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『アンチヴァイラル』 (2012) / アメリカ・カナダ

2013-06-01 | 洋画(あ行)


原題: ANTIVIRAL
監督・脚本: ブランドン・クローネンバーグ
出演: ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ 、サラ・ガドン 、マルコム・マクダウェル 、ダグラス・スミス 、ニコラス・キャンベル 、ウェンディ・クルーソン 、シーラ・マッカーシー

映画『アンチヴァイラル』 公式サイトはこちら。


<あらすじ>
病気を患ったセレブからウイルスを譲り受け、高額でファンに注射する業務で業績を伸ばしているルーカス・クリニック。エドワード(ダグラス・スミス)は、美貌のセレブ、ハンナ・ガイスト(サラ・ガドン)のウイルスを求めてやってきた。顧客への注射を担当する若手技師シド・マーチ(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は新しいウイルスが入荷すると自分に注射してクリニックの外に持ち出し、ブローカーのアービッドが闇マーケットに売り飛ばすという副業に手を染めている。
(Movie Walkerより)

デイヴィッド・クローネンバーグの息子であるブランドン・クローネンバーグの初監督作品。脚本も彼が担当しているので完全なオリジナル。

「セレブと同じことを体験したい」という心理は分からなくもないけど、細胞レベルでそういう風に感じる時代がくるのだろうか。基本、人間だって生物なので、憧れの人であっても一体何の病原菌を持っているかわからないのが通常なんだけど、その感覚には触れずに、スターと同じようになれることだけを前面に出している広告に対して違和感を感じない大衆がまずいる。それもかなり大勢だ。どこの世界に人と同じ病気に進んで罹りたいと思う人がいるのだろう?いくら近未来とはいえちょっと信じられない気もするけど、その部分がSFなのかも。

そしてそんなクレイジーな商売が生まれてくると、そこに追随してしょうもない裏商売も出てくる訳で、シドは自分の身体を媒体にして仲介させて、闇で生成して売りさばくんですね。なのでシドは今にも死にそうな顔色でいかにも不健康そうな印象。よくそんなこと思いつくもんだとある意味感心しますが(笑)、自分を感染させてでも儲けたい商売人は、自分を感染させてでもスターになりたい消費者と対をなしているのが不気味だったり。さらに裏商売人をも裏切る阿漕な人間も登場するとなると、何でも有りの世界となってくる。

こう書くと如何にも不気味な話だし、血液とか肉とか細胞などの描写もあるので観る人を選ぶ作品ですが、意外と映像自体はそうでもない。ストーリー展開が早いし説明もほとんどないので一見わかりづらいが、グロい素材でも余計なものがなく、スタイリッシュ感覚なので結構面白く鑑賞できる。
セレブへの憧れを商売にし、儲ける側もまた自分の商売を利用する。近未来なのですがある意味とってもおどろおどろしい昔ながらの人間模様がベースな訳です。そして商売道具であるはずのセレブへ、商売以上の感情を持ってしまうシドの自分に逆らえない部分も、人そのものへの感覚は変わってしまった近未来のはずが、人間の原点を失っていないことを証明しているのは興味深い。
誰かの血液はもちろんだが、細胞、皮膚、汗レベルまでも異物やら黴菌扱いとなるのは生物である以上当然だけど、他人に対しての想いも、ダイレクトな触れ合いではなくて分泌物を通す時代がやってくるのかと思うと寒々しい感じもするが、そうなっても尚、失われないものはあってほしいと願う。






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