこれにて・・・次回は、当初のテーマであったリバプールの失点について考えてみる。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (シャンク)
2008-04-08 08:31:07
ザルっぽさを丸裸にしてしまいましたね。確かにレッズはひどいですし、完全にどこか狙われてます。それに改善の傾向がみられません。

ちょっといい数字見つけました、某週刊海外サッカー雑誌の記事です。5敗4敗4敗2敗と、ベニテスの対ビッグ3戦績は年々上がっていますよ!
今年は2敗4分で飛躍のシーズンでした。
返信する
コメントのお返事 (コージ)
2008-04-08 17:24:00
シャンクさん

こんばんは。
一応、私なりにリバプールのセットプレーの問題点を分析してみました。ビッグクラブのデータですけど、勝ってないってのが悲しい(苦笑)
そういう意味でも、今夜(明朝)の試合は勝利すべきだと思いますし攻撃的に行くべきだとも思っています。
返信する
揺さぶり (CSKA352)
2009-06-14 23:26:41
写真だとファーに人をおいてないですね。このほうがラインコントロールはしやすいでしょうね。
ゾーンDFの基本はボールサイドのプレスとゴールのカバーだと思いますし。
ただ、ワイドに揺さぶられたりするとゾーンが分散してやられやすくなりますね。

CSKAに惚れたのははトリックプレーのバリエーションですね。UEFA杯取った年のアウェイのベンフィカ戦でのイグナシェーヴィチはしびれました。
他にもすらして受けたジルコフがドリブルシュートとか、映像が見つかったらリンクしたいですけど大変そうです。
CSKAの映像はzipファイル解凍したりしてみてましたから。
ブロヒンのゴールもみごとですね。
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