裁判は、その資料収集や状況聴取のやり方が後から見た(retrograde)あら捜しのようなものなのである。過去の特定の時点で「こんなことをしたから(あるいはしなかったから)、だから患者は不利益を被ったのである」という理由付けを何が何でもしたいのである。「24時間365日片時も離れてはいけません、寝てもいけません」ということを強いるということは、どうやら医師の労働基準はおろか人権なんてものもどうやら考慮しなくてもいいようなのである。自分は、はたでみていて居た堪れなくなったし、また同時に「明日はわが身かも?」とぞっとしてきた記憶がある。ここまで物理的に不可能なことを求められるのでは、患者さんとの信頼関係の構築は難しい。