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モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語

2018-11-04 11:25:10 | 読書
内田洋子『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』





 本の天近くまで覆う大きな帯。

 タイトル、著者名、紹介文、必要な情報がすべて入っている。

 外して気づく。これは帯ではない。少し小さいカバーだ。

 上にわずかに見えていた緑は、フランス装の表紙に印刷された山の写真。

 カバーをすべて取ると、密生する木々の間に、突如街が現れた。



 「旅する本屋」とは、本の行商をしていた人たちのこと。

 イタリア、ヴェネツィアの古書店で、その存在を知った著者は、案内を請い山奥のモンテレッジォへ向かう。

 そこは住む人が少なくなり、時が止まったような村。

 かつては71人が本売りを職業とし、イタリアの各地へ本を運んでいたという。

 本を待つ大勢の人がいた時代。

 著者といっしょになって、少しずつ行商の背景を明らかにしていくドキドキ感がある。

 でもきっと、本が好きな人にしか伝わらない世界なのだろう。

 本好きというのは、いまや希少な人種なのだろうから。

 装丁は中川真吾氏。(2018)


カバーを外すと



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