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永遠に切り取られた空間、アルノルト・ベックリン"死の島"

2011-09-06 00:28:36 | アート

死の島


死の島

光も空気も何もかも身じろぎ一つしないく静寂が支配している、まるでアクリル樹脂に閉じ込められたかのようなベックリンの世界。
彼は、"死の島"をモチーフとして気に入り、5作品描いたという。
現存しているのは、そのうち4点。
ある特定のモチーフを繰り返し描くことは、ままある。
可能な表現で安住するではなく、気が済むまで少しずつ構図を変えながら、よりよい表現を模索する。
彼の絵筆は、声高に主張することなくして、実に雄弁。
アカデミックな技法をしっかりと身につけたからこその、あの静謐感ではないか。
この絵に対峙していると、異次元の世界に迷い込んだような気がする。
ベックリンを世紀末・象徴主義の画家と言い表すが、異次元の幻視者といったほうが相応しいのではなかろうか。
ミヒャエル・エンデの著書に"自由の牢獄"というのがある。
先のブログで、"遠い旅の目的地"について書いたが、その短編が納まっている本である。
不可思議な物語たちなのだが、ベックリンのイマジネイションに通じるものがあると思うのは、自分の思い違いか。
世界第一次大戦後のドイツ国民に、ベックリンの"死の島"は非常に人気があったとか。
エンデもドイツ人、ゲルマン的感覚で、ストイックな異次元の幻視者の気質があるのかもしれない。




聖なる森


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