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【現代フランス映画の肖像2】『何事も誓うなかれ』 (2004) / フランス

2012-03-29 | 洋画(な行)


原題: IL NE FAUT JURER… DE RIEN!
監督: エリック・シヴァニャン
出演: ジェラール・ジュニョー、ジャン・デュジャルダン、メラニー・ドゥテイ、マリ=フランス・サントン、パトリック・オードゥクール、アルノー・シュヴリエ、ミシェル・ガルシア

【現代フランス映画の肖像2】『何事も誓うなかれ』ページはこちら。


第84回アカデミー賞を席巻した『アーティスト』主演のジャン・デュジャルダンが出ているということで絶対に見逃したくなかった本作。 
年度末でしたけど無理無理行っちゃいました。
翌日は『アーティスト』試写だったんで予習しておきたくてね。


舞台は1830年のパリということで、この頃に何があったかと調べると、7月革命なんですね。
王政復古によって王位についたルイ18世。シャルル10世は国民の不興を買い、1830年に「国民王」ルイ・フィリップが誕生してフランスは立憲君主制になった(7月王政)というものです。
従って本作もその激動の時代を背景にしていて、ヴァロンタンの叔父のヴァンブックが経営するブティックが大繁盛したこともこの映画を作る要因になっています。 ブルジョワが景気よく消費して、勝手に笑いが止まらないくらいのお金がじゃんじゃか入ってくるところも考えてみるとコメディに一役買ってる。


ジャンはここでは放蕩者のヴァロンタンを演じている。 彼にとっては全てが享楽的な人生、それがモットーで生きてきて、叔父の押しつける結婚相手なんて絶対に嫌だ・・・ というところから話が始まる。
ヴァロンタンの豪快なキャラクターはジャンにぴったり。 そして相手のセシルを賭けの対象にすることはもちろん伏せておいて、試そうとするけれど自分がセシルの虜になってしまっていることに気がついて・・・ という展開。
セシルは第1印象では色が浅黒くてあんまりぱっとしないなと思ったんですが、慣れてくるとアクティブで枠に捉われず、チャンスを求める現代風な側面を持ち合わせたキャラクターということがわかってきます。 おまけにメラニー・ドゥテイはスタイルもいいし、この役にふさわしく品があって美しい。


時代設定や衣装、背景こそ1830年代ですけど、メッセージそのものとしてはまるっきり現代にも通用するんですね。 
当時だったらああいう結末はあんまり存在しないんじゃないかとも思うんですが、そこは「愛の力」で持って行き・・・ も、無茶ぶりだけど勢いがあって面白かった。
メッセージは現代風だけど、例えば娼館の場面なんかはかなり忠実に当時を再現しているようでアンニュイな雰囲気がよく出ている。
当時の貴族と、それ以外の人との社会的な距離感ってあんなに近いものかしらとも思うんですが、貴族社会も終わるころになるとああいう感じになってもおかしくもなく、逆に没落した貴族は商人の資産狙いで結婚するという例もまんざらなくもなかったのかな? そんな歴史も併せて考えていくと奥行きが広がりそうです。


★★★★ 4/5点






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