浦嶋繁樹の全国リスクマネジメント行脚ブログ

リスクマネジメントを考えるブログ

麹町、クレーン転倒現場にテレビカメラ多数!警察の実地検証か!?

2009-04-17 09:06:24 | リスクマネジメント
朝から事故現場はテレビカメラが何台もあった。
道路には警察車両が。
フェンスのところは事故後張ったフェンスをさらに高く青いシートを張っている途中だった。
しかし、隣りのビルの非常階段からは全部丸見えだが。
事故時も非常階段の各階の踊り場は、すべてテレビカメラで埋まっていた!

原因がだんだんわかってきた。
今日の新聞によると、A地点(奥の傾斜地)で掘っていた土砂の盛り土があったため、次のB地点のケーシングを抜くのに移動できなかったので、10メートル以上離れたところから作業したのだそうだ。
そうすると、重さ10.5トンのケーシングを吊り上げる13トンの対応できる機械が5.5トンの能力(13.1メートル離れた場所)しか出せないとか。
そこで無理をして転倒したようだ。

ヒューマンエラーそのものだ。

ハインリッヒの法則というのがあるが、300:29:1のヒューマンエラー、300は「ヒヤリ・ハット」と呼ばれ、ヒヤットした、ハットしたが、事件事故にはならなかった。
転んだとしても病院にいくほどではなった、これが300回。
しかし何らかの事件事故に繋がったのが30回で、そのうちの1回は重大な事件事故につながるという確率だ。

これは、アメリカの保険会社の調査研究員ハインリッヒが、労災事故を調べた結果得た確率だ。
建設業界では早くから労災事故防止の教育で勉強させられてきたはずだ。
(最近では、医療業関係、運送業界などで多く活用されている。)
リスクマネジメントの基本だ!

ハインリッヒは1:4の法則も言っている。
直接損害1に対して、関節損害が4あると。

最近はこの定義が崩れてきている。
それは、雪印の例を見れば判るが、食中毒事件での被害者への賠償金は1億円か2億円に過ぎないだろう。
しかし、我々の試算では3000億円になり、破綻した。
その後、血の出るような努力の末再生できたが。

今は消費者など社会的な圧力が大きいため、直接的な損失よりも風評損失などが大きい。
ここのところの記者会見で隠したりする場合などは、特にその損害が大きくなる傾向だ。

今回も気になるのは、クレーンの所有者、太陽基礎(作業は光北産業)の記者会見だ。
ちょっと「そんなことはない」と言い切った感じが気になる。

話は戻して、そうしたことで1:4ではなく、1:100倍、1:1000倍の関節被害になっている。

300:29:1だが、今回の事故が1だとすれば、過去にもいっぱいミスがあったのかもしれない。

ハザード、前にも書いたが、地盤の固さの違い、新宿通り側の地盤の方が、大型トラックなどの通行で奥よりも硬いはずだし、抜けにくかったというのもあるのだろう。
また、奥のほうが傾斜になっていて、クレーンのバランスを崩す要因のなった可能性がある。
また、建設業界不況が続いていたわけですが、ミニ不動産バブルでビル多くできた時、世界的な不況で工事が激減する中での丁寧さが掛けていたのかもしれない。
三菱地所と東亜建設、太陽基礎と光北産業、それぞれの関係性はどうだったのか。

いろいろなヒューマンエラーの可能性、300:29:1は数千のこうしたハザードから生まれる。
ハザードを感じる感性、このハザードからどのようなリスク(損失の可能性)があるのかを、しっかりと現場を教育するべきだろう!

写真は倒れたクレーンにはさまれたトラック。
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