浦嶋繁樹の全国リスクマネジメント行脚ブログ

リスクマネジメントを考えるブログ

GM、4兆5000億円の赤字計上!繰り延べ税金資産取り崩し!

2007-11-09 18:42:53 | リスクマネジメント
GMの赤字計上、史上最大か?

今回の4兆5000億円の赤字計上は、サブプライムローンの影響だが、直接のサブプライムローンの損失ではない。

49%出資の関連金融会社GMACの7~9月期赤字は16億ドル(約2000億円弱)だから、4兆5000億円には程遠い。
ではなぜそうした4兆5000億円の赤字にまで膨らむのか。

その答えは、「税効果会計の戻し入れ税金」を資産の計上していたためだ。

この戻し入れ税金は、税金を支払うことを前提に資産計上されているので、
赤字が続くと戻し入れは無いため、
積み過ぎた資産計上分を取り崩さなければいけない。

同じ事情で破綻した銀行が日本にあった。

りそな銀行などがその一例だ。

税効果会計は上場会社などの会計に関係する方達には当たり前だが、
中小企業などの会計ではほとんど活用しないため、
一般の会計事務所さんでも知らない方が多くいると聞いている。

りそな銀行の例でも、戻し入れ税金分を5年分(?)積んでいた。
しかし、「毎年赤字を続けている姿から5年分の戻し入れ税金は積みすぎではないか」と監査法人から(と言うより、竹中さんでしたか?)指摘され、
5年分を確か3年分まで取り崩ししたのだった。

そうすると、2年分の戻し入れ税金資産が減少し、国際決済銀行が達成しなければならない8%の自己資本比率(現・純資産比率)を維持できず、公的資金を入れて自己資本を8%に戻し再生となったのだった。

だが、それは実質破綻を意味していた。

僕の認識では今回のGMも同じことで、今期の赤字が確定したので積み過ぎの戻し入れ税金資産を取り崩したことによって、4兆5000億円の赤字となったのだが、赤字を重ねている会社にしては、多すぎではないかとう疑問が生まれる。
(もちろん会計の違いがあったりするだろうが。そこは今度プロに聞いてみたい)

やはり、りそな銀行と同じように多めに積みすぎていたのではないか。
それが、監査法人などからの指摘を受けたのかわからないが、
このような形で計上されたのであろう。

以前、東京電力の赤字の件を書いたが、
1、地震が起き、原子力発電所が被害に合い、直接被害が発生
2、火力発電所などを動かすことで、原価が高くつくので利益減少
3、さらに、他の電力会社から買わないと量が不足するため、電力を購入し、さらにコストアップで利益減少
4、さらに、オイルは値上がりしコストアップで利益減少

と、いくつかの原因が存在する。

GMもリストラで、利益体質になろうとしていたのに、
1、サブプライムローンの損失での関連会社の赤字で連結決算(持ち分法)で影響
2、サブプライムローン破綻から、景気の冷え込みで車が売れないで利益減少
3、オイルの値上がりで、大きい車が売れないで利益減少

など、いくつかの原因が重なっている。

日本では「泣きっ面に蜂」とか、「弱り目に祟り目」などと言われる。

三洋電機は、
1、業績低迷
2、中越地震で子会社の新潟三洋電子の工場は破壊された
3、三洋電機の決算に問題ありと指摘され、子会社の会計から不正か?
4、子会社のクレジット会社など資産を切り売り(急いで売るので、安くはないのか?)
5、部門を売ろうと思ったら、外資ファンドがサブプライムロン破綻から、
買収資金が集まらず、結局売れず

悪いことは重なって起きるものだ。
リスクマネジメントの実行から一つの可能性を減少させただけでも、
業績に与える効果は違うだろうと言うのが今日の結論だ!

そうは言っても、なかなかできない、難しい!

だから、積極的に取り組まなければならないし、そこで大きな差が付いてしまう!