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【現代フランス映画の肖像2】『フランキー』 (2005) / フランス

2012-03-29 | 洋画(は行)


原題: FRANKIE
監督: ファビアンヌ・ベルトー
出演: ダイアン・クルーガー、ジャニック・グラヴリン、クリスチャン・ヴィッゲル、ジェイ・アレクサンダー、ブリジット・カティヨン

【現代フランス映画の肖像2】『フランキー』ページはこちら。


これ、ダイアン・クルーガー作品だしモデルの役って書いてあったんで、どうしても行きたくて、かなり無理して行っちゃいました。
滑り込みセーフ(苦笑)
でもこういう作品って行ってよかったなと必ず思えるんですよね。


ダイアン・クルーガーが好きな理由。 
まず綺麗。 でもその綺麗さが決して薄っぺらくなくて、深みがある。
数か国語を話せるので多彩な役ができる。
表情に奥行きがあるところ。 などなど。


本作では彼女はフランキーというモデルを演じている。
モデルという職業の過酷さから心を病んだフランキーは、精神病院に入院することになる。 モデル時代の彼女の回想シーンと、入院している今の彼女とが交互に描かれていく。


フランキーはトップモデルではない。 
むしろ全盛期を過ぎて年齢を重ね、少しずつ容貌にトレンドっぽさやシャープさが欠けてきている。
モデルに限らずメディア露出機会がある仕事において、流行はつきもの。 どんなに売れっ子であってもいつかは陥落する。 陥落しないようにキープするだけでもとんでもなく神経をすり減らしてしまうんだろうなというのは、全く関わっていない私ですらそう感じる。
自分でも時の流れに逆らえないと知っているのに、そこを突かれたら誰だって不愉快になる。 ましてモデルは、表現しようとしている事柄に対しては外見がほぼ全てなだけに、いくらオーディションといえどもそこを否定されてしまうことはそのモデルの人格を否定されたかのように感じてしまうに違いない。
もしフランキーが普通に生活していたら、モデルではなかったなら、別にどうということもなく暮らせるのだろうけど、彼女はモデルであるが故に容赦なく言葉の攻撃を受ける。 そしれそれを解決する術がないことに彼女は耐えられなくなってしまう。


私はこういう世界のことは一切わからないけど、それでも撮影現場って空気が本当に大事なんでしょうね。
だからカメラマンの無茶ぶりには呆れたしあれは私だって頭に来る。 だって必要なコンセプトの説明もせず、一切指示を出さないで「勝手にイメージ作って」って言ったのに、「俺の思い通りじゃない」ってそれちょっとひどすぎ。
プロのカメラマンならきちっと仕事しろよって言いたくもなるけど、実際こんな4流カメラマンは多いんでしょう。 傷つけられる周囲が可哀そう。
「こんな風にしてほしい」っていうのはメディアなら絶対にあるんだけど、表では持ち上げておいて裏では散々真っ黒に扱うのは、業界人でも耐えられなくなるんじゃないかって。 一般の業界よりもそれは激しいかも。
本当は誰だって天使のようにピュアな心を持っているのに、それを見てもらえない悲しさ。  いっそのこと何も考えずにふわりふわりと漂いたい・・・ そんなフランキーが痛々しくて物悲しくて。
心の置き所のヒントがうっすらと見えてくるラストだったけど、傷つけられた時に人は一旦そこから離れるべきでしょう。 無邪気に振る舞う天使のような瞬間がなくなってしまってはいけないから。


ダイアンの上手い所は、気合が入って上昇気流の人間も、そうではなく下降線の人間も、同時期に演じ分けられるということ。
同じ職業なのに仕事の状態が全く違うと人はこんなにも違うものなのかというところを見せられる技量があるんですね。
輝かしいモデル時代、意気消沈して当て所もなく浮遊した現在、そして自分の中の天使を取り戻していく過程なども役作りをきちんとしていった跡がうかがえました。


★★★★ 4/5点






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