「メカ修正 金田伊功」
画像は『ムーの白鯨』 第1話「白鯨めざめる!」で実際に使用されたテロップ。(セルの中央に黒地に白抜きの文字フォントが貼ってあるもの)
当時、金田さんはわざわざデカい「F-14 トムキャット(戦闘機)」のプラモデルを購入、更に設定まで興して臨む熱の入れ様でしたが、残念な事にブラシの指定を塗りにされるなど、ご自身の表現方法が維持出来ない事を知り、降番されたので1話のみの肩書きとなってしまいました。
「出来ないって言うから降りたの・・・」(金田伊功)
という訳で『ムーの白鯨』のエフェクトシーンはブラシでなく塗りで構成されていますが、第1話のみブラシが使用されるカットが存在します。
つまり、トライはしていたと言う事なのです。
▼『ムーの白鯨』 第1話「白鯨めざめる!」より(原画:金田伊功)
様々な理由や制約により「出来ない」事の方が多いのが現実です。
その中で実績を挙げて来たのは金田さんを支える方々が居られた結果であり、こういった出来事は日常茶飯事でした。 劇場版アニメ「地球へ」では、アタリのゲーム「アステロイズ」のように宇宙船がワイヤーフレームで爆破するシーンを作画されましたがボツにされたそうです。
「こんなの爆発じゃないって・・・」(金田伊功)
「効果音入れれば爆発だよねぇ?」
「アステロイズとかね!」(ロバくん)
「地球へ」を始められる前は、「1カット○○○○円貰えるんだよ!」と喜んで居られました。
タワーを寝かせたような宇宙船とかもボツにされ、理解されなかった事が悔しかったようで「地球へ」の後、聞かせて頂きました。
「うぇー、ばっしゃーんって大騒ぎする原画が上がってきて、そこまでやるかって。あふれた水の処理でひどい目に遭いました(笑)。でも、こっちが考えた以上に愉快なシーンになっていますよね」。その個性の引き受け方が分かったため、金田さんの描くものとは違う傾向の作品でも起用した。(追悼 アニメーター・金田伊功さん 宮崎監督が「頭(かしら)」と呼んだ男より)
金田さんの描く エフェクトの特徴の1つに「弾ける(水しぶき)」があります。
▼『無敵超人ザンボット3』第16話「人間爆弾の恐怖」より(原画:金田伊功)
宮崎さんが「ひどい目」に遭われる以前、このエフェクトがどの様に処理されたかと申しますと吹き付け(※1)により飛沫(しぶき)として表現されていたのです。
▼『超電磁マシーン ボルテスV』オープニングより(原動画:金田伊功)
金田さんの原動画を活かし、顔以外の修正を極力避けた金山明博さんやオープニングに起用した長浜忠夫さん、繋がっていない線のセルを仕上げた方々を含め、本当に頭の下がる思いです。
「惑星ロボ ダンガードA」 第25話「危機一髪! 海底脱出」にボルテスVのOPと同じ「海から飛び立つダンガードA」のカットがあります。 こちらは金田さんの原画との間に動画マンが入った為、波がヌメヌメと纏わりつく感じになっていました。
2009年冬コミ用追悼本の原稿依頼されたけど、金山さんも描かれるそうなので、後日何かお話を聞けたらカキコします。 あと、ボルテスV本編でもOPのハイネルが使い回しされている話数がありました。
話が少し逸れますが「ボルテスV」の後番組「闘将ダイモス」に武器がたくさん登場しますが「新しい武器を1個考えたら○○○○円もらえる」とか、「北斗の拳」で毎回新しい表現方法が課題とされており、ケンシロウに秘孔を突かれて真っ二つになるシーンをセルを破って表現したり、実際にセルを燃やして表現したり、番組の中で「新たな芽を育む」という行為が頻繁に行われていました。
巨人の星の大リーグボール1号の話題になると、必ず金田さんはこう言われました。
「アレは「描け!」って言って描けるもんじゃないよ!」(金田伊功)
その言葉に釣られ自然に出た言葉・・・
「アレは荒木さんが描いたんじゃない! 時代が描かせたんだ!」(ロバくん)
「うん、そうだ! 絶対にそうだね!」(金田伊功)
金田さん、あなたも時代に支えられ、アニメーションの神様に愛されていましたね!
※1: [技法]吹き付け(splash) 筆などに塗料をつけ、息を吹きかけて対象に飛ばす手法。
画像は『ムーの白鯨』 第1話「白鯨めざめる!」で実際に使用されたテロップ。(セルの中央に黒地に白抜きの文字フォントが貼ってあるもの)
当時、金田さんはわざわざデカい「F-14 トムキャット(戦闘機)」のプラモデルを購入、更に設定まで興して臨む熱の入れ様でしたが、残念な事にブラシの指定を塗りにされるなど、ご自身の表現方法が維持出来ない事を知り、降番されたので1話のみの肩書きとなってしまいました。
「出来ないって言うから降りたの・・・」(金田伊功)
という訳で『ムーの白鯨』のエフェクトシーンはブラシでなく塗りで構成されていますが、第1話のみブラシが使用されるカットが存在します。
つまり、トライはしていたと言う事なのです。
▼『ムーの白鯨』 第1話「白鯨めざめる!」より(原画:金田伊功)
様々な理由や制約により「出来ない」事の方が多いのが現実です。
その中で実績を挙げて来たのは金田さんを支える方々が居られた結果であり、こういった出来事は日常茶飯事でした。 劇場版アニメ「地球へ」では、アタリのゲーム「アステロイズ」のように宇宙船がワイヤーフレームで爆破するシーンを作画されましたがボツにされたそうです。
「こんなの爆発じゃないって・・・」(金田伊功)
「効果音入れれば爆発だよねぇ?」
「アステロイズとかね!」(ロバくん)
「地球へ」を始められる前は、「1カット○○○○円貰えるんだよ!」と喜んで居られました。
タワーを寝かせたような宇宙船とかもボツにされ、理解されなかった事が悔しかったようで「地球へ」の後、聞かせて頂きました。
「うぇー、ばっしゃーんって大騒ぎする原画が上がってきて、そこまでやるかって。あふれた水の処理でひどい目に遭いました(笑)。でも、こっちが考えた以上に愉快なシーンになっていますよね」。その個性の引き受け方が分かったため、金田さんの描くものとは違う傾向の作品でも起用した。(追悼 アニメーター・金田伊功さん 宮崎監督が「頭(かしら)」と呼んだ男より)
金田さんの描く エフェクトの特徴の1つに「弾ける(水しぶき)」があります。
▼『無敵超人ザンボット3』第16話「人間爆弾の恐怖」より(原画:金田伊功)
宮崎さんが「ひどい目」に遭われる以前、このエフェクトがどの様に処理されたかと申しますと吹き付け(※1)により飛沫(しぶき)として表現されていたのです。
▼『超電磁マシーン ボルテスV』オープニングより(原動画:金田伊功)
金田さんの原動画を活かし、顔以外の修正を極力避けた金山明博さんやオープニングに起用した長浜忠夫さん、繋がっていない線のセルを仕上げた方々を含め、本当に頭の下がる思いです。
「惑星ロボ ダンガードA」 第25話「危機一髪! 海底脱出」にボルテスVのOPと同じ「海から飛び立つダンガードA」のカットがあります。 こちらは金田さんの原画との間に動画マンが入った為、波がヌメヌメと纏わりつく感じになっていました。
2009年冬コミ用追悼本の原稿依頼されたけど、金山さんも描かれるそうなので、後日何かお話を聞けたらカキコします。 あと、ボルテスV本編でもOPのハイネルが使い回しされている話数がありました。
話が少し逸れますが「ボルテスV」の後番組「闘将ダイモス」に武器がたくさん登場しますが「新しい武器を1個考えたら○○○○円もらえる」とか、「北斗の拳」で毎回新しい表現方法が課題とされており、ケンシロウに秘孔を突かれて真っ二つになるシーンをセルを破って表現したり、実際にセルを燃やして表現したり、番組の中で「新たな芽を育む」という行為が頻繁に行われていました。
巨人の星の大リーグボール1号の話題になると、必ず金田さんはこう言われました。
「アレは「描け!」って言って描けるもんじゃないよ!」(金田伊功)
その言葉に釣られ自然に出た言葉・・・
「アレは荒木さんが描いたんじゃない! 時代が描かせたんだ!」(ロバくん)
「うん、そうだ! 絶対にそうだね!」(金田伊功)
金田さん、あなたも時代に支えられ、アニメーションの神様に愛されていましたね!
※1: [技法]吹き付け(splash) 筆などに塗料をつけ、息を吹きかけて対象に飛ばす手法。