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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

安倍首相、史上最低の施政方針演説。起業支援の成功例として持ち上げたパクチー農家はすでに消え、「桜を見る会」問題もIR汚職はなかったことに。河井克行・案里夫婦は存在しなかったことに。

2020年01月24日 | #安倍晋三が諸悪の根源

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 安倍首相は2020年1月20日、衆参両院の本会議で行った施政方針演説で、地方創生の取り組みの成功例として、農業を起業するための資金援助などを受けて、パクチーの栽培を行うため、東京から島根県江津市に移住した男性を紹介しました。

 

 これについて、1月23日の参議院本会議の代表質問で、立憲民主党の福山幹事長が

「移住者はすでに県外に移住していたということだが、転出の事実を知っていて、演説していたのか」

とただしました。

 これに対して、安倍首相は

「ご指摘の方は、江津市の支援を受けて、移住して起業するとともに、3年以上にわたって居住している。演説内容は本人に確認したうえで盛り込んだが、演説内容以外についてはプライバシーに関わるため、お答えは差し控えさせていただく」

と述べたのですが。

 

 これ、どう考えてもおかしいですよね。

 だって、この方のプライバシーの問題があるなら、そもそもこの人が江津市にいることや、3年間居住していること、パクチーを栽培したことなどなど、演説内容のすべてがプライバシーにかかわることです。

 それなのに、江津市からすでに去っていることだけがプライバシー侵害になるなんてことはあり得ません。

 さらに、この人がいなくなっていることを、安倍首相が知っていたかどうかは、この人の情報でなくて安倍首相の情報ですから、この方のプライバシー権とは何ら関係ないのは明らかです。

 まさに誤魔化しもいいところでしょう。

 

 安倍首相は同じく施政方針演説で「桜を見る会」の問題に言及しなかった理由について、2020年度の開催を中止したので

「関係予算を全く計上していないことから、(演説に)盛り込まなかった」

と釈明しましたが、予算に計上しているかどうかと、演説で触れる問題かどうかは全く関係ありません。

 

 さらに、安倍首相はカジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件や、自民党の河井克行前法相と妻の案里参院議員の公職選挙法違反疑惑に触れなかったことについては、

「内閣として言及することが捜査に影響を与える可能性がある」

と説明しましたが、安倍首相が演説で触れたり、謝ったからと言って、捜査には全く影響はありません。

 いやはや、安倍首相の演説は、フリガナが打ってある原稿を呼んでいたり、内容も突っ込みどころ満載なので有名ですが、今回は歴史上最悪の姿勢方針演説でした。

 さすが、憲政史上に残る内閣を目指しているだけあります。

 

 

ネトウヨアベ信者さんたちの言う通り、ほんとに世界に誇れる立派な首相です。

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参院本会議で施政方針演説をする安倍首相=20日、国会で

写真

 安倍晋三首相が二十日の施政方針演説で、地方創生の移住促進策の成功例として紹介した島根県江津市の男性が昨年末に県外へ転居していたことが分かった。北村誠吾地方創生担当相は二十一日の記者会見で「個人的な事情から、現在は江津市を離れている」と認めた。

 首相は、居住の実態がなくなった事例を取り上げて地方活性化や若者の起業支援の成果を語っていたことになる。菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十一日の記者会見で「男性は三年以上居住していた。演説で紹介するのは問題ない」と強調した。

 施政方針演説などによると、男性はパクチー栽培に取り組むため、二〇一六年七月に東京から江津市へ移住。市が農地を借りる交渉をして、男性は地方創生交付金の資金の起業支援を受けて就農していた。首相は「地域ぐるみで若者のチャレンジを後押しする環境が移住の決め手になった」と述べていた。

 江津市によると男性は昨年末に市役所に転居を報告。男性は県外へ移ったが、農業関連事業は継続しているという。市の担当者は「施政方針演説で、男性の話題が使われるとは知らなかった。事前に聞いていたら、別の事例を紹介できたかもしれない」と困惑を隠さない。市に国から昨年末に問い合わせがあり、市の人口増減データなどを提供したが「施政方針演説に使われるとは知らなかった」と話している。 (中根政人)

 
 

 

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 安倍晋三首相は23日午前の参院代表質問で、施政方針演説で島根県江津市の地方創生の成功例として実名で紹介した男性が県外に転居していたことに関し、プライバシーを理由に説明を避けた。

 首相は「江津市の支援を受けて起業し3年以上居住しており、江津市の企業支援の成功例として演説で紹介した。本人に確認して盛り込んだが、演説で記載した内容以外の事柄については個人的な事情などプライバシーに関わり、お答えは差し控えさせていただく」と述べた。立憲民主党の福山哲郎幹事長への答弁。

 同市によると、男性はパクチー栽培のため、東京都内から江津市に移住し、農業生産法人を別の男性と共同で起こした。首相は20日の施政方針演説で、同市が「東京から一番遠いまち」と呼ばれていると紹介したうえで、若者の起業支援に力を入れた結果、18年に転入者が転出者を上回ったと説明。「地域ぐるみで若者のチャレンジを後押しする環境が(男性の)移住の決め手となりました」と強調していた。【野原大輔】

 

 

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参院本会議で代表質問に臨む立憲民主党の福山哲郎幹事長=23日午前、国会内
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参院本会議で代表質問に臨む立憲民主党の福山哲郎幹事長=23日午前、国会内

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 安倍晋三首相の施政方針演説に対する各党代表質問が23日午前、参院本会議でも始まった。演説で「桜を見る会」の問題に言及しなかった理由について、首相は2020年度の開催を中止したことに触れ、「関係予算を全く計上していないことから、(演説に)盛り込まなかった」と釈明した。立憲民主党の福山哲郎幹事長への答弁。

「桜を見る会」招待、政治枠で膨張 内閣府資料で裏付け

 カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件や、自民党の河井克行前法相と妻の案里参院議員の公職選挙法違反疑惑に触れなかったことについては、「内閣として言及することが捜査に影響を与える可能性がある」と説明した。

<figure class="left">
参院本会議で代表質問に臨む自民党の岡田広氏=23日午前、国会内
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参院本会議で代表質問に臨む自民党の岡田広氏=23日午前、国会内

</figcaption> </figure>

 桜を見る会の問題について、福山氏は「全ての混乱の責任は首相にある」と退陣を迫った。首相は「真摯(しんし)な反省の上に、私自身の責任で全般的な見直しを行っていく」と拒否した。
 日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告の国外逃亡に関しては、「誠に遺憾であり、経緯を解明するとともに、出国手続きのより一層の厳格化を図る」と強調した。自民党の岡田広氏への答弁。

 

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ちょっと調べてみたこと (nanijiro-i)
2020-01-26 15:55:49
〈東京から鉄道で七時間。島根県江津市は「東京から一番遠いまち」とも呼ばれています。二十年以上、転出超過が続き、人口の一割に当たる二千八百人が減少した町です。
 しかし、若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました。〉
 安倍首相が施政方針演説で語った、江津市の地方創生の成功例ですが、その1行目で、なんだか眉に唾をつけたほうがいいかも、という気がして、調べてみました。
●江津市の人口減少は、こんなものだったのか?
 まず、「本州で東京から一番遠い町」というのはいいとして、20年以上で、2800人が減少したというのは、ちょっと少ないかも、と思って調べてみました。
 江津市のHPでは、昨年11月末現在の人口は、2万3465人でした。
 20年前の人口はどうかと、江津市HPをみてみると、2000年が2万9377人です。「二十年以上、転出超過が続き、人口の一割に当たる二千八百人が減少した町です」というと、20年前頃の人口から比較していると思うのが自然でしょう。じっさいは、20年前からの減少は、5900人ほどです(比較対象月が異なる可能性が高いと思われますが)。2割強(20.1%)の減少です。
 2万3465人に2800人をたすと、2万6265人ですが、この人口は、いつの人口なのか。調べてみました。第1次安倍政権のころなんじゃないか、とおぼろげに思って調べたんですが、結果は?
 2009年「2万6503人」、2010年「2万6087人」が近い。いわゆる民主党政権とくらべて、ということになりそう。ちなみに、2012年は2万5443人。民主党政権(正しくは2009-12年の比)で4.04%、安倍政権(正しくは1012-19年の比)で7.74%減です。高齢化が進むなかでひとの移動は相対的にへるなかでの減少ですから、これは、人口減少の勢いを止められるには至っていないように見えます。
 ちなみに、1947年の人口は、4万7057人。半分の水準を切ることになったことがわかります。別資料で、昨年1月1日現在の高齢者人口構成比をみると、38.4%となっています。
●社会増はどのくらい? 
「しかし、若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました」
 これは、ほんとうのことなのか。
〈人口約2万4000(2018年時点)の島根県江津市は、中国地方最大の河川・江の川の河口に位置している。10年前の2007年には、高校の地理の教科書に「東京からの移動時間距離が全国で一番遠い都市」として同市の名前が挙がり、2005年からの5年間で人口が854人減少するなど、衰退する自治体の象徴的な存在だった。それが、次の5年間では19人増へと、劇的な変化を遂げた〉
 などという記事もウェブ上でみられます。でも、これなら、「一昨年、転入が転出を上回り」という内容に反しますし、人口そのものも、2010年代で継続的に減少をつづけているのは統計が示しています。
 ネット検索で出てきたひとつの結果を示します。
http://popobay.sakura.ne.jp/figures/figures32207.html#DM0010
 これによると、2018年は転入620人、転出633人(日本人)、転入46人、転出37人(外国人)となっています。合計で転出が4人多くなっています。
 安倍首相が取り上げたのは、別の統計数字ということになるのでしょうが、転入者の増加に、施策の成功が関係しているのかもしれませんが、大勢を押しとどめるには至っていないこと、その実際に外国人労働の寄与も少なくないことが、見えてくるかもしれない、と思ったしだいです。
 今日は日曜ですが、わたしはこれから仕事ですので、もっと追及することはやめて、現時点でふれたことだけ、書いてみることにしました。
返信する
Unknown (raymiyatake)
2020-01-26 16:02:59
うわ、すご!
労作コメント、ありがとうございます!
返信する
宮武嶺さま (nanijiro-i)
2020-01-26 17:34:07
上記、おほめいただいてありがとうございます。
この前半の「-2800人」の根拠のことなのですが、ちがう思い可能性もあるかもしれないと思いはじめました。いま、調べている時間がないものですから、もう一度、考え直してみた結果を、今夜か明朝に、再度お伝えしたいと思います。
安倍首相がとりあげる数字には、どう理解したらいいのかわかりにくいものが多いので、やっかいだなあと、思ってます。
では、のちほど…。
返信する
上記について、このあと、投稿しなおします (nanijiro-i)
2020-01-27 09:47:26
上記(1月26日)に書いたことは、人口動態統計の原典にあたってみると、問題が多いことがわかったので、つぎの投稿で訂正します。
2018年の江津市の人口の社会増は28人でした。17年は61人の社会減でした。89人ぶんの変化。首相の言うとおり増加でした。
ところが、その理由は、安倍首相がとりあげた「転職・転業」による社会増は、8人(17年)が、13人(18年)になった(+5人)だけです。
社会増の大きな要因は、「結婚・離婚・縁組・離縁」(▲25→+26)、「就学・卒業」(▲52→+42)。
結婚での市内定住と、若者の増加というのなら、すばらしいことのようだが…。なぜなんだろう?
つぎの投稿で、その理由を想像してみました。あたっているでしょうか? この謎の理由は…
地元で取材して、どこかで記事にしてくれないものか。
返信する
調べなおしてみてわかった、意外なこと (nanijiro-i)
2020-01-27 10:02:19
 何かしらべたいことがあると、ネットで検索してみます。それで、それなりの、なんらかの答えを手に入れることができますね。
 でも、昨日わたしが調べたのは、正式な統計の原典にあたってではない(ものがあった)。
 いろいろ調べていって、ようやく、統計の原典がわかる。なにせ素人なもんだから。
 で、原典を調べて、見たのは、意外な実態?! ご報告させていただきます。
 昨日の投稿は、けっこう訂正しなければならないみたいです。すみません(;^ω^)。
 江津市のHPではなくて、島根県のHPに原典があります。こちらです。
 https://pref.shimane-toukei.jp/index.php?view=20602
●転入超過ではあるけれど…
 たしかに、2018年、「転入-転出」は、27人or28人です(統計表により相違あり。推計値と確定値とかなのかなあ?)。転入超過は、そのとおりなんです(2018年:以下は、第12表による)。
 ただ、意外なことは、その内訳にありました。話を単純にしたいので、2017年と比べてみますね。
 2017年は、転入687人、転出748人でした。それが、2018年は、転入719人、転出691人です。転入が32人ふえて、転出が57人へった。それで、17年は61人の社会減だったのが、18年は28人の社会増になった。28+61=89人の相違。なぜ変化したか。
 社会増社会減の理由の統計から、顕著なことが、2つあると思いました。
●まず、顕著なことが2つ
1) 結婚・離婚・縁組・離縁
 2017年は、転入48、転出73(▲25)。18年は転入64、転出38(+26)。
 これだけで、「51人」の、年間の差が生まれています。
 市内に結婚した男女が増えたなら、すばらしいことのようですね。
2) 就学・卒業
 2017年は、転入35、転出87(▲52)。18年は転入111、転出45(+42)。
 これだけで、「94人」の、年間の差が生まれています。スポーツ留学でもふえた?(石見智翠館高校がある)
 就学・卒業で、若者がやってきたり、戻ってきたりしたのかな。すばらしいじゃん!
 と、思いたいところですが、その理由はなにか、あとで、ちょっと仮説を述べたいと思います。
 で、これ以外のところでは、むしろ社会減の方向に、「56人」ぶん動いている。
 安倍首相は、ちがう理由で社会増になったと説明しているわけだけど、それはどうなの?
●安倍首相がとりあげた理由で、どのくらい社会増になったか
「転勤」「就職」「転職・転業」で、どのくらいの社会増減があったかを見ると、
1) 転勤 2017年:転入111、転出118(▲7)。18年:転入92、転出107(▲15)。
2) 就職 2017年:転入120、転出127(▲7)。18年:転入111、転出134(▲23)。
3) 転職転業 17年:転入38、転出30(+8)。18年:転入58、転出45(+13)。
 安倍首相のとりあげたのは「転職・転業」の例でしょうから、そこで「+5人」を達成している。
 たしかに、増加要因になってるようだ。「5人」だけれども。
 ただ、県外からの転職・転業による社会増減をみてみると、転入は2人ふえたものの、転出がふえて、社会増は「+10」から「+2」に、むしろ減っている。
*転職転業(県外) 17年:転入32、転出22(+10)。18年:転入34、転出32(+2)。
 また、転勤と就職による社会増減は、マイナスの方向に38人動いた。その結果、江津市の就業人口は、社会減になっているだろう。
 じゃあ、なぜ、「就学・卒業」と「結婚・離婚・縁組・離縁」が大幅に社会増になったか。仮説を述べてみる。
 「東京から一番遠いまち」が、近隣町村からも「遠いまち」になったからではなかろうか?
●近隣町村からも遠い町に──「三江線」廃業
 2018年3月31日に、江津市と三次市(広島県)を結ぶ三江線が、旅客営業を終えた。江津駅に三江北線が開業して(1930年)から数えて88年目。末広がりとはいかなかった。
 このこととの関係があるのではないかと思った。江津には高校がある。江津高校、江津工業高校、石見智翠館。島根職業能力開発短期大学校もある。
 三江線がなくなって、近隣町村から通っていた生徒・学生が、江津市内に寄宿することになったため、18年に、就学を主な理由にして、111人へと転入がふえたのではないだろうか。そういう仮説を立ててみる。すでに通いはじめている生徒・学生の寄宿分の増加もあったのなら、この年の特殊事情で増えたことになろう。
 婚姻についても、似たような事情はないかと思った。「東京から一番遠い」まちからも、その近隣町村が遠くなると、近隣町村から相対的に江津市が「都会」になる。そこで、この変わり目に、江津市内で結婚する男女がふえた、なんてことはないか。こんなことを思うが、どうだろうか?
 過疎が進み、地方の末端のインフラが維持できなくなったから、江津市が社会増になるっていう逆説なのか?
* * *
 というのが、今日のわたしのレポートだ。中学生のレポートみたいなもんかと思いつつ書いてきた。
 ところで「2800人の社会減」のこと。島根県の上記統計では、1992年から、江津市の人口の社会増減の値を見ることができる。この「2800人」とは、1992年から、あるいは、国勢調査があった1995年から、2017年までの「社会減」の人数ではないかと思う。ざっと計算してみたところ、これが、2700~2900人強くらいになりそうだったからだ。
 数字の根拠がわかりにくい。演説はともかく、首相官邸のページには、注くらいつけたらどうだろう。
 安倍首相は、社会減だけを取り上げて施政方針演説をしたわけだが、それには、ここに書いたような問題がある。で、さらに地方の問題は、当然、自然増減も考えなければならない。江津市の人口プランは、2040年の人口を1万7300人としている。2万3465人から、6000人余り減り、74%弱の想定だ。でも、これも、2012年1.61の合計特殊出生率が、2040年までに2.27になると想定してのことらしい。それすら厳しいものがあるとわかる。
 よく、一部だけを切り取った論評だというのが、政治で批判されるけれど、この首相演説にも、都合のいい一部を拡大させた言説があるんじゃないか。
返信する
〈統計は「うそをつく」こともある〉をこのあと投稿します(+政治学者・菅原琢氏の、江津市の人口動態への論及のご紹介) (nanijiro-i)
2020-02-09 13:27:26
統計は「うそをつく」こともある
*安倍首相が施政方針演説でとりあげた江津市の人口は、ほんとうに「社会増」しているのか?

このあと、つぎのことを書きたいと思います。
1. 安倍首相の施政方針演説では、江津市の人口増減の問題の姿が隠されている
2. 安倍首相の挙げたことが、江津市の人口が「社会増」になった理由ではない
3. 安倍首相が述べたように、江津市の人口は一昨年に「社会増」してはいない可能性がある

つぎのような目次になる。
1. 安倍首相の施政方針演説では、江津市の人口増減の問題の姿が隠されている
*「20年ほど」で減少した江津市の人口は、「約1割」ではなく「約2割」
2.安倍氏の挙げた江津市への県外からの「転職・転業」が、同市人口が一昨年に「社会増」になった理由ではない。主な理由は他にある
*2018年に人口の社会増は「+27人」になったが、「転職・転業」のための社会増は「+13人」。うち県外からの転入超過「+2人」だけ
*2017年と18年を比べると、「社会増減」は「-64⇒+27」になったが、「転職・転業」による社会増の幅は「+8⇒+13」で「+5」のみ
*2017年と18年を比べると、「転職・転業」目的の「県外」からの転入は増えたが、「県外」転出もふえ、社会増幅は「+10⇒+2」と減少
*2017年と18年を比べ、目立つ社会増の変化は、「就学・卒業」による「-52⇒+42」、「結婚・離婚・縁組・離縁」による「-25⇒+26」
*「就学・卒業」はなぜ増えたのかを考える(1)石見智翠館高へのスポーツ留学が意外にも大きい? 野球部の県外出身約90人(19年)
*「就学・卒業」はなぜ増えた……    (2)三江線の廃業?
*「就学・卒業」はなぜ増えた……    (3)統計はうそをつくから、またはその意図的な活用、という可能性
*「就学・卒業」はなぜ増えた……    (4)5年ごとの若者「集団脱走」。なぜ統計では、ある年齢層の若者が特定の年に4割減?
3.安倍首相が述べたように、江津市の人口は一昨年に「社会増」してはいない可能性
*「国勢調査」と「住民基本台帳」の人口は乖離することが、過去の統計から鮮明に見えてくる

※これの本文(のちに投稿)を書き終えたあと、ブログ「国会議員白書」が、この件についてプロの分析をしているのに気づきました。
 政治学者の菅原琢氏のブログです。わたしより、ずっとわかりやすい。
 わたしが、この上のコメントを書いたのは、26-27日。菅原琢氏は、27-28日に、これを公開されています。
 http://blog.sugawarataku.net/article/187087899.html
 http://blog.sugawarataku.net/article/187091325.html
 この記事は、これからゆっくり読んで勉強させてもらいます。ファクトの調べ方や、分析内容など。
 主たる論点は、これから投稿するわたしの推測とほぼ同じでした。
「江津市の社会増は教育機関に通うために引っ越してきた15-19歳男性が生み出したものです。表1を見ると、仕事関係での転入は多くなく、転出も多いことから、若者の起業促進をはじめとする江津市への就労政策が身を結んだ結果、社会増となったと主張することは難しいと結論付けられます。」(引用)
 わたしの投稿より、図表があって読みやすいし、根拠も豊富に調べられています。
 わたしの投稿は、たぶん、素人だからできる、「3」の分析を述べてみたことが、いちばんのちがいかな?
 このあと、投稿します。
返信する
統計は「うそをつく」こともある(1) (nanijiro-i)
2020-02-09 14:51:04
統計は「うそをつく」こともある(1)
*安倍首相が施政方針演説でとりあげた江津市の人口は、ほんとうに「社会増」しているのか?

はじめに の はじめに
さきほど、菅原琢氏のブログを読んだ。わたしがここに書いていることを、氏は、すでに1月28日時点で見抜いていたことを知った。
わたしが書いたこの意見は2回に分けて投稿したい。そして、そのあとで、菅原氏のブログと氏のツイッターを見て思ったことを書く。
この(1)は、かなりわたしの1月28日の投稿と重複するが、(2)で書くことの導入になっていることもあるので、やはり投稿する。
わかりにくいところも多いが、見出しだけを見て拾い読みをしても意味がわかるようには書いたつもりだ。

はじめに
以前投稿した、江津市の人口の「社会増」を安倍首相が施政方針演説でとりあげた、その内容について、あらためて考えてみたい。
同演説でとりあげたパクチー農家が、すでに転出していたことが報道されたが、それだけではなく、気になることがある。
つぎの3点を、とりあげたい。
1. 安倍首相の施政方針演説では、江津市の人口増減の問題の姿が隠されている
2. 安倍首相の挙げたことが、江津市の人口が「社会増」になった理由ではない
3. 安倍首相が述べたように、江津市の人口は一昨年に「社会増」してはいない、可能性がある
あらためて考えたいと思ったひとつのきっかけは、先日の衆議院予算委員会で、国民民主党の関西出身のM議員が、北村誠吾・地方創生担当相との質疑で、この件をとりあげていたのを、朝日新聞デジタルで読んだことにある。この質疑が、北村大臣の資質が問われる問題答弁の最初のものだったようだ。考え直してみたところ、さきに取り上げたのとは別のことも気になりだした。「統計は『うそをつく』こともある」ことである。先日の投稿の内容も含めて、まとめなおしてみることにした。

0.安倍首相の施政方針演説での、この話題の冒頭は、どうだったか
〈東京から鉄道で七時間。島根県江津市は「東京から一番遠いまち」とも呼ばれています。20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です。
 しかし、若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました。〉
 安倍首相が施政方針演説で語った、江津市の地方創生の成功例ですが、その1行目で、なんだか眉に唾をつけたほうがいいかも、という気がして、調べてみました。以下にご報告します。
0-1.2018年に、転入が転出を上回り、「社会増」を実現した、という統計がある
 島根県「統計情報データベース」の「推計人口」で、社会増があったという統計が確認できます。非公式なページで、同年の人口動態で、転出が転入より4人多いとするものがありますが、それは別の根拠によるものなのでしょう。このことを、まず踏まえます。

1.安倍首相の施政方針演説では、江津市の人口増減の問題の姿が隠されている
*「20年ほど」で減少した江津市の人口は、「約1割」ではなく「約2割」
 まず、気になったのは、「本州で東京から一番遠い町」というのはいいとして、20年以上で、2800人が減少したというのは、ちょっと少ないかも、ということ。調べてみました。
 江津市のHPでは、昨年11月末現在の人口は、2万3465人でした。
 20年前の人口はどうかと、江津市HPをみてみると、2000年が2万9377人です。「20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です」というと、20年前頃の人口から比較していると思うのが自然でしょう。じっさいは、20年前からの減少は、5900人ほどです。2割(20.1%)の減少です。
 不可解です。なぜこういう齟齬を来たしてしまったのか。
1-2.安倍首相は「社会増」を問題にしているが、地方の人口問題は「自然減」と合わせて語るべき
*「2800人=1割減」とは、「社会減」だけを述べたものか?
 いくつか考えて、何時間もたってから、これは、人口の「社会減」だけについて言っているのではないかと思いました。
 1994・95年が社会増だったので、1996年以降2017年まで続いた「社会減」をざっと合計すると、このくらいになりそうです。
「20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です」という文章は、
「20年以上、転出超過が続き、そのことによる町の人口の減少は、その1割に当たる2800人にも上りました」のように、誤解のないように書いてほしいところです。あるいは、演説での表現が誤解を招きそうなら、首相官邸のHPの演説文に注をつけてほしいもの。
*ウェブ上でみられる記事にも、同じような誤解をさそう表現がある。それに倣ったかのよう
 安倍首相がとりあげた「若者の起業を積極的に促した」取り組みを紹介するウェブの記事にも、同じような曖昧な表現があります。
 一例をあげます。
〈人口約2万4000(2018年時点)の島根県江津市は、中国地方最大の河川・江の川の河口に位置している。10年前の2007年には、高校の地理の教科書に「東京からの移動時間距離が全国で一番遠い都市」として同市の名前が挙がり、2005年からの5年間で人口が854人減少するなど、衰退する自治体の象徴的な存在だった。それが、次の5年間では19人増へと、劇的な変化を遂げた。〉
 ここで、「2005年からの5年間で人口が854人減少」が、情報ずらし・隠しの「ごはん論法」です。上記の島根県HP記載のものがこの記述の原典ではないのだとは思いますが、2005年から5年間の人口減少は、上記県HPでは2151人。社会減は931人、県外との転入転出減が720人だから、別の統計で、後2者のどちらかの数字を使っているのかもしれません。ですが、ここには「社会減」のことだほのめかすような言葉もありません。次の5年間には、上記県HPでは1229人減。社会減は323人、県外との転入転出減が236人。以上のこの段落の人数は、島根県の同HP内と江津市のHPでいろいろな箇所から摘まんで求めたものですが、このいずれにしても、19人増にはなりそうもないと思う。この記事では、自然減にはどこにも触れられておらず、自然減がないかのように扱われている。
 この点に、安倍演説も倣っているのではないか。しかし、あとで説明ができるように「転出超過がつづき、人口の1割に当たる…」という説明にしたんでしょうか。
 地方の人口問題は、自然減を抜きにできないのは、至極当然ですが、スルーして、「20年ほどで1割減」で「社会増達成」なら希望があるかのような印象をもたせるような説明をする。こんなところにも、現実に目を向けず、それを糊塗する政治姿勢が現れてはいないか。

2.安倍氏の挙げた江津市への県外からの「転職・転業」が、同市人口が一昨年に「社会増」になった理由ではない。主な理由は他にある
 安倍首相は、「若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました」と語ります。
 たしかに、2018年に、転入が転出を上回り、「社会増」を実現した、という統計がある。ですが、安倍氏のいう理由は正しいのか。
 人口の各市町村での社会増減の理由の統計が、上記の島根県HPの統計情報DBの「推計人口」にある。各年の「表12」である。
 それをもとに、この年に社会増になった理由を推測してみたい。2017年と2018年を比べて、その理由を考える。
 統計情報DBには、いくつかの表があり、表ごとに数字の若干の相違がある。以下は、おもに「表12」の数字を用いて述べていく。
*2018年に人口の社会増は「+27人」になったが、「転職・転業」のための社会増は「+13人」。県外からの転入超過は「+2人」だけ
*2017年と18年を比べると、「社会増減」は「-64⇒+27」になったが、「転職・転業」による社会増の幅は「+8⇒+13」で「+5」のみ
「若者の起業を積極的に促した」(原因)⇒「転入が転出を上回り、『社会増』を実現」(結果)という因果関係は正しいだろうか。
転職・転業 17年:転入38、転出30(+8)。18年:転入58、転出45(+13)。
 安倍首相のとりあげたのは「転職・転業」の例でしょうから、そこで「+5人」を達成している。たしかに、増加要因になっている。
 ただし、「5人」だ。17年⇒18年の変化は、+方向に「91人」動いているなかでの「+5人」なので、主要な原因と言えるだろうか。
*2017年と18年を比べると、「転職・転業」目的の「県外」からの転入は増えたが、「県外」転出もふえ、社会増幅は「+10⇒+2」と減少
 安倍首相のとりあげたのは、県外からの人口の流入だから、県外からの転職・転業による社会増減をみてみる。
  転職・転業(県外) 17年:転入32、転出22(+10)。18年:転入34、転出32(+2)。
 転入は2人ふえたものの、転出がふえて、社会増は「+10」から「+2」に、むしろ減っている。
*「転勤」「就職」では、社会減が拡大しているので、江津市への就業のための人口移動は、マイナスと考えていいだろう
  転勤 2017年:転入111、転出118(-7)。18年:転入92、転出107(-15)。
  就職 2017年:転入120、転出127(-7)。18年:転入111、転出134(-23)。
 それでは、この年に「社会増」になったのは、どういう理由が増えたからなのだろう。
*2017年と18年を比べ、目立つ社会増の変化は、「就学・卒業」による「-52⇒+42」、「結婚・離婚・縁組・離縁」による「-25⇒+26」
 意外にも「就学・卒業」が「+94」、「結婚・離婚・縁組・離縁」が「+51」変化していた。それが、この統計での社会増の原因だった。
 これは、若者がふえて、若い夫婦も増えているということなら、とても望ましいことである。では、実態はどうか考えてみる。
*若者人口では、同学年の人口がふえるが、同年齢の人口はふえない、という趨勢がある
 なんのこっちゃ、と思われるかもしれない。「募ったが、募集していない」みたいに聞こえるかもしれないが、こういうことだ。
 就学人口の増減は、高等学校への進学と就学にあらわれていると考えられる。江津高、江津工高、石見智翠館高が同市にはある。
 すこし幅が長いが「12-17歳」人口を考える。それを前年の「11-16歳」人口と比べると、この年齢層の同学年人口の増減がわかる。
 これは、+27、+104、+36、+17、+25、+29、+57、+13、-7、+23、+14、+170、+12、+76、+103(2005/04~19/18)
 と推移してきた。いずれも同学年の人口が増加してきたことになる。なお、「+104」「+57」「+170」と5年毎の大きい数字にも気づく。
 ところが、「12-17歳」人口を、前年の「12-17歳人口」と比較すると、どういう増減になるか(上記の県HPの各年齢毎人口から集計)。
 これは、-130、-10、-133、-82、-77、-47、27、-79、-71、-16、-22、+142、-148、+1、+70(2005/04~19/18)と推移してきた。
 同年齢人口はほぼ毎年減少してきた。18年に「94人」「就学・卒業」による社会増減が+方向に触れたが、この年でも「+1」にすぎない。
 「同学年の人口」がふえたが、「同年齢の人口」はへる趨勢とは、こういうことである。この2つの区別は紛らわしいので、以下要注意。
 2019年は、その理由の統計が現時点で未発表だが、同年齢人口「+70」となっている。これをどう見るかという問題は残る。(つづく)
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統計は「うそをつく」こともある(2) (nanijiro-i)
2020-02-09 15:55:04
統計は「うそをつく」こともある(2)
*安倍首相が施政方針演説でとりあげた江津市の人口は、ほんとうに「社会増」しているのか?(承前)

 (前投稿よりつづく)
 2019年は、その理由の統計が現時点で未発表だが、同年齢人口「+70」となっている。これをどう見るかという問題は残る。
 なお、ここでも、5年毎に「-10」「27」「142」という、正の数または負だが大きな負数でない数字がでている。理由は後に考える。
 このような見方からは、社会増は人口増に容易に結びついていないと思われる。勿論、その理由は、少子化が進んでいるからだろう。
 こうした見方はできそうだが、同学年で「就学・卒業」が増えていることはたしかだから、その理由をこのあと「3つ」想像してみたい。
 なお、ここで「12-17歳」人口を考えたが、「12-14歳」人口の変動はきわめて小さく、17歳人口の変動も少ない。
 そのため、これは「15-16歳」人口の変動と、かなり近くなる。年齢階層数を少なくして比較するために、この幅で考えた。
 このように「6歳幅」「12歳幅」で考えると、「0-11歳」「12-17歳」「18-23歳」……と、就学・卒業等の実態を考えやすい。
 23年ぶりに「社会増」となった2018年ですら、年齢階層では「12-17歳」人口が「+1人」のほかは、「18-23歳」人口が増えたのみ。
 ここでは、同年齢比較で141人増。同学年比は59人減だが、近年最小の減少。同学年比で24-35歳は27人増、36-47歳で6人増。
 「12-47歳」合計で+になっていない。それ以外の年齢階層を「12歳幅」で取ると、すべての年齢層で減少ということも書き留める。
 ただ、2018年は、「同学年人口」が12-17歳で76人増なので(18-23歳は59人減。「同年齢人口」は増加したが、こちらは減少)、「社会増」の主原因は、やはりここに帰せられると思う。

*「就学・卒業」はなぜ増えたのかを考える (1)石見智翠館高校へのスポーツ留学が意外にも大きい?
 これが、意外にも増加原因としては小さくないかもしれない。
 野球部 2019年の記事 部員数121名 うち県内出身者約10名。(予告編の県外出身者は約90人というのは誤り)
 ラグビー部、女子ラグビー部、他 スポーツ推薦50名、一般でスポーツコース30名が定員という記事あり。
 ということになると、毎年数十名の規模で、寮生活をする生徒が、江津に来ているのではないか。これは侮れない?!
 野球や男女ラグビーの好成績が、スポーツで生徒が集まる状況をいかほどか加速させたことは、あったかもしれない。
 江津高校、江津工業高校の寮は、ウェブでみるかぎり、あまり入居者は多くなさそうである。
*「就学・卒業」はなぜ増えたのかを考える (2)三江線の廃業?
 2018年に増加したことから、三江線の廃業(同年3月末)との関係を考えてしまう。
 じっさい、通学路線だったようだ。しかし、スクールバスが通学の足となるようになり、三江線の利用者は減少していたらしい。
 利用者の一部が、寄宿生となったということもありうるかもしれない。だが、そういう状況なら、それほどの人数ではないのかも?
*災害で不通が多かった三江線。安倍首相の話に違和感?
 災害で不通になることが近年多く、復旧費用がばかにならず、スクールバスが通学の主役にもなり、利用客の減少はやまず、廃線に。
 江津市のことにふれた施政方針演説は、地方創生がテーマで、災害のことから語りはじめ、つぎの引用の直後に同市の話をした。
〈昨年の台風十九号では八ッ場ダムが利根川の被害防止に役立ちました。水力発電や農業用水などを目的とするダムについても、緊急時には省庁の縦割りを打破し、一元的に活用するための対策を、全ての一級河川を対象に、この夏までに取りまとめます。
 相次ぐ自然災害の教訓を活かし、全国で、川底の掘削、堤防の整備、無電柱化を進めます。送電線の計画的な更新、電力会社、自衛隊、自治体の平時からの連携などにより、強靱な電力供給体制を構築します。防災・減災、国土強靱化を進め、災害に強い故郷(ふるさと)を創り上げてまいります。〉
 三江線は、災害に苦しんで、廃線につながったことを考えると、違和感のある話しぶりだったのではないか。 
*「就学・卒業」はなぜ増えたのかを考える(3)-1 この統計はほんとうか? 2016、11、06年の大量「若者集団脱走」をどう見る?
 年齢別人口の各年推移をみると、特異な箇所がある。たとえば、2016年に「若者集団大脱走」があったようなのだ。何があったのか。
 2015年の19~22歳の各年人口と、16年の20~23歳の各年人口を比べる。「19⇒20歳:180⇒120人」「20⇒21歳:199⇒111人」「21⇒22歳:192⇒79人」「22⇒23歳:203⇒110人」。この年だけで「19-22歳⇒20-23歳:774人⇒420人」。354人、45.74%減。11人の同級生が、この年だけで5人、市外に出たことになる。
 実は2010-11年「18-22⇒19-23歳:1144⇒644人」500人減。2005-2006年も「18-22⇒19-23歳:1371⇒829人」542人減だった。同級生10人中6人がこの年に市外へ…。5年おきに大減少。
 これは、統計のうそなのかということだが、結論をいえば、この年に人口が大幅に減少したというのは事実でないが、人口減は本当。
 さきにも、5年おきに社会増減数統計に大きな数字が出てくることを述べた。そちらは+の方向だったが、いずれも国勢調査の翌年。
 つまり、国勢調査を反映した結果、大きな社会増減が、示されるということだ。いわば、統計が自らの「うそ」を正したことになる。
*「就学・卒業」はなぜ増えたのか (3)-2 統計は「うそ」をつく だが「うそ」を正すことも うそを正したところで真相が見える
 前述の「12-17歳人口」で、これを見てみる。2016年「+170」が、国勢調査による実態を反映した増加ということになる。
 この年は、「18-23歳人口」が-229人、「24‐35歳人口」が+317人。これら3区分を合計して、188人の+だった。
 他方、2011年は、3区分を合計して-32人。2006年には、3区分を合計して-236人だった。
 ということは、国勢調査をへなければ、ほんとうに社会増が実現したのかどうかは、わからないということだ。
 2006年のように、5年間で「-236人」が蓄積されたなら、年間27人の社会増は、じつは社会減だった、てことにもなりえるのでは?
 また、この調整を国勢調査時期以外に操作することで、社会増減の値も操作できるかもしれない。統計偽装もありうるのだから。
*「就学・卒業」はなぜ増えたのかを考える(3)-3 統計はうそをつくことを、逆用して、人間がうそをつくこともできる
 国勢調査の結果により社会増の増加になる要因を、調査年ではない年に実現し、減少になる要因を実現しなければ、社会増の方向に、統計数字は操作できる理屈だ。
 具体的には、住民基本台帳への転居記録を促進し(寮生などの転居を正確に把握する)ことで、社会増はふやせるかもしれない。
 そういったことが行われる可能性も想像されてしまうのは、安倍氏と内閣のこれまでの行いの信用のなさのゆえである。
*「就学・卒業」はなぜ増えたのかを考える(3)-4 大量の「社会減」をこそ見つめたほうがいいんじゃないか
 さきに、1年で若者4学年で「11人⇒6人」の社会減が起きていることを見た。そこで、社会増減の動向を、ある学年にみておこう。
 2016年に「22歳」だった学年は、19年には25歳で「69人」。これは94歳人口より少ない。(94歳82人、95歳59人、96歳66人)。
 1994年の出生数は268人。2008年の14歳人口:246人。社会増があって2011年の17歳人口:305人。それが翌年から減って、2016年:110人。さらに減り続け19年:69人。出生数比:25.75%、14歳時比:28%、17歳時比:22.6%。出生数比で4分の1、17歳時比で同級生9人中2人しか地元に残っていないことになる。当り前のことだが、地元に雇用・仕事を増やすしかなさそうだ。 
3.安倍首相が述べたように、江津市の人口は一昨年に「社会増」してはいない可能性
*「国勢調査」と「住民基本台帳」の人口は乖離することが、過去の統計から鮮明に見えてくる
 というわけで、2021年の統計情報DBの数値がでなければ、ほんとうに「社会増」したかはわからないと思うのだ。
*江津市の取り組みの成果には、意味がある
 ここまで述べてきたことにもかかわらず、江津市の取り組みには意味があると思う。県外出身者の起業支援が、地域の活力を維持し展開することに役立ってきたと思う。明るい話をすることも必要だ。
 一方で、江津市の人口プランは、2040年の人口を1万7300人としている。2万3465人から6000人余り減り、74%弱の想定だ。
 でも、これも、2012年1.61の合計特殊出生率が、2040年までに2.27になると想定してのことらしい。厳しいものがあるとわかる。
 スポーツ留学などによる高校生学年の人口増は、のちの人口流出の数字となる可能性も高い。ただしそういった若い人口の増加が、まるまる外部流出するわけではなく、地元の若者との結婚に結びついているケースも多少なりともあるのかもしれない。
 そういうポジティブなことはありうるものの、よく、一部だけを切り取った論評だというのが、政治で批判されるけれど、この首相演説にも、都合のいい一部を拡大させた言説があるんじゃないか、と思った。
 なお、予算委員会で北村誠吾地方創生担当相に質問をしたM議員とは、前原誠司(国民民主党)である。その後の同大臣の答弁の迷走ぶりの最初のものだが、別のとりあげ方はできなかったものか。この質疑が朝日新聞デジタルに載っている。前原さんは、2019年も社会増になったと述べて、大臣よかったですね、と言っている。もしかして、菅原琢氏の論考で、この増加が一時的なものだろうと述べられているのを知っていた? それはわからないが、読んでいたのであれば、もっと踏み込んだ考察をもとに質問をしてはどうだったか。
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菅原琢氏のブログと、同氏のツイッターを読んで (nanijiro-i)
2020-02-09 17:43:51
この件、コメントのラストのもの。
1. 菅原琢氏のブログは、わたしがここに書いたことの骨格を、すでに2週間前に書いており、より本質をついている。
〈ストーリーとしては、それまであまり住民票を移動させていなかった石見智翠館高校のスポーツ寮生が、何らかの理由により住民票を移動させるようになったことが、江津市の社会増を生み出したのだと想像されます。(中略) 誰か突っ込んで調べてくれれば面白そうですが。〉(引用)
 ここまで、書いておられる。
2. 菅原氏のあげた「毎日新聞」の記事は、わたしも気になった。
「江津市 社会増モデルに 創業・移住促進、内閣府が評価 11日講演会 /島根 毎日新聞2017年9月6日 地方版」
 https://mainichi.jp/articles/20170906/ddl/k32/010/416000c
 この記事のなかにある「内閣府の調査で、江津市の社会人口は、2010年に854人減だったが、15年に19人増に転じた。ビジネスプランのコンテストなどによる創業・移住促進の取り組みが評価された」というのが、前にも触れたが、根拠は?
 2010、15年というのは国勢調査年だから、住民基本台帳人口と、国勢調査人口が大きく乖離するのは、すでに見てきたとおりなので、その乖離が大きすぎた反動として「+19人」が、見かけ上出た、ということは、ありえることかもと思ったが。
しかし、官邸の地方創生の資料では、5年間の増加になっている。また計算式がたしかに示されているのだが…。これまでに使ってきた島根県の資料での社会減は、(2010)⇒2011⇒2012⇒2013⇒2014⇒2015で、-24、+7、-72、-30、-70で、合計で-189人になるのだが。
2-2.なにを根拠に「転入が転出を上回る社会増の実現モデル市に、県内から江津市が選ばれた」ということになったか。
それがわからない。そして、2018年に、15年に実現したとされるそれが「実現」するのだ。正式に統計上で近年はじめて、(これも見かけ上かもしれないが)社会増になった。その前にすでに「社会増」のモデルになっていたというのだから、何とかそれを実現することが考えられた?
3. 5年おきの特異点「2016年」の「16~18歳人口」増加には「2011年」「2006年」には見られない、別の特異さがある
 2006年の15~17歳人口の特異点増加は、14⇒15歳:285⇒306人、15⇒16歳:291⇒329人、16⇒17歳:352⇒401人
 2011年の15~17歳人口の特異点増加は、14⇒15歳:226⇒242人、15⇒16歳:247⇒278人、16⇒17歳:283⇒305人
 2006年の17⇒18歳人口は、減少。2011年も減少。2006年17⇒18歳:369⇒356人。2011年17⇒18歳:258⇒255人
 それが、2016年には、このようになった。14⇒15歳:216⇒220人。15⇒16歳:214⇒275人。16⇒17歳:238⇒344人
 そして、17⇒18年:220⇒283人へ増加に転じた。15⇒16歳は、2006⇒11⇒16年:+38⇒+31⇒+61人。16⇒17歳は、同じく+49⇒+22+106人。17⇒18歳は、同じく-13⇒-3⇒+63人。ここには、国勢調査要因以外の理由があるのでは?
 15~17⇒16~18歳で、2006⇒11⇒16年:+74⇒+50⇒230人。その理由は? この時期に「18歳」の意味が変ったから?
4.18歳選挙権が、この年齢の社会増をもたらした?
 菅原氏のツイッターに、「安眠練炭」という方がつぎのようなコメントをしていました。
〈安眠練炭 @aNmiNreNtaN 1月28日
島根県とは全然関係のない別の県の話ですが、全寮制の某私立高校があるとき生徒全員に住民票を移すようにお達しを出したことがありました。その高校が所在する自治体では18歳まで医療費の補助があり、高校のスポーツ活動などで負傷したときのサポートが手厚いことを学校が知ったからです。
その高校の生徒はほとんど他の市町村の出身者で、出身地に住民票を置いたままだったのが、この通知を受けて一気に住民票を移したと聞きます。折しも選挙権年齢の18歳への引き下げが実施されたこともあり、自治体側も積極的だったとか。
人口問題を多少ともかじった人なら、国勢調査人口と住民基本台帳人口のずれのことは知っているはずで、人口の社会増減を分析するときに注意を払わないわけがありません。安倍首相のスピーチライターは人口統計のことを全然知らない素人だったのか、あるいは知っていてわざと嘘をついたのか……。〉
そうかあ、「18歳選挙権を実現する改正公職選挙法は、2015年6月19日に公布され、16年6月19日に施行され、同年6月22日から適用されることとなった」。このことと、この年齢層の2016年の人口増とは、たしかに関係がありそうですね。
以上
追伸:1月26日の投稿で引用したURLに誤りがありました。おわびして訂正いたします。
http://pop-obay.sakura.ne.jp/figures/figures32207.html#DM0010
ただし、わたしが典拠にした図表は、2018年時点のものでしたが、2019年時点のものに修正されています。
ながながと失礼いたしました。
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