米軍普天間飛行場の移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立てに使う土砂の沖縄県外からの搬入を規制する県条例が、2015年7月13日に県議会で成立したことをめぐり、時事通信社記者が菅義偉官房長官の同日の記者会見でこんな質問をしたそうです。
「沖縄が(第2滑走路の)工期短縮を難しくするような決断をしたことについて、もう国としてもある意味、見限ってもいいような気がするが、いかがでしょうか」
「もう、そんな連中は放っておいてもいいと思うが、いかがでしょうか」
(あ然)。
この条例は、普天間基地の辺野古への移設工事に反対する翁長雄志知事を後押しする県政与党5会派が提出して成立したものです。
この時事通信の経済部の男性記者は、この条例により、沖縄県の要請で国が工期を短縮した那覇空港第2滑走路の建設にも支障が出るのではないかという可能性を指摘して、「国として見限っていい」「もうこんな連中は放っておいてもいい」などと質問したというのです。
さすがの憲政史上最悪の官房長官菅氏でも
「沖縄の発展は日本の発展にとっても極めて大事だ。できる限り沖縄県と話し合いながら進めていきたい」
などと答えたというのですから、この記者は菅官房長官にも劣るトンデモセンスの持ち主と言えます。
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この事件を私は今朝、内からリンクさせていただいている老舗ブログの「村野瀬玲奈の秘書課広報室」で知ったのですが、村野瀬さんはこう書いています。
『沖縄への無理解と不勉強。沖縄差別。権力者気取り。暴政をはやしたてる暴力的で未熟で軽薄な人格。...この報道を読むだけでたちどころに思いついた、この記者を形容する言葉です。
どの点をとっても、この時事通信のいわゆる記者はジャーナリストでいる資質も能力もない、ただの暴力ライターにしか思えません。
これがただの「注意処分」で終わるって、時事通信社の甘さもあわせて私は問題にします。
時事通信社が本当に報道機関なら、このような軽薄で不勉強な人物を記者として続けさせるべきではなく、記者ではない職に配置転換すべきです。
たまたまの「不適切な表現」ではなく、この記者の「不適切な資質」です。』
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私もまったく同感です。
この記者の言っていることは、沖縄県議会が賛成多数で可決した条例を国が無視して踏みにじっていいと言っているわけですから、法治国家なのに法令無視行為を政府に促しているわけで、言語道断です。
また、
「そんな連中」
という言い回しに、沖縄に対する何とも言えない上から目線、差別意識がにじみ出ていて救いがたいです。
村野瀬さんも書いているように、時事通信社は不適切な質問をしたとして、この記者を注意したというのですが、時事通信は全国の新聞社に記事を配信する通信社ですから、こんな記者たちがどんな記事を書いては送ってきたかと思うとぞっとします。
一罰百戒。こういう人は報道部門からどっかに配置転換すべきでしょう。
そしてもちろん、この記者が特別におかしいとは思うのですが、沖縄の人々が本土のマスメディアに見捨てられたも同然で来ていることは事実なので、この事件は全マスコミが我がこととして反省しなければいけない問題だと思います。
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なぜ沖縄にだけ基地が押しつけられるのか、植民地の歴史のなかに原点があった!!プエルトリコなどにおける住民排除の基地建設過程を検証しつつ、これまで研究されることの少なかった占領直後の横暴な沖縄基地建設との共通性を跡づける。
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沖縄差別の解消と基地問題(42)
沖縄差別の本音だけでなく、NHKをはじめとしてマスコミが押しなべて安倍政権の顔色をうかがう「鮃(ひらめ)メディア化」している本性が、思わず出たのだと思います。
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2015.7.13 22:54 産経新聞
沖縄「国として見限っていい」 官房長官会見で異例の質問
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古移設の埋め立てをめぐり、同県議会で13日に成立した埋め立て資材の搬入規制条例に関連し、同日の菅義偉官房長官の記者会見で時事通信社の記者が「国として見限っていい」「もうこんな連中は放っておいてもいい」などと質問した。菅氏は「できる限り県と話をしながら進めていきたい」などと答えた。
2015年7月13日21時29分 朝日新聞
13日夕に首相官邸であった菅義偉官房長官の定例会見で、沖縄県議会が埋め立て用の土砂の規制条例を成立させたことについて、時事通信の記者が「もう、そんな連中は放っておいてもいいと思うが、いかがでしょうか」と質問した。同社は質問を問題視し、記者を注意した。
条例は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する社民・護憲など与党会派が提案した。時事通信の記者は、この条例により、沖縄県の要請で国が工期を短縮した那覇空港第2滑走路の建設にも支障が出るのではないかという可能性を踏まえ、「沖縄が(第2滑走路の)工期短縮を難しくするような決断をしたことについて、もう国としてもある意味、見限ってもいいような気がするが、いかがでしょうか」「もう、そんな連中は放っておいてもいいと思うが、いかがでしょうか」などと質問した。
菅氏は「沖縄の発展は日本にとって極めて大事だ」などと繰り返し答えた。
時事通信は13日、朝日新聞の取材に対し、「不適切な表現で、極めて遺憾だと考えている。すでに本人に注意をした」と答えた。
沖縄巡り不適切な質問、時事通信が記者を注意
沖縄県議会が埋め立て用土砂の県外からの搬入を規制する条例を13日に可決・成立させたことを巡り、時事通信社の記者が同日、菅官房長官の記者会見で「そんな連中は、ほっといてもいいのではないか」などと質問した。
同社は「不適切な表現で、極めて遺憾だと考える」として記者を注意したことを明らかにした。
同社によると、質問したのは経済部の男性記者。条例は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事に反対する翁長おなが雄志たけし知事を後押しする県政与党5会派が提出した。ただ、県が早期開業を要望する那覇空港の第2滑走路整備事業も対象となるため、この記者は「(県が)工期短縮を難しくするような決断をしたのであれば、国としても見限ってもいいと思うが」などと菅氏に質問。菅氏は「沖縄と話をしながら進めていきたい」などと答えていた。
時事通信が記者を注意 沖縄巡り不適切質問
- 2015/7/14 0:58 日本経済新聞
時事通信社は13日、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立てに使う土砂の県外からの搬入を規制する県条例が成立したことを巡り、同社記者が菅義偉官房長官の記者会見で不適切な質問をしたとして、記者を注意したと明らかにした。
記者は会見で「国としてもある意味見限ってもいいような気がするが、その辺はいかがでしょうか」などと質問。菅氏は「沖縄の発展は日本の発展にとっても極めて大事だ。できる限り沖縄県と話し合いながら進めていきたい」と回答した。〔共同〕
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不思議だな~と勘ぐってはいけませんね(笑)
当たり前でしょ。本土に比べてはるかに小さな面積のところに、何で米軍基地が集中しているのか。
普通に考えればおかしな話で、安保体制の必要性は認めるからもっと本土の方で基地を負担してくれと沖縄側が言ったとしても全く正当な言い分です。
それなのに沖縄への基地押し付け負担押し付けを当たり前かのように言うのは、まことに摩訶不思議ですね。
これでは、沖縄差別があると言われても仕方ないでしょう。
こんなこと言うのはこの記者個人に限りません。
ネトウヨさんたちや暴言妄言で有名な例の小説家をはじめとして数多います。
産経などの論調もここまで露骨な差別は表現しないまでも、根底にはそれがあるのではないかとの疑念をうかがわせます。
日本の安全保障にとってはかりしれない重要性を持つ沖縄を「見限ってもいい」などの言葉が出てくるところに、ホントは安全保障のことを何も考えていない浅薄さが表れているとおもうのです。
「田崎史郎」の「子飼い」
なのでしょうね・・・・・・