魔法が解けたそのあとで

結婚、出産、育児、介護、お仕事。来た球を打ち返す、毎日のつれづれをつづりました。

入籍前夜。

2007-11-24 19:03:38 | 結婚できるかな編
婚姻届を出しに行く前日。

午前中に一緒に出しに行くために、またわたしは新幹線に乗りました。

夜、ふたりで鍋を食べてあったまり、最後に書類を確認していました。

母から、彼にあてた手紙を預かって来ていました。

それを彼と一緒に読みました。

それには

結納を終えてほっとして、父も母もずいぶん眠ったこと。

リツコがとても嬉しそうだったこと。

ご両親に失礼があったことを申し訳なく思っていること。

そしてこれからはリツコをよろしく頼みます、と書いてありました。

涙が出ました。

あれほどゴネにゴネていた母は、結納が終わってから静かなものでした。

憑きものが落ちたみたいに。
ついに諦めたみたいでした。

この結婚がもめにもめた原因、破談の危機はすべて母から発生したものだったので、わたしは本当に母を憎く思いました。
でもやはり親なんだなあ

手紙を読んだ彼は「やっぱりお母さんはリツコのお母さんだな」と言い、泣いているわたしを抱きしめてくれました。

入籍してもしばらく仕事の関係で別居する予定になっています。

「しばらく離れて暮らすことになってしまうけど、これからどうぞよろしくお願いします」

正座して、彼に言いました。

「こっちに来てくれて、ありがとうな。これから一緒に頑張っていこうな」

そう言って、彼も正座して、ふたりで顔を見合せて笑いました。

とてもしあわせな気持ちで、眠りました


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今が一番いい時?

2007-11-18 14:29:10 | 結婚できるかな編
婚約中です。

でも近々入籍です。
妻です。

職場の人に退職を表明してからいろいろな反応が。

なんかちゃんと言おうと思っていた人に、周りから言われちゃって「彼氏いたっけ?」とか言われたり

年上の姉さん方は「わたしたち、どうします~?」と明るく笑いを提供してくれたり。

うちの職場は女性ばっかり。
バツいちか独身女性のみ。

バツいち含む、既婚の姉さん方から言われるのは「今が一番いい時だよね」。

たしかに。

婚約期間は短いですが、とても甘い。まさにスィート

「大好きだよ」
「愛してるよ」
「ずっと一緒にいてくれる?」
「一生離さないからね」

などなど・・・

もう、降るような愛情をいただいています。自分で言うのもなんですが…。

「生きてて良かった…」そう思います

でもこれって、今だけなのかな?

もうだんだんなくなっちゃうのかな?

たしかに、結納が終わってから、自分の心に安定感が生まれました。
ほっとして、仕事もさくさく進みます。

ちょっとドキドキ感が薄れたかも

でもまだ彼は「いやじゃない?」と言ってきたりするので「なんで~?」と答えますが。

不思議と「この人でいいのかな?」なんていう気持ちが湧いては来ません。

なんかこれがとても自然な流れに感じます。

無理することがない。

いつまでも一緒にいたい。

今までと違う感情が湧いてきます。

たしかに、今が一番いい時期なのかもしれない。

会いたくて、早く一緒になりたくて、朝晩電話して、何度もメールして、遠距離を車で、新幹線で、行き来して。

そういう情熱はなくなっていくのかもしれない。

でも今もわたしは彼の横顔を信じられない思いで見つめていることがあります。

「本当に隣にいる…

ずっと欲しかった人でした。夢みたいに感じます。

「一緒にいられなかった時間が長かったから、ふたりでいられることに『感謝』だよね」
彼はそう言います。

ほんとにそう思う。

一緒になれるまで、たくさんの障害があったし、9年かかった。
だからわたしたちは他の夫婦と違う、とは思いません。

もしかしたら、こんな甘いことばは結婚したら言ってもらえないかもしれない。
けんかもいっぱいするかもしれない。
「こんなはずじゃなかった」と思うかもしれない。

でも「胸を打つ思いは絶えず。わたしはこれからもきっとあなたに焦がれる」というaikoさんの歌の通り、わたしの気持はいまだ冷めないのです。

ただ、一緒にいられるだけで、幸せを感じるのです。それだけでいい、と願っていたから。

ついていく
どこまでも
ふたりにもう距離ができないように

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結納

2007-11-15 19:48:53 | 結婚できるかな編
結納、略式ですがやることになりました。

上司には「あんたたち、この期におよんで結納やるの?ばっかじゃないの?

と言われましたが。

彼のお父様がやると言っているそうです。

鰹節等は省略。

簡素にやります。

ちょっとしたスペースを借りて、そこで話をしてつめて、お寿司食べて終わり。
そんな感じにしました。

父親ふたりと私たちふたりで。

結納金もちゃんと用意してくれていました。

桐箱に入れて、豪華な水引された結納金。

半返しはなしで、ふたりの結婚準備金としていただき、これからの生活にということで。

指環もティファニーのダイヤモンドリング。今日お披露目

いろいろなものを全部彼が用意してくれました。
仕事もあって、忙しいのに…

気持ちが、うれしかったです本当に。

この日を迎えられたのも、彼の頑張りのおかげだけでなく、周りの人たち、両親やきょうだい、上司や友人、たくさんの人たちの助けがあって、ようやく結納まで来ることができました

きちんと終えて、彼は車でお父様と一緒に帰りました。
明日から会社の上司や同僚への報告。
社長にも報告し、式や披露宴をどうするか、その感触で考えていこうと思っています

わたしも仕事をもう少しで辞め、彼のもとに行き、拠点を東京から移すつもりです。
そばにいて、一緒に暮らし、そのなかで春にでも式をしようと思っています。
同棲になってしまうので、入籍をする予定です

本当に、結婚するんだなあ…

苗字、変わるんだなあ…。
34年間この名前で来て、小さい時から「この人と結婚したら名前は○○リツコになるんだなあ」なんて妄想してきたけど、ついに変わるんだなあ…

でも、それが自然な流れのように感じます。

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誰が結婚するの?

2007-11-10 18:41:02 | 結婚できるかな編
このブログ、ずいぶん空いてしまいました。
本当に申し訳ありません…それでも見ていてくださった方がいることに、本当に感謝しています。
どうもありがとうございました。

前回の破談の危機がありまして、持ち直しましたがまたまた大きな危機がありました。
もうここに書けないくらい、シャレになりませんでした…

マジで破談…っていうくらいの壁でした。

まず、両親同士の顔合わせで、うちの母が先方に対してとても失礼な態度を取り、ひと波乱

母のせいでほんとにマンションから飛び降りたくなりましたよ、何度も。

その後、取り成して次!と思ったら、ほかにでっかい問題が出てきました

もう思想のことなので、これは何ともならないです…しかも先方の親戚とうちの母。巻き込まれた私たちと彼のご両親

私と別れるか、それとも親戚と縁を切るか、というところまで追い込まれました。

それでも話し合い、考えた末に、彼は私を選んでくれました。

結婚って、こんなに大変なの…

滝のように泣きましたよ。

彼も具合が悪くなるまで悩みました。ご両親のところに何度も足を運び、説得してくれました。上司に相談したり、なんとか解決法を見つけようと考えました。

わたしも、公私ともにお世話になっている上司に相談しました。

そしたら一喝されました。

「あんたたち、30過ぎてなにやってんの?馬鹿じゃないの?」

ごもっともです…

「誰が結婚するの?親と結婚するんじゃないじゃない親の言うこと聞きすぎ!」

その通りです。

「大丈夫、どんなにしたって親なんて縁切れるもんじゃないから」

むしろ母とは縁を切りたいくらいです…

「この期におよんで結納とか言ってないで、早く籍入れて一緒に住みなそうしないとあのお母さん、諦めないよ」

そう、姉の時もそうだった…。この上司が強烈にガードしてくれて、なんとか結婚できたんです。

「りっちゃんのお母さんは子供を自分のものだと思ってるから、結婚するまで諦めないよ。」

そう、よく分かってらっしゃる…。

「そしてこれを逃したら、絶対結婚できないよ

どーーーーん
そうだろう、きっと…。

「もううちの会社は戻ってきてもだめだからね。返品不可って彼に言っておきなさい

びしっと言われちゃいました…。

そう、彼も言ってました。

「リツコの母さんと結婚するわけじゃないから」

わたしたちはなるべく双方の両親の意向を聞いて、許してもらって…円満に…そう思い過ぎていたのかもしれない…。

でももうわたしは親とは別の人間であり、別の考え方を持ち、そして何より親より大切な人を見つけてしまった。そしてその人と一緒に行くと、決めたのだ。

だから、今大事にするのは親ではないのだ。

母親のために結婚するのではないのだ。
納得してもらうために、二人の結婚があるわけではないのだ。

本当に、いろいろありました。
ここでは書けないくらい、大きな問題に発展しました。

でも、それを乗り越えたことで、二人の間で「絶対結婚して、お互いを大切にしよう」という気持ちが、何かあっても2人で話し合ってやっていこうという気持ちが、強く強く生まれてきたのです。

そしてよく分かったのが「人は今現在存在しているだけではなく、その背景があり、両親、祖父母、そのまた両親…と連綿とつらなって今がある。」ということです。

結婚はよく「家と家」と言いますが、たしかにそれをまったく無視しては、今現在ある自分を否定することになりかねないかもしれません。

でも、あくまで「家」と結婚するわけではない。

人と人、その二人がこれから長い人生という道を歩んでいこうと思った時にするものが「結婚」である。
そう思います。

何も持ってない、若くもない私ですが、彼のことを一生懸命大切にしていこうと思います。

もうすぐ入籍します。

また母が最期のあがきで邪魔してきましたが、もう相手にしません。
もう結婚するのです。

母とではなく、私と。

親離れってこういうことなのかもしれません。


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気持ちのカタチ

2007-10-13 18:22:22 | 結婚できるかな編
彼から加入者同士は通話料無料、という電話を受け取りました。

あわや破談になりかけましたが、彼も覚悟を決めてくれました。

それでわたしの仕事の関係ですぐには一緒に住むということもできませんので、電話を買って、それで連絡を取り合おう、ということになりました。

通話料が…跳ね上がりましたから、やっぱり

そしたら端末を購入して、送ってくれました。これでたくさん話せます。

「指輪を買ってあげたいんだけど」

あれですか?エンゲージリングですか

「もったいないよ~」

「でも僕の気持ちだから、受け取ってほしいんだ」

この時点で、わたしは今まで婚約指輪がどういうもので、いくらするのかとか、もらったことがないので知りませんでした。

次の休みにふたりで銀座に行きました。

ティファニー本店。
ブライダル関係は二階です。

すごい~~~煌いています、ダイヤモンド。

…ええ指輪、こんなにするの
こんなの買ってくれるんですか
結婚って…。

いろいろ選んでもらいました。

意外とわたし、指細かったのね。7号でした。指輪のサイズも知らないんだからさ

いろいろ付けて見ました。

カラットって大きさじゃなくて、重さなんですね~。
それで石は削ってあるので、その重さとカットの石はふたつとないものなんですね。知らなかった…

だからこれも「出会い」なんだ、と彼は言います。
「いくら見ても選べない時もあるから」

そうなんだ。

そして「これ!」というものがありました。
カットも、重さもとても良いもの。
お値段は…わたしは無理だ…男の人は大変なんだ~

いいのかな?こんなもの買ってもらって…。

「これは俺の気持ちだから。それが形になったものだと思って」

彼の気持の形は、わたしの左手薬指で、とてもキラキラ輝いていました。

ふたりで銀座の街を手をつなぎながら歩き、帰りました。

こんな日が来るなんて、不思議だね。
そう、ふたりで言いながら。


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理解欲。

2007-10-09 19:29:41 | 結婚できるかな編
わたしは当日、昼には東京に戻って出社しなければならなかった。
タイムアップ、時間切れだ。

玄関に行って靴をはいた。

彼は見送りに来た。

とても心もとない顔をしていた。

電車の時間が迫っている。

「多分今、ここで帰ったら、ここには来ない」

そうはっきり思った。

「リツコ…」
彼は、とてもとても寂しそうな、悲しそうな顔をしていた。

わたしは靴を脱いだ。
「話そう?」
もう一度居間に戻った。

いつもだったら、今まで付き合った人たちだったら、「もういい」で終わっていたと思う。
でも、わたしは彼に理解してもらいたいと思ったし、彼を理解したいと思った。
だから靴を脱いで、トランクを置いた。今話さないとだめだと思った。仕事はいい。遅れてもいい。
電車を遅らせた一時間、でもこれは重要な一時間だと思った。

二人で向かい合って座った。

「あのね、やめるか、って言われたとき、すごくショックだった。

わたしはいろいろなことを置いて、あなたのそばに来ようと決めた。

東京にいた4年間はたくさんの人とあって、たくさんのことがあって、そういう積み重ねとつながりを全部切って来ることなんだよ。

やめるか、なんて言うなら、最初から『ずっと一緒にいてくれ』なんて言わないで。」

酷なことかもしれない。だって、あの母じゃ、だれだって引く。

「…ごめんな、簡単に言って。悪かった。もう言わない」

「涙が出たのは、やめるかと言われたことと、お母様たちに迷惑をおかけすることがとてもつらいと思ったから。嫌な思いをさせてしまうだろうと思ったら、もうここには来られない、そう考えていたら涙が止まらなかったの」

脳裏に優しそうなお母様の顔が浮かんだ。不思議なことに、このお母様の顔が曇ることがとてもつらかった。

「だけどね、もうやめるなんて言うのはやめよう。
あんな母だから、破談にしてくれと言われても仕方ないと思う。
でもわたしの幸せはあなたのそばにあることしかないの。
だけどあなたがやめようと言うなら仕方ない。よく考えてほしい。」

彼は下を向いていたが、顔を上げた。

「俺はリツコと結婚できなかったら、ずっとひとりでいるよ。
だって、もう考えられないもん。リツコがいてくれないなら、ずっと独身でいる」

手を取ってくれた。
「ほんとにごめんな。こんなに泣かせて。」
そう言って抱きしめてくれた。
「絶対一緒になろうな」

それから私は東京に帰った。
駅まで送ってくれた彼は、お母様に電話して、リツコのことをとても気に入っているということを聞かせてくれた。直接お話しをさせてくれて、ご挨拶をした。

彼は考えられるいろいろな方法で、わたしを信じさせようとしてくれている。
そう感じた。

天国から地獄へ落とされたような一日だった。
でも、彼とわたしは次の段階に進んだ。そんな感じがした。

当人同士から、家族の理解を得るステージへ。

不思議と寂しくなかった。

前に好きだったとき、わたしは彼を知りたい、理解したいと思っていた。
これほど人を理解したいと思ったことはなかった。いつも彼の話を真剣に、逃すまいとして聞いていた。
なんでこの人を、そんなに理解したいと思ったのだろう?
自分でもよく分からない。
今、彼も私を知りたいと、理解したいと、分かりたいと言ってくれるし、そう行動してくれる。
お互いがそう思える確率は、どのくらいなのだろうか?

これからも彼を理解したい、分かりたいと思う。その欲望は、出会ってから9年になるが、尽きることはない。





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涙。

2007-10-07 17:44:45 | 結婚できるかな編
ホテルをチェックアウトして、彼の車の駐車場まで歩いた。

わたしのトランクを引いている彼。うしろを歩いて行くけど、追いつかない。

あまりうしろを気にしない彼。
彼の出勤時間も迫っている。

車に乗って彼の部屋に帰った。

忘れた物を詰めた。

彼は支度をしている。

もうここには来ないかもしれない。

彼の両親の顔を曇らせるかもしれないことを思うと、それがつらかった。
なぜだか、それが一番したくないことだった。

ご飯を作ろう。そう思って、お味噌汁を作り始めた。
涙が、次々に出てきた。
今自分ができることは、ご飯を作ることだと思った。

泣きながら、作った。
何かが変わってしまった。そう感じた。

本当に、次々に涙がこぼれた。
この人にしてあげられることは、今はお味噌汁を作るしかない。

ご飯をよそって、おかずを出して、お味噌汁をよそった。

「ご飯食べよう」と声をかけて、ご飯を食べた。でも涙が止まらない。

彼はようやく気付いた。どうしたの?と聞かれた。

涙が止まらないの。
ご飯食べよう。

何で泣いてるの?

「ちょっと考えたい」と私がいったら、彼は下を向いて溜息をついた。

「なんでこうなっちゃうんだろうな。俺が結婚したいと思った人に、いつもそう言われてしまうんだ」

おーーーい、自分のことかい

とも思ったのだが、わたしは「考えたい」ということに、結婚自体を考えたいということも含まれていたのだが、とっさに彼を悲しませたくないと思って言った。

「結婚を考えたい、というのじゃなくて、ちょっと今混乱しているから、考えたい、ということだよ」

やっと彼は顔を上げた。
彼とわたしは似た者同士なのだ。
だから片方が落ちると、もう片方も落ちてしまう。

正直、彼をはげましたりするのに疲れていた。
もともとわたしはそうポジティブ思考の人ではないから。

でも落ち込む彼の姿を見たとき、彼を悲しませたくなかった。
一緒にいたかった。

強くならなければ。

彼が好きだから。彼のことを、ずっと好きだったから。
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スープ

2007-10-07 17:17:25 | 結婚できるかな編
ホテルに戻った。

彼は寝ている。全然起きねーし…
わたしが出かけたことも気づいてない。

ちょっとばたばたしていたら、目を覚ました。

「ねえ」

寝ぼけている彼に話しかけた。

「どうするの?」

「俺寝ちゃった、ごめんな」

「ねえ、決めて」

「?」

「やめる?する?どっちかに決めて」

そこでやっと彼はことの重大さに気付いたようだ。

しばらく考えて、言った。

「正直言って、すごく驚いた。あんな風に言うのって信じられなかった。

だから、交通事故に遭った時みたいに、心臓がドキドキして、消化できなかった。だから寝ちゃったんだ、もう対処できなくて。食事も終わってからしようと思っていたから、食べてなかった。だから体調も悪くなってしまった。

あんな風にいつも言われるの?」

わたしは小さい頃からずっと、どういうように言われたか、されたか、詳しく話した。
うちの母は特別だとは思わない。頑張って父と一緒に三人きょうだいを育ててくれたと思う。
ただ、あまり普通でない生い立ちがあり、とても偏ったところが時たま顔を出すのだ。

「リツコ、可哀想だったなあ」

まあ、慣れてますから。

「分かった。今回はたしかに俺が悪かった。俺のミスだと思う。これからのことを考えよう」

それから彼はわたしを抱きしめた。

この人に付いて行けるんだろうか?
やめよう、と言ってしまったこの人を、四度目に信じられるだろうか?

昨日の昼からなにも食べていない彼に、何か食べさせようと思って、またコンビニに行った。スープを買ってきて、お湯を沸かした。自分もお風呂に入った。明日は仕事だ。東京に戻らなければならない。

身支度を整えて、少し眠った。30分くらい。
帰る前に一度、彼の部屋に行って忘れた物を取ってこないといけない。
もしかしたら、もう行かないかもしれないから。
少し眠ったら彼が起きた。
スープを飲むように言って、少し寝た。

とても、とても疲れていた。

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怒り

2007-10-06 15:41:36 | 結婚できるかな編
彼のご両親にご挨拶したあと、わたしは今まで感じたことのない幸せを感じていた。
本当に、幸せだった。
こんな日が、自分に来るなんて思っていなかった。
2時間前、わたしは世界一幸せだったのに。

彼の部屋にいくつか致命的な忘れ物をしてきたことに気づいた。

お化粧を落とすものがない。

それを買いにも行こうとも思った。

彼は寝ていた。

大体、男性は一度寝るとなかなか起きない。

少し肌寒かった。

大通りはタクシーしか走ってない。人影もほとんどない。

怒りが、心を占めていた。

なんでそんな風に振り回されなくてはいけないのか。

母の感情で、なんでここまで振り回されないといけないのか。

30過ぎの娘に対して、なんでそこまで執着するのか。

母にたいして、憎しみを抱いた。
いつまでもいつまでも、自分から生まれたからって、自分のものだと思っている、人格なんてないと思っている。いつまでも自分の思う通りにしようと思っている母。
わたしが一人でずっと働いて、自分のそばにいればいいと思っている母。
実際、わたしは仕事が大変で、体を壊しかけている現在でも「転職しないとね」と平気で言うのだ。退職、ではなく、転職。
ずっとわたしが働いていけばいいと思っている。心の底では。
母は生い立ちが複雑な人なので、心が物事をまっすぐに受け取ることができない人だ。
しかし子供たちにたいする愛情はとても深く、それは深すぎて異常なところもある。
彼女の、子供を取られる、と思ってしまう心の抵抗なのだ。
でも、もうそれに振り回されたくない。

彼にも腹が立った。
そんなことで「やめるか」なんて言うなら、最初から言わないでほしい。
こっちは仕事も不動産もこちらにしっかりあるのだ。
打ち込んできた仕事も辞めて、住まいも変えて、もう戻るまいと思ってたところに、また帰る決心をしたのだ。

もう振り回されるのは、いやだ。

わたしの人生はわたしのものだ。

誰のものでもないのだ。わたしがしたいようにするのだ。

怒りにまかせて歩いていたら、結婚式場の前に来た。
新しい結婚式場。
ここで結婚式をした彼の同期は、若いお嫁さんともう離婚の危機だそうだ。

結婚式を挙げた時は、離婚するなんて思いもしないんだろう。
結婚ってなんだろう。
結婚したいのかな、わたしは。
彼と、一緒にいたいのかな。

逆の道を行くと、わたしと彼が同じ職場だった会社がある。
見に行こうかな、最後にと思った。

でも。
それは最後にしよう、と思った。
決断するのはいつでも出来る。決めたら最後だ。その時にしよう。
そう感じた。


コンビニに寄って、ホテルへ戻った。


わたしは、わたしが、したいようにするのだ。



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はだん?

2007-10-06 15:19:40 | 結婚できるかな編
無事、彼のご家族との顔合わせをすませた私。

しかしその日の最終で東京に戻ることになっていたのだが、もうぐったり疲れて、また彼と一緒にいたくて、帰れなかった。

そのことを報告しようと母に連絡したところ。

めっちゃ怒られました

母はすっごいお天気やな人なのですが、この間彼が父に「最終で帰しますので」と言っていたことを指して「約束を破った」と激怒。

そして彼の携帯に電話して「約束を破ったんですから、最初からこうじゃ信用できない」となじった。

彼は平謝りである。

そして父にも謝った。父は「別にもう仕方ないから、ホテルをとったら連絡してください」と彼に言ってくれた。

ホテルを取る。

うちの両親、とくに母親が、結婚前に関係を持つことに対して、異常に反対しているのです。

父はしようがないなー、それについては見て見ぬふりっていう感じなのですが。
母が異常に反応する。

だから彼の部屋には泊まれないわけです。

そのあと、リツコに代わってくれ、と母が言ったわけです。
何を言われるか心配した彼が、ハンズフリーで聞いていた。

そこで母がいつもの調子でわたしを罵倒したわけです。

自分の言うことを聞かないからだ、連絡が遅い、お前はだらしないから(←そんなことないのですよ~)気をつけないといけない、などなど・・・。

うちの母は、その場で思ったことを全部口に出さないと気が済まない人で、自分の夫・子供に対して何を言ってもいいと思っている人なのですね。
子供の頃から母が怒りに支配されてひどいことを言うのが常、しかも言ったら忘れてしまう、ということが繰り返されていました。
だから、ある時からもう母の言うことは聞かないようになったんです。
いちいち子供の頃は傷ついていたなあ。
就職活動している時に「お前なんてどこにも就職できるわけない」とか言うんですよ…

わたしは、またか…と思って途中から聞いてなかったんですが。

彼はそれを聞いて、本当に、ショックを受けてしまったんですね…

「自分の子に、あんなこと言うの…」
「いつもあんなこと言われてるの?」
「信じられない…」

まあたしかにびっくりしたでしょう。だって彼のお母さんはとても優しそうな、お嬢さん育ちなかんじの方でしたから。

「いつもああだから、気にしないで」と言ってみたものの…いつもって…フォローになってないじゃん…

とりあえずホテルに電話して、予約をした。そしてチェックインしてから、家に電話した。

父は「もういいから」と言ったが、また母がわたしに対してひどいことを言う。
「妊娠したりしたら絶対許さない」とまで言われた。

何が悪いことなんだろう?
わたしにはいつも分からなかった。
以前付き合っていた彼と部屋にいたとき、母に踏み込まれたことがあった。
彼に掴みかかって母は泣き崩れた。
異常だった。
何がいけないんだろうか?わたしはもう30過ぎているのだ。

そのあと彼が来て、あまりのショックに茫然としていた。

わたしは「うちの母はああいう人なの。結婚前に関係を持つことを異常に嫌っていて、姉の時も大変だったの。それに思ったことを口にしないと気が済まない人なの。だからこれからもああいうことがあると思う。」

彼は「いつもあんな感じなのか…リツコ、可哀想だったな」と言ってくれた。
でも「俺はいいけど、うちの親にされたら困るな」と、言った。

ああそうだ。
あの優しそうなご両親に、わたしの親がそんな親だなんて知られたら…悲しい。
そんな親に育てられたのだと思われたら。
そう思ったら本当に悲しくなってしまった。

「これからもこういうことがあって、嫌な思いをするよ。
やめるなら今のうちだよ」

そう言った。

彼はずっと悩んでいた。

「もっと普通の親御さんで、喜んでくれて、うるさいことを言わないお嬢さんがたくさんいるよ。」
悲しかったけど、そう言った。実際、彼には上司のお嬢さんなどたくさんの縁談があるのを聞いていた。

「…やめるか」

と、彼が、言った。

わたしは信じられない気持だった。
他の人もいるよ、と自分で言ったけど、また、わたしはこの人に捨てられるのか。

そのあと、少し話していたが、眠くなった彼は眠りに落ちてしまった。

わたしは一人で起きていた。

そして部屋を出た。

頭にきた。
親にも、彼にも。
母に振り回されるのも、彼に振り回されるのも、もうたくさんだと思った。

一緒の部屋に、いたくなかった。

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