同じ弁護士でも刑事弁護を中心にやっておられる郷原弁護士と、女性の人権事件を多くやっておられる太田弁護士では全くものの見え方が違うということが後に引用したブログやフェイスブックの記事でお分かりになると思うのですが、私も少しだけ感想を。
私がまず驚いたのは、高畑容疑者が不起訴処分になったとたんにテレビの報道では、高畑祐太さんとさん付けになったことです。
それまでは極悪人のように報道してきたのに。
強姦罪は親告罪と言って被害者の告訴がないと検察官が起訴できない罪で、本件の強姦致傷は告訴がなくても起訴できる犯罪です。
とはいえ、今回の事件の傷害の程度は全治一週間ということで軽傷ですから、ここは検察の段階で認定落ちして強姦罪ということになり、示談が成立すれば起訴できなくなるのではないかと私は思っていました。
今回は強姦致傷のままだったようですが、このように形式的には強姦致傷の罪名のままでも示談が成立すれば不起訴になる可能性は十分ありました。
ですから、この事件が起訴され、実刑判決が下ることまでほぼ間違いないというような報道がされたのは異常でした。
このようにかなり過大に報道された事件ですから、高畑氏が不起訴になったにもかかわらず今後も誹謗中傷に悩まされることは間違いありません。
30秒頭を下げ続けても、マスコミにガンを飛ばしたとそっちばかり取り上げて批判される高畑氏。
たとえば、示談が成立したことについて、カネで被害者を押さえつけたかのような捉え方をしている人がいます。
しかし、示談は被害者の方が受けてくれなくては成立しないものですし、被害弁償は事件後に加害者ができるほとんど唯一の償いですから否定的にとらえるべきではありません。
示談が成立したからには、示談書の中に、被害者が加害者を宥恕する(許す)という一文が入っているはずで、そこまで被害者感情を緩和できたということですから、これは被害者にとっても加害者にとっても手放しで喜ぶべきことです。
だから、逆に、被害者に対して「所詮金が目当てだったのか」というような中傷をする向きがありますが、全く的外れで、セカンドレイプというべき酷い言動であり、厳に慎むべきです。
こうしてみると、被害者も加害者もこの事件の余波を多かれ少なかれ受け続けなければいけないのでしょうが、これからの報道はもっと冷静に、両者の人権第一に行なわれるべきですし、市民もこれ以上興味本位の論及はすべきではないと思います。
刑務所に行った人でさえ、受刑後の更生の重要さが言われるのですから、これからは温かい目で見守ってほしい。
高畑氏の弁護団が報道機関に当てたファックスで、高畑氏の事件が起訴されていれば無罪の主張をしたような悪質でない事件だと書いたことについて、あとの両弁護士の評価は真っ二つに割れていますが、私は高畑氏の名誉を守るために最大限の努力をすべきなのが彼らなのですから、こういう声明を出したのはありだと思います。
何故無罪なのかは詳細を避け、被害者をできるだけ傷つけないようにする配慮もしているので、ファックスを出したことは太田弁護士が言うほど非難すべきこととは思いません。
なにより事件が起こるたびに報道を見ていて、また市民の受け取り方を見ていて思うことですが、推定無罪ということが全く浸透していないことに慄然とします。
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高畑裕太 顧問弁護士がコメント発表「悪質な事件ではなかった」
2016年9月9日 16時0分 スポニチアネックス
群馬県警前橋署に強姦(ごうかん)致傷容疑で逮捕され、9日に勾留中の前橋署から釈放された俳優の高畑裕太(22)の顧問弁護士が同日、報道陣へFAXを送り、高畑の行為に違法性がなかったことを強調した。
なお、高畑本人は心身ともに不調を来していることから、しばらくの間入院するという。前橋地検は高畑を不起訴処分とした。
以下、FAX全文。
今回、高畑裕太さんが不起訴・釈放となりました。
これには、被害者とされた女性との示談成立が考慮されたことは事実と思います。しかし、ご存じの通り、強姦致傷罪は被害者の告訴がなくても起訴できる重大犯罪であり、悪質性が低いとか、犯罪の成立が疑わしいなどの事情がない限り、起訴は免れません。お金を払ば勘弁してもらえるなどという簡単なものではありません。一般論として、当初は、合意のもとに性行為が始まっても、強姦になる場合があります。すなわち、途中で、女性の方が拒否した場合に、その後の態様によっては強姦罪になる場合もあります。
このような場合には男性の方に女性の拒否の意思が伝わったかどうかという問題があります。伝わっていなければ、故意がないので犯罪にはなりません。もっともこのようなタイプではなく当初から脅迫や暴力を用いて女性が抵抗できない状態にして無理やり性行為を行うタイプの事件がありこれは明らかに強姦罪が成立します。違法性の顕著な悪質な強姦罪と言えます。
私どもは高畑裕太さんの話は繰り返し聞いていますが、他の関係者の話を聞くことはできませんでしたので、事実関係を解明することはできておりません。
しかしながら知りえた事実関係に照らせば、高畑裕太さんの方では合意があるものと思っていた可能性が高く、少なくとも逮捕時報道にあるような電話で「部屋に歯ブラシを持ってきて」と呼びつけていきなり引きずり込んだなどという事実はなかったと考えております。つまり、先ほど述べたような、違法性の顕著な悪質な事件ではなかったし、仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をしたと思われた事件であります。以上のこともあり、不起訴という結論に至ったと考えております。
郷原信郎が斬るより
「推定無罪」を無視した高畑裕太氏事件を巡る報道・放送
8月23日に、強姦致傷罪で逮捕された俳優高畑裕太氏が、昨日(9月9日)、不起訴処分となり、釈放された。 同氏の弁護人は、以下のようなコメントを発表した。
今回、高畑裕太さんが不起訴・釈放となりました。
これには、被害者とされた女性との示談成立が考慮されたことは事実と思います。しかし、ご存じのとおり、強姦致傷罪は被害者の告訴がなくても起訴できる重大犯罪であり、悪質性が低いとか、犯罪の成立が疑わしいなどの事情がない限り、起訴は免れません。お金を払えば勘弁してもらえるなどという簡単なものではありません。
一般論として、当初は、合意のもとに性行為が始まっても、強姦になる場合があります。すなわち、途中で、女性の方が拒否した場合に、その後の態様によっては強姦罪になる場合もあります。
このような場合には、男性の方に、女性の拒否の意思が伝わったかどうかという問題があります。伝わっていなければ、故意がないので犯罪にはなりません。もっとも、このようなタイプではなく、当初から、脅迫や暴力を用いて女性が抵抗できない状態にして、無理矢理性行為を行うタイプの事件があり、これは明らかに強姦罪が成立します。違法性の顕著な悪質な強姦罪と言えます。
私どもは、高畑裕太さんの話は繰り返し聞いていますが、他の関係者の話を聞くことはできませんでしたので、事実関係を解明することはできておりません。
しかしながら、知り得た事実関係に照らせば、高畑裕太さんの方では合意があるものと思っていた可能性が高く、少なくとも、逮捕時報道にあるような、電話で「部屋に歯ブラシを持ってきて」と呼びつけていきなり引きずり込んだ、などという事実はなかったと考えております。つまり、先ほど述べたような、違法性の顕著な悪質な事件ではなかったし、仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をしたと思われた事件であります。以上のこともあり、不起訴という結論に至ったと考えております。
平成28年9月9日
弁護人が、不起訴処分になった事件についてこのようなコメントを出すのは異例だ。そうでもしないと、「強姦魔が、金に物を言わせて、被害者と示談し、処罰を免れた」というような憶測に基づくバッシングが続くことが懸念されたからであろう。弁護人としては、「被害者」側の了解がなければ、このようなコメントはできないはずだ。被害者との間での示談も、実質的には、「強姦」というほどの事実ではなかったことを被害者側が認めた上で行われた可能性もある。
高畑氏及び弁護人の側が、そのような懸念を持つのも当然と思えるほど、同氏の逮捕以降の報道は異常だった。「人気俳優が重大な性犯罪で逮捕された」として、連日、ワイドショー等でも大々的に取り上げられた。この時点で、客観的に明らかになっていた事実は、「強姦致傷での逮捕」だけであり、それ以外に、本人や弁護人のコメントはなく、「容疑を認めている」という情報についても、警察の正式コメントか否かも不明であった。
にもかかわらず、逮捕が報じられた後、「俳優高畑裕太が悪質重大な強姦を犯した極悪非道な性犯罪者」だということが、ほとんど確定的事実のように扱われ、母親の高畑淳子氏が記者会見の場に引き出されて、300人もの記者から過酷な質問・追及を受け、その場面での高畑淳子氏の発言までもが事細かに取り上げられていった。
しかし、報道されていた断片的な事実などからすると、果たして、強姦致傷の事実があったか否か自体が、疑問な事案であると言わざるを得ない。強姦の被害申告をしてきたのが、被害者本人ではなく、被害者の「知人」であるというのは、あまり一般的ではない。通常であれば、他人には明らかにしたくない事実であって、それが、事件後短時間の間に知人に話し、その知人がすぐに被害を届け出ている。また、態様にしても、ビジネスホテルの客室という周囲に音が聞こえやすい場所なので、被害者が抵抗したり、大声を出したりすれば、すぐに周囲に発覚するはずだ。なぜそのような場所で「強姦」をしようとしたのか、疑問がある。
私は、「示談の成否にかかわらず、起訴される可能性は低いだろう」と考えていた。そのことを、ブログで書こうかとも思ったが、重大な性犯罪で有罪になることを決めつける圧倒的な報道・放送の中で、それを否定する方向での意見を述べても理解されるとは思えない状況であったので、フジテレビのバイキングという討論番組に弁護士コメンテーターとして出演した際に、「強姦致傷といっても、様々な事案がある。まだ逮捕されただけの段階であり、起訴されるかどうかもわからないのだから、重大な犯罪を行ったとの前提で先走って話をすべきではない。」ということを繰り返し述べるにとどめた。
この件に関する同番組への3回目の出演となった8月30日、ある出演者が「これは凶悪犯罪」という発言をしたため、さすがに放置できないと考え、少し踏み込んだ発言をした。以下は、その時の発言内容である。
郷原)凶悪犯罪という言い方は絶対適切じゃないと思いますね。まず、まだ起訴もされていないんです。現時点であまり決め付けたものの言い方は絶対すべきではない。弁護人の立場から言わせてもらうと、「会見」というのは、弁護人としては好ましくないですよね。まだ認否も明らかにしていないわけです、弁護人は。本当にあの強姦の事実を認めているかどうかということも全く正式には何のコメントもないんですよ。しかし高畑さんが、お母さんが会見をすれば、当然聞かれますよね、「本人は認めていましたか?」と。そこでお母さんが何と言ったかと言ったら、「ルールがあって聞いちゃいけないそうです。」と。そんなことないです。母親が面会に行って「あなたやったの?」当然聞きますよ。それを聞いたからといって面会が禁止になるという、そんなことはないです。でも、だからと言って、それは嘘でしょう、なんてことは絶対言ってほしくないんです。そうやって息子が認めているのか認めていないのかということも、母親としては明らかにしたくないんですよ。
坂上)これは例えば、会見を開くということは、弁護士さんと相談していますよね。
郷原)していると思います。ですから、弁護活動という面で言えば、こんな段階で会見はしてほしくないですよ。
坂上)でも弁護士さんが、ある意味、GOを出したから、会見を開いたわけですよね。
郷原)そうでしょうね。もう致し方ないという判断でしょうね。その代わり、事件の中身についてはできるだけコメントしてほしくない。それがああいう発言につながったのかもしれないですね。
ヒロミ)じゃあ聞けることは聞けるんですね。接見の場では。
郷原)聞けます。
坂上)ただそこで変なやりとりというか、作為的な方向に行ったらダメってこと。
郷原)もちろん、罪証消滅の恐れがあるということになると、口裏合わせとかですね。そうなると接見禁止ということになるんですよ。でも、この事件ではありえないじゃないですか、被害者と加害者との間の一対一の話だから。それで面会ができなくなるということはちょっと考えられないですね。
ヒロミ)起訴されるか、されないかというのはどれくらいの時期に。
郷原)いろんな可能性がありますね、今後。ひょっとすると示談が成立して不起訴という可能性があるし、それに、捜査の結果、これは本当に強姦なのか、無理やりやろうと思ったんじゃないんじゃないかということが問題になって起訴できないという可能性だってありますよ
ここで発言しているとおり、この時点でも、不起訴処分は十分に予想されたことだった。
この種の性犯罪では、今回のように、被害者側の事情に加えて、今回のように不起訴で決着する可能性も十分にあるので、一般的には、逮捕されたというだけで、起訴前に事件が報道されることはほとんどない。マスコミは、事件の性格に配慮している。この事件では、高畑氏が人気芸能人であり、しかも、逮捕時の罪名が「強姦致傷」というセンセーショナルなものだったために、逮捕の段階から異例の「前のめりの報道」が行われた。
このような「前のめりのマスコミ報道」を招いた原因には、弁護士等の専門家のコメントが、影響したことも否定できない。
強姦致傷という罪名で逮捕されたというだけで、まだ、どのような事案なのかは全く不明であるのに、新聞でのコメントやテレビ番組での発言の多くが、「強姦致傷」という罪名だけで長期の実刑になるのが当然のように発言するものであった。
逮捕直後のスポーツ新聞の記事では、「元検事の弁護士」が、「恐らく高畑容疑者は4、5年の実刑判決」、「強姦致傷罪の場合、裁判員裁判で行われるので、もう少し重い実刑判決を受けるのでは」「一般の方の裁判員は性犯罪に厳しい傾向がある。このため最近の性犯罪の量刑は重くなることが多い。また強姦致傷罪は求刑通りの判決が出ることが多く、執行猶予が付くことは考えにくい」などと、高畑氏が強姦致傷罪で長期の実刑になるのが当然のようにコメントしているだけでなく、「手口や高畑容疑者のコメントを聞く限り、本当に初犯なのかどうかを疑いたくなる。手口が巧妙で、思いつきでやったとは思えない」などと、全く的外れな「指摘」まで行っているのである。
このような専門家コメントが、マスコミの「前のめり報道」を煽る結果になったことも否定できない。
今回の事件ほど、「推定無罪」という原則(「有罪判決が確定するまでは何人も犯罪者として取り扱われない(権利を有する)ことを意味する」(国際人権規約B規約14条2項))が著しく踏みにじられた例は他にないのではなかろうか。
一度犯罪者とされた人間が、不当な取扱い、辱め、迫害を受け、冤罪が繰り返されてきた不幸な歴史の中で、近代法の原則として、近代社会のルールとして確立したのが「推定無罪」である。
もちろん、有罪判決が確定するまで、「犯罪者」として扱うことが一切許されないわけではない。犯罪の嫌疑を持たれた時点、逮捕・勾留による身柄拘束、起訴、裁判で、本人が罪状を認め、それが公表されることなどによって、最終的に有罪となる可能性が高いと判断されれば、その程度に応じて、「有罪」との前提で取扱うことも相応に許容されるであろうし、特に、覚せい剤のように、本人が認めている限り、有罪判決になることはほとんど確実な事件であれば、逮捕段階から有罪視することも、それほど問題にはならない。
しかし、本件のような性犯罪では事情は全く異なる。事件の内容からして、起訴されるか否か、有罪判決に至るか否かには、多大な疑問があり、しかも、被害者の保護の要請もあるのであるから、逮捕の段階での事件報道は、極力差し控えるべきだった。
そして、そのためには、マスコミに対してコメントをする専門家の側にも、公表されている事実、明らかになっている事実から、客観的に事態を把握し、冷静になって、可能な限り正確なコメントをすることが求められていることは言うまでもない。
今回の高畑氏の事件に関する「前のめり報道」は、有名芸能人などの刑事事件に関する報道に関して多くの教訓・課題を残した。新聞・テレビ各社は、まず、これまで高畑氏に関して行った報道を真摯に検証し、不起訴処分・釈放という事件の結末と弁護人コメント等に照らして、不適切だったと考えられる報道や放送については是正措置をとるべきであろう。
しかし、現在のところ、マスコミにはそのような姿勢は全くうかがえない。新聞各紙は、高畑氏の不起訴処分に関して、「高畑さんの弁護人は書面で『被害者とされた女性との示談成立が考慮された』との見方を示した。」(毎日)などと弁護人コメントを引用して、あたかも示談成立が不起訴理由で、「強姦致傷」の嫌疑は否定されていないかのような書き方をしている。
冒頭に引用したように、弁護人コメントは、「示談成立が考慮されたことは事実だが、強姦致傷罪は被害者の告訴がなくても起訴できる重大犯罪であり、悪質性が低いとか、犯罪の成立が疑わしいなどの事情がない限り、起訴は免れない。お金を払えば勘弁してもらえるなどという簡単なものではない」と述べて、示談成立が直接の不起訴理由ではないことを指摘し、反対に、「仮に、起訴されて裁判になっていれば、無罪主張をしたと思われた事件」と明確に述べているのである。それを、弁護人コメントの一部を抜き出して「示談成立による不起訴」であるかのように書くのは、コメントのねつ造に近いものと言えよう。
今回の一連の報道で、高畑氏が受けるダメージや今後のマスコミ側の対応如何によっては、本件は、深刻な人権問題となり、訴訟に発展する可能性もないとは言えない。
太田 啓子弁護士のフェイスブックより
【公開で書いているので、シェアして頂いて構いませんが、コメントごとのシェアにしてください。
報道記事のみのシェアになっていることがあるようですので。】
この弁護人のコメント、話題になっているようですね。
刑事弁護の仕事の意義はもちろんわかっていますが、 このコメントは、
ないです。
弁護人の職務としてやらざるを得ないことをして、その結果被害者が不快になり傷つくという
場面をゼロにすることはなかなか難しいとは思っています。刑事弁護人としても無用に
被害者とされる人を傷つけちゃいけないけれど、それでも刑事弁護人として言わざるを得ない主張と
いうのもあるので。被害者ケアの全てを刑事弁護人に求めるのは到底筋違いで、それは
被害者のために動く弁護士や違う機関の役割分担です。
ですが別にこんなコメントを報道機関に出すのは、そもそも、刑事弁護人として「やらざるを得ない」ことでは
全くないじゃないですか。余計なことです。
被疑者が有名人であるがゆえに報道機関からの取材殺到に対する事務処理として
コメントを発表せざるを得ないとしても、
「本日処分保留として身柄は釈放されました。
不起訴処分となることが見込まれますが未定です。
身柄釈放に至った経過等詳細は関係者の意向やプライバシーもあり、お伝えできないことをご了承下さい。」
という程度で十分ではないでしょうか。
示談が成立したこと自体の公表も、相手の意向に反するなら発表すべきでもないと思う。
示談が成立したことは、検察官に伝えるべきではありますが、世間に伝えることは
弁護人の仕事ではないからです。
事実上、ああ、身柄釈放なら多分示談まとまったのかなと推測はされるでしょうがそれだけのことです。
そもそも世間に数多くある犯罪の詳細が全てこんなに注目を集め報道されるわけではなく、
被害者とされる女性にとっては、たまたま被疑者が有名人でなければいちいち事件の詳細に世間から無責任な好奇心で
あれこれいわれセカンドレイプの嵐を受けることもなかったのに不運すぎ気の毒すぎます。
弁護人のコメントで一番ひっかかるのは、「合意があると思っていた可能性がある」(多分、「従って」という意味合いで
)「悪質ではない」という
くだりですね。
こんなこと、せっかく示談に応じてくれた相手の女性の感情を害し、かえって事案全体によってよくないとは
考えなかったのでしょうか。
今の日本の刑法の強姦罪の規定には色々問題があると思っていますが、それは長くなるのでさておき、
「暴行や脅迫」を手段として、性交を強要、つまり相手の意思に反する性交をすることです。
犯罪は基本的に「故意」がなければ成立しません。「故意」、つまり、あえて、わざと、その行為をしようとすること、なので、
相手が性行為に同意していないと認識しつつわざと性交する のが強姦罪の「故意」であって、「相手も同意があると思って性交する」のは、
強姦罪の「故意」は無い、ということになります。
重大な犯罪では、例外的に、「過失」で結果を生じさせた場合も犯罪が成立します。
たとえば、あえて包丁で心臓を指したら普通殺人罪の故意ありでしょうが、機械の運転中に
運転操作を誤って周りにいる人に怪我を負わせてしまい結果死という結果が生じたら「過失致死罪」です。
強姦罪には、過失犯を処罰する規定はありません。従って、理屈上は「強姦のつもりじゃなかったのに
(相手が同意してなかったから)強姦という結果が生じたら「過失強姦罪」」ということはありません。
(事案によりけりですが、民事上の損害賠償の問題は別途生じ得ます)
そして、 強姦罪の場合にはよく、この、「相手の合意があったかどうか」が争点になります。
犯罪が成立するか否かの分かれ目なんだから当たり前といえば当たり前、やむを得ないことではありますが、
しかし「同意があったかどうか」が、どうやって判断されるかが超問題ということがしばしばあります。
これは、民事で損害賠償請求するときも同じで、実務では、「性的関係があったかなかったか」が争点になるより、
「確かに性的関係はあったが、合意があったかなかったかが争点だ」ということがしょっちゅうあるのです。
「性的関係なんてなかった!」と反論されるかと思いきや「性的関係はありましたが、それが何か?」と言われることは
よくあります。
たとえば殺人の場合、「頸動脈がある首あたりだとわかっている部位に鋭利な包丁をあてて、刺そうと思って深く刺したけれど、それで相手が死ぬとは思ってなかったから
殺人罪の故意なし」という主張は、理屈上はありうるけれども、普通はなかなか通らないでしょう。
ひらたくいえば「いや、それはないよね」「不自然」と感じられるからです。
強姦の場合、加害者とされる人が「相手の合意があると思っていた」という主張をする場合にも、
「それはないよね」「不自然」というようなことであれば、強姦の故意は認められるでしょうが、しかし、
どういう主張を「それはないよね」「不自然」と判断されるかについては、実際問題、起訴するかどうかなら検察官の経験則、
裁判なら裁判官の経験則、主張する弁護士の経験則、に基づくところがあり、その経験則は社会の価値観にも左右されます。
たとえば最近だと、今検察審査会申し立てをされて審査会にかかっているかと思いますが、大阪で、元警察官が
複数の男性と一緒に、一人の女性を縛るなどして複数で強姦したとされた事件については、「女性の合意があった」可能性を
排斥できないということで不起訴処分になった経過があるようです。報道→ http://www.asahi.com/articles/ASJ6N52H6J6NPTIL02M.html
女性は「そんなの合意なんてしてなかった」ということで不起訴処分は不当として検察審査会申し立てをされたのでしょうが、報道されてる
事実関係を前提にすれば、そんなんで合意あったなんて判断されたらたまらないなと思います。
私は「合意してなかった」と主張する側の代理人をすることがありますが、
「合意してなかった」と主張する「被害者」と「合意してたじゃないか」と主張する「加害者」がいる場合、
「なんであなたは、相手の女性が合意してたと思ったわけ?」と、認知の歪みを感じることが多々あります。
ここは是非、牟田和恵先生の名著「部長!その恋愛はセクハラです」(集英社新書)を多くの方にお勧めしたいのですが、
「なんでそれでお互いに恋愛感情があったとあなたは思い込んだの」というような「加害者」の言い分に出会うことが
実務では本当によくあるのです。 たとえば「川に入るためにスカートをたくしあげて足首を見せた」とか。いや、スカート濡らさないように
しただけで、足首をあなたに見せるためにたくしあげたわけじゃないし、そもそも足首を見えるような状態にしたらなんで、いい仲だということに
なるの。。。とか。
こういうこと言うと、自分も勘違いしてるんじゃないかと怒られてる気がするみたいに思わせてるような気もしますが(たまに企業などで
セクシャルハラスメント研修講師の機会をいただくときにそういう感想をいただくことが・・・)、もちろん、
内心でどきっとして「もしかして相手もこっちに気があるかも」と思うだけならもちろんなんにも問題ないですが、
それに基づいて行動が暴走することがあるのですね。
「そういうふうに、性交に合意があると思い込んだこと自体が犯罪的だわ」と感じることはよくあり、
これはもう、認知の歪みだとしかいいようがない。
こういう認知の歪みを生む要因、認知の歪みを生むファンタジーを、社会から、ひとつひとつ除いていくしかないのかなと思っています。
相手は性交に合意してなかったのに合意があると思い込んでいた としたら思い込んだこと自体が悪質じゃないの っていうこともよく思います。
思っただけでしなければいいんですけどね。
高畑さんがどうだったのかという個別のことは何も知らない以上、合意があったと思ってもそれは当然だというような事情が
あった可能性も、一般論として排斥できませんが、
でも、「合意があったと思い込んだ だから悪質じゃない」 という主張をこの時点のこんなコメントで弁護人が言うなんて、
絶対すべきじゃなかったと思います。
思い込んだこと自体に合理性がないって相手の女性が思ってたかもしれないじゃないですか。
よほど、合意があったと思ったことに合理性があるような事情を根拠を提示しつつ詳細に伝えられるような場
(どんな場か想像できませんが)でなければ、言うべきではないです。
相手の女性にも対等に、コメント発表の場が与えられてるわけでもないのに。フェアじゃないです。
合意してなかったと主張してる方としては、「合意してたじゃないか」という主張自体に非常に傷つくものです。
それでも主張せざるを得ないような場(起訴されて裁判で無罪主張する場合とか)でもなく、
刑事弁護人としてすべき仕事でもないコメントのなかでこんな余計なこと言ってて、これは被害者とされる女性への配慮を
あまりに欠くものでとても残念です。
(ちなみに本筋から離れますが、日本の刑法でいう「強姦」は男性器の女性器への挿入に限定されており、
肛門性交や口への男性器挿入、女性器への、男性器以外の物の挿入は「強姦罪」ではなく、より
法定刑の低い強制わいせつ罪の適用に留まります。被害者が受けるダメージの大きさが基準に
なってないことにずっと問題意識を持っています。性犯罪規定の見直しはまさに今法務省の
審議会で議論されてるところではあるのですが。見直しが遅すぎたし、どういう結果になるか。。。)
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「職務中」に「怪我をさせられ」てまで行われた性交が、
『合意』
ですか?
へええええ〜〜〜〜っ?!
大方の予測通り、「カネ」と「恫喝」と「泣き落とし」で被害者を混乱させ、懐柔し、示談に持ち込んだのでしょう。
加害者の母親は有名人で、強力な弁護士に依頼しているし、バックには劇団ナントカやスポンサーの企業やマスコミ関係者や政治家やその他応援団がたくさんついている。
かたやホテル勤め(パート?)の一個人、しかも女性。
その力の差は、明らか。
最後の太田弁護士のご意見を読めば、いかに女性への(性的)暴力への処罰が理不尽か、よく分かるはず。
そもそも原因を作ったのは、女性に手を出した高畑だ!!
こいつがこんなことをしなければ、当然のことながら、なにもなかったのだ。
橋下の「米兵による性犯罪抑止のため、沖縄に風俗を」という発言を厳しく批判しながら、一方で高畑は不起訴だからこいつの人権を守れ、と・・・
婦女暴行は、病気だろ。
矯正(治療)しなきゃ、駄目だろ。
カネと権力で揉み消し(もはや揉み消せないし、汚点の積増しなんだが、法的には刑罰を受けない)して、きっと後年さらなる災厄を引き起こすだろう。
なんか、バード、再びネトウヨ化する予感・・・ w
示談で不起訴に!
ネット上に怒りの声!】
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-9181.html
アトム法律事務所。
漫画、Q & A あり。(それがまた、ひどい)
全治一週間程度だと、認定落ちするのか。
怪我をしたのなら、当然に、致傷行為であるはずなのに。
> 示談は被害者の方が受けてくれなくては成立しないものですし、被害弁償は事件後に加害者ができるほとんど唯一の償いですから否定的にとらえるべきではありません。
これは、どうだろう。
強姦被害女性は、早く事件を忘れたいはずです。
しかし、裁判になれば、忘れることは出来ず、また、心理的負担の重い【証言】もしなければならない為、女性が嫌がるのは当然なのです。
そこに付け込んで、カネをチラつかせて示談に持って行くのは、男として卑怯な気がします。
> 30秒頭を下げ続けても、マスコミにガンを飛ばしたとそっちばかり取り上げて批判される高畑氏。
30秒だろうと、300秒だろうと、睨み付けてる時点で、事件に対する反省度は【ゼロ】だと言わざるを得ない。
即刻、刑務所に送って再教育すべきだ!
この言い方にイラッとします。
自信をもって発信されてるのであれば、ここまでご丁寧なお願いをしないほうがいいですよ。
ランキングアップがそんなに嬉しいですか?
そんなにすぐ、世間は私を許してくれるなんて勘違いをさせることは高畑君のためになりません。
被害女性は、その温かい目をどう思うでしょう?
推定無罪が大原則です。
その点、郷原弁護士に賛成です。
しかし。高畑元容疑者を、温かい目で見る?
あまりに被害者を踏みつけにしていませんか?
まずは犯罪被害者に寄り添い、
その慟哭に耳を傾けるべきです。
示談金を払えば終わりでは、断じてない!
タイトルに絵文字を使うのにイラっときます。
おっさんの自覚があるなら、無理して絵文字など使わないほうがいいですよ。
そんなに若く見られたいですか?
今回の話しは、発生した事案を事例にした、報道の仕方への批判と是正についてだと思いますので、個別の力関係に腹が立つ、不審に思うのはかまいませんが、本質から外れていると思います。
いつも、頓珍漢なコメントされてる方が、今回も事実関係を無視したコメントされてて、全治一週間だけで致傷行為で罪が成立するんですか?恐らく当事者のプライバシーに関わるので公表されることは無いでしょうが、怪我の部位や状況でも変わるでしょう。大人ならわかりますよね。
最近の弱い者いじめ、いやほとんど暴力行為に等しいメディアの伝え方(あれは報道ではけっして無い!)に対しての警鐘だということ、理解して欲しいですね。
自分らヲタク趣味の人間からすると、以前から同様の目に散々合っており、この事案の伝え方でも非常に腹立たしく思っていて、この記事はいいなと思ったところに、こんな悲しいコメント見てガッカリしました。
当事者をどうこうと言うには、自分は事実関係を判別する根拠となるデータがないので、何も言えません。