ロビンソン本を読む

本とデザイン。読んだ本、読んでいない本、素敵なデザインの本。

京都

2018-11-12 18:54:10 | 読書
黒川創『京都』





 古くてモダンな京都のイメージに重なる表紙。

 おもねることなく、ただ一人の道を邁進する、そんな街の姿が浮かぶ、平野甲賀氏の文字。

 著者の実体験をもとに書かれたかのような、濃密な街の描写。

 つくづく京都は特別なところなのだと思う。


 「にぎやかな東大路のひと筋西側を、鞠小路は南北に走っている」

 「家は、京都御所の北東、賀茂川西畔の出雲路にあった」


 こんな記述があると、地図を広げてみたくなる。

 四編の小説。

 どの主人公も、いままでの人生に対して後悔の念を抱いているようで、それもまた京都に似合っている気がする。(2016)