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『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』 (2009) / フランス

2010-08-01 | 洋画(は行)
原題: L'AFFAIRE FAREWELL/FAREWELL
監督・脚本 : クリスチャン・カリオン
出演 : エミール・クストリッツァ 、 ギヨーム・カネ 、 アレクサンドラ・マリア・ララ 、 インゲボルガ・ダプコウナイテ 、 ウィレム・デフォー

観賞劇場 : シネマライズ

公式サイトはこちら。





クストリッツァって監督じゃないの?? 何で映画に出る?
っていうところからまずこの作品に惹かれちゃいまして。
早速観てきました。
自分の中で、クストリッツァ作品って「一筋縄じゃいかない」ってイメージでして。。。


これ鑑賞されるなら、ある程度、1980年前後の東西関係については、知っておきたいところでしょうね。
でないと話についていけなくなります。
歴史というか、近現代史というか、ここをリアルタイムで生きてる世代も多いと思うんで大丈夫だとは思いますが。


フェアウェル事件 (eiga.comより)


恐らく当時でもあまり話題にはならなかったであろう事件と推察される。
こんなことが大々的に報じられたら、ソ連のメンツに関わるだろうし、
当時はまだ社会主義体制が続いていたので、情報統制もかかっていたことだろう。
歴史に残るペレストロイカの裏側にあった切ない話である。


組織の中で自分のポジションを保ちながら、組織に背く。 それがスパイの役割ですが、
どうしてそうしようとしたのかという動機が必ずあるはず。
それがグリゴリエフの場合は、次代へ引き継ぎたいという想いだったということですが・・・ 息子との関係の中にそれを折り込んでいます。
それプラス、このままではいけないというか、現体制への不満も大いにあったのでしょう。


30年前の話なので、今ほど情報が瞬時には行かないかもしれないが、
それでも常に不満分子を監視する体制があり、
それをかいくぐって使命をこなす緊張感は尋常ではなかったと想像する。
しかし、クストリッツァの演技には、何物をも凌駕していけるのではないかという信頼感が感じられる。
ただ真面目だけではなくて、時には敵を欺くがための芝居も含めて。
それは彼の監督としてのキャリアが生きているのかもしれない。
裏腹な部分があるから、多方面で活躍できる人間になれるし、同時に欺くことも可能となっていく・・・ ある意味、狡さを感じさせる。


もっともずるいことならば、上を行く人間も山ほどいた訳で、それが二重スパイと呼ばれる訳である。
騙して騙されて。
そして理想のために志を持ちながらも、
実際に身近な人間への危険が及ぶとなると揺れてしまう心もあり。
でもね、やっぱり、グリゴリエフって潔いんですよ。
信頼のおけるものは守りたい訳です。
その不器用さってとてつもない勇気なんだけど、やっぱり哀しい。
彼は自分を偽っていないだけに余計そう感じる。
歴史の狭間で懸命に生きた人間たちの、声なき声に応えてくれた作品、深く胸に沁みました。


キャスト、主演2名は言わずもがななんですが、
グリゴリエフの妻役のインゲボルガ・ダプコウナイテと、
ピエールの妻役のアレクサンドラ・マリア・ララ、
どっちもよかった。 それぞれ立場が違うから思うところも別なんだけど、
その心情の表現がよい。
そして! ウィレム・デフォー様が登場・・・ ずっとファンなんでやっぱり好きです。



今日の評価 : ★★★★☆ 4.5/5点








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