Minor Swing @Room

ジョニー・デップ他日常あれこれ

『パラレルワールド』(ミチオ・カク)

2008年10月08日 00時29分16秒 | 


Amazon内容説明より
ブラックホールへの決死の旅、タイムマシン、もうひとつの宇宙、そして多次元空間-。宇宙論の世界を席捲する革新的な宇宙の姿を鮮やかに描き出す、SFを超えるサイエンス・ノンフィクション。

あまりにもエキサイティングでアンビリーバボーな内容に、
気付けばジョニーが読んだということを一度も思い出すことなく読了しました。

宇宙に満ちる摩訶不思議な現象に対する畏怖の念。
それを明らかにした宇宙物理学に対する感嘆の想い。
これが読了後の率直な感想です。

宇宙を語るこの手の本で頻繁に出くわす言葉があります。
『途方もない』『おびただしい』『膨大な』『気の遠くなる』『莫大な』『けた外れな』『驚くべき』など。
それから『単純でエレガント』と『神』。

宇宙のからくりを突き詰めていくと《神》を語らずにいられなくなるのでしょうか。
現実世界の境界線を越えてあちら側の世界を垣間見ようとすると、
そこには世界最高頭脳の物理学者たちが理論展開する奇妙な世界が広がっていました。

以前読んだ『ビッグバン宇宙論』と似たような内容ながら、『パラレルワールド』の方が遥かに難解だと感じました。
『タイムトラベル』や『テレポーテーション』が出てくるあたりになると、そこはもう神の領域に思えてきます。
ページをめくる私は、その文字が訴える驚きの事実をどこまで把握できているのか全く自信がありません。

原初の宇宙について。
『10の50乗とも言われる途方もない倍率でインフレーションを起こし、空間は光速より圧倒的に早く膨張した。温度は10の32乗度だった』
10の50乗の倍率って?とか、10の32乗度って何度?みたいな疑問を持つと進めませんので、
なんだかよくわからないけどすごいねぇ…で最後まで突っ走りましょう。

たとえば『太陽の質量の40倍』と言われると、ああ~なんとなくこのくらいか?とギリギリ想像できないことも無い感じ。
それが『太陽の数百万倍~数十億倍』と言われてしまうと、想い描く大きさが脳ミソからはみ出してしまって思考放棄。
“想像できないくらいに大きい”でさらりと進みましょう。

この本ではありませんがブラックホールについて、
『地球の質量を角砂糖1個に押し込めたような』という例えを読んだことがあります。
想像を絶する爆縮についてい行けない気分でしたが、手のひらに乗っけたら穴が開くことは分かります(違)
重力無限大の角砂糖のようなものが宇宙のどこかに存在しているというのは全く不思議なことです。

このように『パラレルワールド』は私たちの常識外の羅列であるわけですが、
それもこれも以下の文に丁寧な説明がありました。
『相対性理論が我々の常識に反するのは、この理論が間違っているからではない。我々の常識が現実を表していないからだ。「われわれ」は宇宙のはぐれ者で、温度や密度や速度がずいぶん穏やかな非常に珍しい場所に住んでいるのである。(中略)要するに我々の常識は、地球という、宇宙の中でも非常に珍しい一角で育まれたものなのだ』
宇宙の中では“地球だけが例外”と言えるなんて全く気付かずに生きてきました。
知らなくても何の不都合もありませんが、
知ればこの世がより奇跡的な出来事に思え、より有難いものに思えるのではないでしょうか。

さて、『最も遠い銀河の向こうには何があるのか?』…私たちにも容易に思いつく疑問です。
しかし『夜空が暗いのはなぜか?』『夜空はどこを見ても一様なのはなぜか?』
こういう疑問は当たり前すぎて私たちは不思議にすら思わないものです。
ところが世界の頭脳は3歳児並みの好奇心を発揮して、そこから生まれる尋常ならざる問いかけを続けるのです。
そこが科学者が科学者たる所以であると感じました。
素朴な問いにこそ本質が眠っているのですね。
物理学者の夢はこの世の真理を知ること、これに尽きると思いました。
『インフレーションは、宇宙論のさまざまな奥深い問題を解決するのにうってつけだった。問題は、インフレーションの止め方が分からないところにあったのだ』
止め方が分からないって…科学者というのはそこまで悩むのね。。

地球上に知的生命が存在することがいかに驚異的なことかについての記述が感動的でした。
『惑星で生命が誕生するには数億年に渡って比較的安定した環境でなければならない』に始まって、
太陽からの距離、月の程よい大きさと距離、木星の存在、太陽系の惑星の軌道、銀河系での位置などなど、
数え上げたらキリがないほど夥しい項目をクリアした生命。
そして元を辿れば極めつけの、
『ビッグバンの一秒後に、Ω(オメガ:相対密度)は一から一兆分の一もずれていてはならない』
生命にとって、これほどまでに厳密なさじ加減が必要だったのかと愕然とします。
私たちが今存在することについて、信じられないほど完璧な微調整があったように見えると言うのです。
これがどれほどすごい神業的偶然かを、物理学者のヒュー・ロスが語った言葉が印象的でした。
『大竜巻がくず鉄置き場を襲った結果、ボーイング747が出来上がってしまったようなものだ』
本来ならば有り得ないことですが、私たちの存在がその証明となるのでしょう。
それは突き詰めると確率の問題になって、分母には無数の宇宙の存在が推測されるとか…。
分かったような、分からないような・・・(爆)

観測機器の進歩やテクノロジーの開発を待たずして、理論上の方程式だけがどんどん先を行く現状があるようです。
『予想の上に予想があり、そのまた上に宇宙論がある』という揶揄を目にしたことがあります。
『宇宙論はむしろ推理小説に近い』という記述になるほど~と頷いてしまいました。

全ての事実においてよくぞここまで知りえたものだと、
人類が歩んだ日進月歩の道のりにただただ感服の想いでいっぱいになりました。
そして科学者たちの頭脳こそが宇宙ではないかという気がしてきました。
物理学者は母を尋ね歩いたマルコの情熱を持って、
いつかきっと宇宙の果てのそのまた果てで、知的生命を産んだ母なる宇宙の真理を見つけると確信しています。




ジョニーの感想はどんなだろう?
ジョニー・・・11次元の宇宙って、なに?


【追記】
ノーベル物理学賞の発表があり、三人の日本人が同時受賞されました。
素粒子物理学の分野での功績を認められたということです。
おめでとうございます。
米シカゴ大の南部陽一郎名誉教授は「自発的対称性の破れの発見」
小林誠名誉教授、益川敏英教授は「CP対称性の破れの起源発見」
『パラレルワールド』の中にそれについての記述が確かにありました。
何のことかさっぱりわかりませんが(笑)

本の中でも何人かの日本人の名前がありましたが、
もしかしてこの方々のお名前も乗っていたのでしょうか?
もう図書館に返却してしまったので確認できません。
『パラレルワールド』をお手元にお持ちの方、どうぞご確認下さいね。


【文中で紹介されていた本の一部】…自分用の読書予定メモに。

『タウ・ゼロ』ポール・アンダースン
『神々自身』アイザック・アシモフ
『永遠の終わり』アイザック・アシモフ
『銀河ヒッチハイク・ガイド』ダグラス・アダムス
『高い城の男』フィリップ・K・ディック

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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
拍手~! (のぞみ)
2008-10-08 09:18:25
Reiさん、おはようございます
レビュー、読ませてもらいました。パチパチ~

私も、読みましたよん♪
レビュー書こうとしたんですが、
途中で「無理」と断念(笑)早っ

最初の章から順に読み進めていくと・・、ちゃんと理解できるようになってるそうですね。
それでもやっぱり、「???」な部分も多くて
無視してガンガン読んでいくと、「おっほほ~」なんて部分もあって、
妙にうれしかった(笑)
もちろん!Reiさんは私なんかより、しっかり理解してらっしゃると思いますが

>分かったような、分からないような・・・(爆)
コレ、激しく同感~~

ふだん、宇宙ものには、それほど興味のない私ですが、
「ジョニーも読んだ」という理由だけで、なんだか嬉しくなってしまうのです

「宇宙論って、ハンパなくデカイ!!!!」
これが、一番の感想かな(笑)
ジョニーは、どんな感想だったのでしょうね
返信する
同じく拍手~! (Yaaah)
2008-10-08 11:58:21
おぉ、図らずもタイムリーな記事に

Reiさんの記事で、少し読んだ気になりました

>私たちが今存在することについて、信じられないほど完璧な微調整があったように見える

う~~ん、
微調整の主は『神』なのか、やっぱり?

物理と哲学は近い?

どちらも我々の根源を扱ってる。

で、音楽も人間の根源に近い分野だと
思われません?
返信する
おー (まめ太郎)
2008-10-08 14:14:41
私は昨日から読み始めました。

難しいけど、宇宙論って大好きな分野だから
頑張って読むつもり。

読みつつ、後ろの解説を開きつつ
読み終わる頃まで、装丁が持つかな?
持ち歩くにはでかいし重い。

これ読んでたら、日々の事「ちっちぇ~」
宇宙はでかいぞ!

ジョニー君にコメント有難うございました。
返信する
ポツっと (ももなとん)
2008-10-08 15:02:23
まだ手つかずです・・・

ギル兄ちゃんが終わってからと言いながら、
英語なので、カメの歩みでして

結構難しいみたい?だけど、
早く読みたいなあ。

ジョニーって、こういう本はどこで探すのかな?
まさか、本屋さんで、「平積みだから話題作だよね」
っていうことで、買ったりしないだろうし・・・

きっと、話題作とかを雑誌とかでチェックして
いっぱい、注文するのかなあ?

そういうジョニーの生活の部分って、すごく気になってしまったりな私です

↓のB’zの私も見ちゃいました。
見ながら、ハルさんとnonさんが絶叫してるだろうな?って思いながら・・・
返信する
神業・・・。 (クリス)
2008-10-08 16:25:46
こんにちはReiさん♪

かなり難解そう・・・
私の、やや退化(?)した脳では
理解不可能かもしれません

多くの難題をクリアし
完璧な微調整と
神業的偶然。
その結果、存在する私たち・・・。

そう思うと、今ここにいることが
ちょっと神秘的に思えたりして

折しも、ノーベル物理学賞で3人の日本の方が
受賞されましたね。
同じ日本人として(←これだけ共通)
嬉しいニュースでした






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のぞみさん (Rei)
2008-10-08 18:44:43
のぞみさん、こんばんは♪
のぞみさんも読まれたのね。

>それでもやっぱり、「???」な部分も多くて
そうそう、かなり多かったよね
時々?????????????でしたが、
時々分かる感じでOKにしましょう♪

>ふだん、宇宙ものには、それほど興味のない私ですが、
そっか~。私はこの本、ジョニーが読まなくてもたぶん読みたかったかも。
宇宙の話は昔から好きなの

>「宇宙論って、ハンパなくデカイ!!!!」
ほんとにその一言だね!
今この瞬間も猛烈なスピードで膨張してるなんて不思議。
ジョニーの感想、聞いてみたいね
きっと哲学的な言葉が出てくるのかも
返信する
Yaaahさん (Rei)
2008-10-08 19:14:24
Yaaahさん、こんばんは♪

>おぉ、図らずもタイムリーな記事に
ホントに(笑)
こういう方々が夜空を見ることなく、紙の上に宇宙を表してしまうのですね
皆さん、昆虫に熱中している少年のような目をしていましたね。

>微調整の主は『神』なのか、やっぱり?
神様が手を加えたとしか思えないくらいに“神業の偶然”らしいのです
こんな風に人間まで出来上がる確率は限りなくゼロなのかも。。

>物理と哲学は近い?
現代の物理は科学的証明に裏付けされるものとなっていますが、
古い時代ではその境界線も曖昧だったかもしれませんね。

>で、音楽も人間の根源に近い分野だと
>思われません?
思います!音楽については、人間より先に宇宙に存在したとする意見に賛成です。
この本の中にも音楽と宇宙の関連性が書かれてありました。
『モーツァルトは宇宙に存在する音楽を発見した』と言われるのが分かりました
返信する
まめ太郎さん (Rei)
2008-10-08 19:27:53
まめさん(すみませんが略させて頂きますね!)、こんばんは♪
読書開始なさったんですね~

>難しいけど、宇宙論って大好きな分野だから
>頑張って読むつもり。
まめさんもお好きですか
まるでSF小説みたいに大ボラのようでいてノンフィクションというのが何ともたまりません♪

>読みつつ、後ろの解説を開きつつ
それは完璧な読み方ですね!すごい

かなりの厚さですもんね。持ち歩きはキツイです

>これ読んでたら、日々の事「ちっちぇ~」
私はそう思いたくて読んでるのかも…(笑)
今夜のメニューは・・・なんていうことから逃避した気分が好きです(爆)

ところでジョニーくん
出産のスピードに驚いています!
私たちは毎回素晴らしい作品を見せて頂いて喜んでますが、
どうぞお疲れになりませんように
母体も大切ですので、風邪などひかれませんようにご自愛下さいね。

返信する
ぎょ==!!! (しゃるろっと)
2008-10-08 21:08:23
Reiさん、、、、はやっ!!!

私はまだまだ半分も読めてません(汗汗)
いつになったら読み終えられるのか、見通しもたたず

物理って苦手なのに、ジョニーが読んでるってだけで読もうと思った私がアサハカでしたわ

Reiさんのレビュー読んで、うなるばかりですわ~

読み出すと、すぐに睡魔が襲って熟睡出来る毎日ではあるのですが。。。ハハ

時々、面白い箇所もあるけど、さっぱり意味不明な箇所もあり。。。
ま、いいっす。ボチボチ就寝前の睡眠薬だと思って、読みます

Reiさんの感想読んで、ちょっとは先が見えました(笑)
早々のレビュー、ためになりました♪ありがと~
返信する
すごい! (神無月)
2008-10-08 21:27:01
Reiさんパラレルワールド読まれたんですね。
凄いわ~。私は最近ジョニーの本しか読んでないです。

でも、宇宙の話は好きなので興味はあったのですが、本読むと、すぐ眠くなってしまうので読むのは無理かな~と思ってました。(ジョニーの本だけは大丈夫なんですが。)
だから、Reiさんのレビューありがたいです。

>これがどれほどすごい神業的偶然かを、物理学者の
>ヒュー・ロスが語った言葉が印象的でした。
>『大竜巻がくず鉄置き場を襲った結果、ボーイング
>747が出来上がってしまったようなものだ』
その話に感動です。
宇宙は広くてきっと、ものすごい数の失敗作があるのでしょうが、この地球はみごと生命が誕生した、成功品なんですね。(生命誕生を成功というなら)
神がいるとすると、それだけ試行錯誤したのかな・・と考えてみたりして。

大きい、大きい宇宙。私のふだん考えてる事って、ほんとうにちっちゃい事だな。

Reiさんありがとう~
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