STUDIO ZODIAC

黄道12星座のように様々な得意分野で活動を続けています。

金田さんの思い出>(;・∀・)ノ【エフェクト】

2009年10月26日 | ■ (;・∀・)ノ【漫画・アニメ】
「メカ修正 金田伊功」

画像は『ムーの白鯨』 第1話「白鯨めざめる!」で実際に使用されたテロップ。(セルの中央に黒地に白抜きの文字フォントが貼ってあるもの)

当時、金田さんはわざわざデカい「F-14 トムキャット(戦闘機)」のプラモデルを購入、更に設定まで興して臨む熱の入れ様でしたが、残念な事にブラシの指定を塗りにされるなど、ご自身の表現方法が維持出来ない事を知り、降番されたので1話のみの肩書きとなってしまいました。

「出来ないって言うから降りたの・・・」(金田伊功)

という訳で『ムーの白鯨』のエフェクトシーンはブラシでなく塗りで構成されていますが、第1話のみブラシが使用されるカットが存在します。

つまり、トライはしていたと言う事なのです。

▼『ムーの白鯨』 第1話「白鯨めざめる!」より(原画:金田伊功)


様々な理由や制約により「出来ない」事の方が多いのが現実です。

その中で実績を挙げて来たのは金田さんを支える方々が居られた結果であり、こういった出来事は日常茶飯事でした。 劇場版アニメ「地球へ」では、アタリのゲーム「アステロイズ」のように宇宙船がワイヤーフレームで爆破するシーンを作画されましたがボツにされたそうです。

 「こんなの爆発じゃないって・・・」(金田伊功)

 「効果音入れれば爆発だよねぇ?」

 「アステロイズとかね!」(ロバくん)

「地球へ」を始められる前は、「1カット○○○○円貰えるんだよ!」と喜んで居られました。

タワーを寝かせたような宇宙船とかもボツにされ、理解されなかった事が悔しかったようで「地球へ」の後、聞かせて頂きました。

「うぇー、ばっしゃーんって大騒ぎする原画が上がってきて、そこまでやるかって。あふれた水の処理でひどい目に遭いました(笑)。でも、こっちが考えた以上に愉快なシーンになっていますよね」。その個性の引き受け方が分かったため、金田さんの描くものとは違う傾向の作品でも起用した。(追悼 アニメーター・金田伊功さん 宮崎監督が「頭(かしら)」と呼んだ男より)

金田さんの描く エフェクトの特徴の1つに「弾ける(水しぶき)」があります。

▼『無敵超人ザンボット3』第16話「人間爆弾の恐怖」より(原画:金田伊功)


宮崎さんが「ひどい目」に遭われる以前、このエフェクトがどの様に処理されたかと申しますと吹き付け(※1)により飛沫(しぶき)として表現されていたのです。

▼『超電磁マシーン ボルテスV』オープニングより(原動画:金田伊功)


金田さんの原動画を活かし、顔以外の修正を極力避けた金山明博さんやオープニングに起用した長浜忠夫さん、繋がっていない線のセルを仕上げた方々を含め、本当に頭の下がる思いです。

「惑星ロボ ダンガードA」 第25話「危機一髪! 海底脱出」にボルテスVのOPと同じ「海から飛び立つダンガードA」のカットがあります。 こちらは金田さんの原画との間に動画マンが入った為、波がヌメヌメと纏わりつく感じになっていました。

2009年冬コミ用追悼本の原稿依頼されたけど、金山さんも描かれるそうなので、後日何かお話を聞けたらカキコします。 あと、ボルテスV本編でもOPのハイネルが使い回しされている話数がありました。

話が少し逸れますが「ボルテスV」の後番組「闘将ダイモス」に武器がたくさん登場しますが「新しい武器を1個考えたら○○○○円もらえる」とか、「北斗の拳」で毎回新しい表現方法が課題とされており、ケンシロウに秘孔を突かれて真っ二つになるシーンをセルを破って表現したり、実際にセルを燃やして表現したり、番組の中で「新たな芽を育む」という行為が頻繁に行われていました。

巨人の星の大リーグボール1号の話題になると、必ず金田さんはこう言われました。

 「アレは「描け!」って言って描けるもんじゃないよ!」(金田伊功)

 その言葉に釣られ自然に出た言葉・・・

 「アレは荒木さんが描いたんじゃない! 時代が描かせたんだ!」(ロバくん)

 「うん、そうだ! 絶対にそうだね!」(金田伊功)

 金田さん、あなたも時代に支えられ、アニメーションの神様に愛されていましたね!

※1: [技法]吹き付け(splash)  筆などに塗料をつけ、息を吹きかけて対象に飛ばす手法。

金田さんの思い出>(;・∀・)ノ【文庫版】

2009年10月18日 | ■ (;・∀・)ノ【漫画・アニメ】
《スタジオNo.1にて》(金田さんが20代の頃)

当時、金田さんの動画机の上には3段のカラーBOXを横にした本棚があって資料や色々なものが収納されていました。

釣り紀行写真集 『オーパ!』(開高健)

経緯は憶えていませんが、きれいな夕焼けとかの載った写真集を見せて頂いた記憶が残っています。

そんなある日、鍋島さん(鍋島 修)が釣り紀行写真集 『オーパ!』 (開高健)の文庫版を買われたのを見た金田さんは鍋島さんが開いて持ったままの文庫本をヒョイとつまんでアタマを本の下へ上へと動かし、背表紙と中身を何度も交互に見つつ・・・

 「え~、えっ? 出たの?」 「え~?」(金田伊功)

・・・と大層驚かれ、最後は鍋島さんから本を取り、立ったまま眺められていました。

 「安彦良和画集の文庫本、出ないかな・・・」(金田伊功)

 「・・・(笑)」(一同)

金スペ(金田伊功 SPECIAL)の文庫本(縮小版)付き書籍が今月に発売されるそうです。

商品名 ロマンアルバム アニメージュオリジナル Vol.5 特集:金田伊功(書籍)
商品コード BOK-2332
メーカー 徳間書店
発売日 09年10月31日
作品シリーズ名 ロマンアルバム
製品仕様 小冊子付録
詳細 オトナ向けのアニメージュ第5弾。
7月に急逝した、金田伊功を総力特集!
82年に徳間書店が出版した「金田伊功 SPECIAL」の抜粋縮刷復刻版が、別添小冊子として付きます。
他に「アニメが映画に恋した日々」として、有名クリエーターたちのインタビューを収録。充実の一冊!

▼徳間書店『金田伊功 SPECIAL』掲載時資料より(原画:金田伊功)



当時、しばらく経って「金田伊功 SPECIAL」の原画等が戻って来た時、編集用のトレーシングペーパーがセロテープでベタベタに貼られてて、泣きながら剥がしましたが、中には剥がれないものも多々あり、あの雑誌がベストの状態だったのだと諦めました。

今の出版社では改善されているのかもしれませんが、預かりものの扱いはヒドいもので紛失や返却されないものがほとんどでした。

金田さんが原画を描かれる際、よく使われるダーマトグラフの黄色や水彩の発色等、どの雑誌を見ても実物の再現性に於いて不満がある方も居られるとは思いますが、マストアイテムの1冊ではないでしょうか?

金田さんの思い出>(;・∀・)ノ【似顔絵】

2009年10月12日 | ■ (;・∀・)ノ【漫画・アニメ】
《スタジオNo.1にて》(金田さんが20代の頃)
 金田さんが描いた似顔絵で大いに盛り上がる。

 「誰?」(鍋島修)

 「この前、見学に来た子・・・」(金田伊功)

 「えっ、そんなヒト絶対来てないよ~!(笑)」(越智一裕)

 「・・・(笑)」(一同)

世間は広い様で狭いもので、その時の似顔絵の人物は名古屋在住の知り合いで、絵を見て一発で判るほどソックリ!

金田さんがバースの時、名古屋で宿泊されたホテルの斜め前にあった喫茶「微笑(ほほえみ)」の常連で「金田さんに会いに行って来た」って聞いた直後の出来事でした。

まあ、この話自体がバース以前の事ですが・・・

似顔絵や落書きを通して、自分なりの解釈で絵を描いてみる。

そんな事をよくされていました。

▼『無敵鋼人ダイターン3』 第6話 「アニマッドの華麗な招待」より
 ダイターンおさる(原画:貞光紳也)


 「動画が付いてなかったから描いたの・・・」(金田伊功)

▼セルの裏にセロテープで貼ってセルと一諸に動画机に貼られていた動画
 (動画:金田伊功)


実は金田さんに始めて会った頃の自分によく似たキャラクターが「ドンデラマンチャ」に登場するんだけど、詳細は結局聞きませんでした。

▼『ずっこけナイト ドンデラマンチャ』 第6話 「ドンはカウボーイ」より
 (設定:金田伊功)


ただ、30年以上経った今でも亀垣(かめ)さん(亀垣 一)に会うと必ず「おまえ、顔全然変わらんなあ!」と言って下さるので、何かとても嬉しかった。

電話帳を元に亀垣(かめ)さんに連絡してスタジオ見学の了解を頂いた。

「金田さんに会ってけよ!」(亀垣 一)

あれが僕の原点でした。

▼『ずっこけナイト ドンデラマンチャ』 第6話 「ドンはカウボーイ」より
 (設定:金田伊功/彩色:金垣伊一)


僕のペンネームが金田(かな)さんと亀垣(かめ)さんの名前で構成されているのはそういった想いが篭められているから・・・(ハンドルネームはロバくんだけど)

そして、ウチのスタジオの名称の中にZが入っているのも、このブログに登場する3人称の会話が金田さんとの出来事で、その他の話題にも金田さんに伝えるつもりで研究してたものがちりばめられているのも、そんな想いを篭めての事でした。

金田さんの思い出>(;・∀・)ノ④

2009年10月06日 | ■ (;・∀・)ノ【漫画・アニメ】
バース(名古屋東映・劇場公開時の思い出)

劇場公開前日、金田さんから連絡を頂き、ホテルへ

《ホテルにて》
 当時、牧子さんが出した同人誌に掲載された「金田さんとの合作漫画」の話題となり・・・

 「見たら「実家に帰る」って言って見せてくれないんだよぉ!」(金田伊功)

 と言われるので、多少 気が引けましたが「見ます?」と聞いた処・・・

 「あ、有るの?」

 ゴクリと喉を鳴らして、テレながら読まれて居ました!>(;・∀・)ノ

▼『バース』小説挿絵より(イラスト:金田伊功)


部屋を出て「この部屋に、みーなちゃん(冨永みーな)が泊ってるよ!」などと言う話を聞きながら、ホテルの階段を降りる途中で「あいどる」の小野寺さんにバッタリ会う。

「おっ、金田とこれから食事か?」と、僕と金田さんを見るや内ポケットから財布を出す。 中からお金を出すのかと思いきや財布ごとポンと金田さんに渡してたのでビビった!>(;・∀・)ノ

あんな光景は二度と見られないだろう・・・

この時、後にファンシーCoCoのキャラデザインをした江崎くんらを紹介したかったので、名古屋東映の方へ向い合流後、デニーズに繰り出したのでした。

ちなみに東京劇場公開時も、ずっと一緒だったので「バースどうだった?」って感想を聞かれ、「動はあるけど静がないので、ちょっと疲れた!」と答えた処、舞台挨拶でその話をされて、更にビビった!