浦嶋繁樹の全国リスクマネジメント行脚ブログ

リスクマネジメントを考えるブログ

消費生活製品安全法施行で問われるメーカーのリスク!

2007-05-09 12:12:09 | リスクマネジメント
来週月曜日(5月14日)消費生活用製品安全法(消安法)が改正され施行される。

今回の改正はパロマ、リンナイなどのガス湯沸かし器やシュイレッダーの事故などの報告が遅れたため事故が拡大したとの反省から、
「重大事故発生から10日以内に経済産業省に届け出る」ことを義務付ける。

それを怠れば、罰金・懲役だけではなく、隠したことを公表され企業へのダメージはさらに拡大する制裁が待っている。

事故・事件は、発生からいかに早く処理するかで損害の拡大を食い止めることが出来る。

火事などでもわかるように、早く発見できれば消すことも可能かもしれないが、
出火から1時間後に発見されても消火は難しくなる。

したがって、今回の法律の改正では企業からの報告から消費者に早めに公表する(原因不明・1週間以内、製品が原因・疑わしい場合・直ちに)ことで被害の拡大を防ごうとする法律の改正だ。

これは危機管理(クライシス・マネジメント)の考え方だ。

ただ、定義が曖昧なのはいくつかある。
①「消費者が容易に購入可能で、一般家庭で使う製品」とある点
・・・シュレッダーなどは本来家庭にあることはなかったが、SOHOが増えたため、家庭で使われるケースが出てきた。
そうした背景から子供が誤って指を入れてけがをしたケースなどが増えたのだ。

②「重大な事故」の定義
・・・けがは重大事故ではないのか。では、けがはどの程度が重大なのか。

いずれにせよ、正しい情報開示が社会(消費者)に対してより強化されることは、
企業の対応に能力の格差を生んでしまいかねない。

特に中小企業などは企業広報の専門家を置いているケースが少なく、より難しいことになるだろう。

結論は危機管理的ではなく、起こさない危険管理(狭義のリスクマネジメント)とするほうが企業は安定するし、予算化しやすい。

昨年5月の新会社法施行からリスクマネジメントが義務付けされた背景などから、
中小企業も積極的に対応して欲しいものだ。

そうした対応をしている企業だけが存続できる時代であることを、
経営幹部は認識していただきたい。

リスクの語源は「絶壁の間を船で行く」、つまり「冒険」の定義であり、能動的な意味が強い。
チャンスを掴みに行く行動は必ず抱えるのがリスクである。

つまり、裏返して考えれば、リスクを管理できなければチャンスは掴めないし、
リスクを管理できればチャンスは掴めるということになる。

危機管理と捉えるのではなく、冒険管理と捉えて経営に積極的に取り入れて初めて成り立つのだ。

そこを自覚していただきたい。