こんにちは。
法人代表の理学療法士・林康一郎です。
2010年5月1日、自由な世界に憧れ組織を離れ、大海に漕ぎ出す気分で事業を開始しました。そして本日、「リハビリ訪問看護ステーション東大阪」は10周年を迎えることとなりました。10年の歳月を経て、今は穏やかな海にたどり着き…と言いたいところですが、新型コロナウィルスの感染拡大という荒波の中、視界不良の真っ只中に漂流しております…。しかし、何とか沈没することなく10周年の日を迎えることができたのも皆様のおかげであり、ここに改めて感謝申し上げたいと思います。
前述の新型コロナウィルスの感染拡大により、日々の日常が根底から覆るという未曾有の経験を我々はしています。そんな荒波の中ではありますが、不思議と落ち着いた心境でいられるのは、この10年間での利用者の方達との出会いのおかげだと思っています。我々が日々接する利用者の方々は病によって手足の自由が奪われる等、それこそ日常が根底から覆る経験をされています。しかし、それぞれの処し方で前に進んでおられる、実に魅力的な方々の日々の暮らしぶりは、私に人生や社会といったものについて随分と「考える」きっかけを与えてくれました。
「考える」というと「人間は考える葦である」というパスカルの言葉を思い出します。人間を力強い大木でなく弱々しい葦に例えたところが秀逸ですし、弱々しい葦が、大河の氾濫の後では大木のように折れずに、しなやかに立ち直ってくる様子が、人間のもつしぶとさのようなものを表していると思います。人間社会が持続して立ち直ってくる、その源泉は「力強さ」などではなく「考える」という営みである、という洞察は実に示唆に富みます。
世界中に広がる新型コロナウイルスの感染拡大。そんな中各国のリーダー達の言葉は様々です。力強く鼓舞するものもありますが、やはり理性のフィルターを通した考え抜かれた言葉にこそ、真の力強さを感じます。このコロナ禍は災厄ではありますが、幸い「考える」時間を与えてくれています。私自身も今一度、自らの専門技術や組織運営についてとことん考えて、次なる10年の航海に出航したいと思っています。