またメディアが報じるところでは、このパワハラにも屈せずに、多数決で合格が得られなかったことを「学問の独立」などとの論調でたたえたが、なんだかそれも変である。学問の独立云々よりもその市長の論文自体の出来不出来の問題に帰するのではないかと思うのである。自分も学位論文取得ではずいぶんと苦労した思い出がある。医学と経済学では内容は異なるが、医学では如何に結論が科学的根拠をもって導かれたか、そしてその根拠を導いた筋道が統計学的に確からしいのかという流れが必要になる。たとえばAならばB、そしてBならばCということが統計学的に証明されていたとする。しかしここでいきなり、だからAならばCなのであるという結論は導いてはいけないというのが科学的論文なのである。つまり「風が吹けば桶屋が儲かる」的な論旨の展開は認められないのである。それぞれの関係に対して統計学的有意差をみるか、あるいはABCすべてをあわせて分析してみる作業をしなくてはならない。