稲敷資料館日々抄

稲敷市立歴史民俗資料館の活動を広く周知し、文化財保護や資料館活動への理解を深めてもらうことを目的にしています。

特別展「常刕江戸崎不動院」の見どころ!(14)

2022年03月12日 | 日記
不動院と天海と東照三所大権現(5)

天海僧正は、「ソース顔」?

ここで、ちょっと一休みな話題を一つ。

今回の展示では、絵画や彫刻の天海僧正の肖像をいくつか
集めましたが、それらをよく見てみると…あることに気付
きます。

それは、天海僧正のお顔立ちについてです。

絵画ですと、不動院、本覚院、全水寺、輪王寺のもの。
彫刻ですと、不動院、輪王寺のもの。

これらを観察しますと…

①眉間が突出し、眼窩も横長で四角く大きい輪郭。
②濃い眉毛。
③二重瞼。
④鼻根は低くへこむが、鼻背が高く大きい鼻。
⑤太く厚い下唇。
⑥大きく垂れ下がるような耳たぶ。


慈眼大師(天海)坐像(不動院所蔵)(№58)

これらの特徴は…といいますと、
「縄紋人」タイプとされる顔の特徴ですね。
今時?は、ソース顔なんて言われたりしているようです。

ここから察するに、天海僧正は男性的な濃いお顔立ちで、
若い頃は彫りが深く、ある意味日本人離れした
エキゾチックなハンサム…
だった…かもしれません…。

天海僧正は、会津出身ですが、東京大学大学院理学研究科の
調査によりますと、現在も福島県には縄文人の遺伝的
特徴を備えた方が少し多くおられるようです。

天海僧正は、父方から縄紋系の特徴を受け継いだと考えら
れますが、須藤光輝著『大僧正天海』(1916年9月20日)
には、天海の父は在地の武士船木兵部少輔景光、母は
芦名盛常の娘とありますが、これとも符合しそうです。

このお顔の特徴こそが、「会津人」としての天海僧正の
アイデンティティー
に関わっているのかもしれませんね。

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