烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

「東ドイツ 恐竜(化石)切手 1990年」と「世界最大の恐竜展」の思い出(1)

2018-05-04 | 切手


フンボルト博物館100年を記念した東ドイツの切手である。
ケントロサウルスの小型シートと、単片が一枚。その隣はディサロトサウルス。中段がディクラエオサウルス、下段はブラキオサウルスの全身骨格と頭部の骨格である。
ドイツ自然博物館(通称フンボルト博物館)の化石標本を図案としており、まるで博物館を見学しているかのような気分になる切手である。
小型シートの耳がかわいい。
アンモナイトと三葉虫はなんとなく分かるが、その他は何を表しているイラストだろう。なんだろう、なんだか懐かしい。


私は幼い頃、ドイツ(当時は東ドイツ)からやってきたブラキオサウルスと始祖鳥の化石を、両親に連れられて見に行ったことがある。
その頃すでに恐竜好きだった私は、本物の「恐竜の骨」(実際、化石は骨そのものではないのだが)が見られる、と大興奮だったのを覚えている。会場に入って、天井高くまで伸びたブラキオサウルスの全身骨格を見上げた時の感動は今でも忘れない。今よりも小さかったから、あまりの大きさに首が痛くなるほど見上げていたに違いない。
そして始祖鳥の美しい化石標本。翼を左右に広げ、首を後ろに曲げた姿が目に焼き付いている。



その時に買ってもらったパンフレットは今でも大切に持っている。宝物である。
あの頃のブラキオサウルスは水棲だと思われていた。あまりにも大きな体を地上で支えるのは不可能ではないかと考えられたからだ。だから、表紙のブラキオサウルスは水から首だけ出して、始祖鳥にご挨拶しているのである。いきなり大きな生物が湖から出てきて、始祖鳥はびっくりである。
現在の恐竜研究は大分進んでいて、当時のブラキオサウルスとは復元図が全く違ってはいるけれども、このパンフレットを見ると、初めて恐竜の化石を見た時の感動がいつでもよみがえってくるのだ。今ではブラキオサウルスは地上をのっしのっしと歩いている姿が描かれている。


切手の耳(周りの余白のような部分)に描かれたイラストが、なぜこんなに懐かしいのか。思い出に浸りながらパンフレットを開くと、生命進化の歴史を表した年代表が載っている。
と、またもや素敵な発見。
なんと、各時代の代表的な生物を描いたイラストだったのだ。





シートの上辺に注目して頂きたい。
4角に描かれているのは「アンモナイト」だ。細長い、先のくるっと丸まったのは「オウムガイ」、その隣の角のような形のは「四斜さんご・床板さんご」のイラスト、その隣には「三葉虫」がいて、右に「筆石」、最後は「殻をもった動物」のイラストだった。


ここで、それぞれの生物について調べてみたくなる。
●オウムガイとアンモナイトは頭足類に属する。オウムガイはオルドビス紀に現れ現在まで生きており、アンモナイトはデボン紀にオウムガイから分離して白亜期末に絶滅している。いわば親戚同士だ。
●「四斜さんご」というのは、現在では四放さんごと呼ばれるグループの、「トラキフィリア」というのを指しているのだろう。
●「三葉虫」はダンゴムシみたいに体を丸めることができたらしい。
●「筆石」類は「漂移する群体性の小さな海生生物で、カンブリア紀に現れ石炭紀に絶滅した。軸の片側、あるいは両側に個虫が生息する胞が枝分かれしたキチン質の外骨格を持ち、植物の化石と見間違われやすい」(図鑑p.338)のだそうだ。奇妙な生き物だ。
●そして、「殻をもった動物」というのは、どうやら「プラティストロフィア」という腕足類の生物を指していると思われる。


切手の図案に採用しているくらいだから、フンボルト博物館でも年代表に同じイラストを使っていたのかもしれない。


さて、切手そのものに描かれた恐竜たちにも焦点をあてたいので、次回へ続く。



【参考文献】
・『フンボルト大学創立175周年記念 世界最大の恐竜展』図録[1984年7月7日~10月14日、新宿駅南口イベント広場 特設パビリオン](読売新聞社)
・『岩石と宝石の大図鑑』 青木 正博 翻訳 (誠文堂新光社 2007年4月10日)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。