そうこうするうちに柏についたので自分はおりたが、あのおっちゃんはまだ乗っていた。どこまでいくのだろうか? バカバカしいヒューマンウォッチングかもしれないが、このおっちゃんはきっと小さい頃からこの常磐線に乗って「正しい大人乗り」を覚えてきたのだろう。ローカル線にはそれぞれの特徴があってしかるべきである。まあ今ではマナーが悪いといわれればそれまでであるが、こんなおっちゃんが残っているのも悪くはない。そういえばかろうじて自分が小学生の頃くらいまでは東海道線にも「大人乗り」する人がたくさんいたと記憶している。昔から東京駅ではお酒や弁当やら冷凍みかんなどを売っていた。陶製の入れ物のお茶もかろうじて覚えている。ビールはリングプル缶ではなかった。列車のボックスシート横の窓の下には小さな作り付けのテーブルがありそのテーブルの縁の下には金属の「コ」の字型の金具がつけられており、これが栓抜きであった。旅行時にはよくジュース瓶の栓を抜いた。これは東海道線の思い出であるが、ローカル線にはそれぞれの特徴があった。ところが今までは画一化して寂しい限りである。