11月は16冊、まずまずです。
「新潮文庫の100冊」から2冊読んで、あと残り1冊となりました。
◆イノセント・デイズ (早見和真)
祖母、親友、恋人に求められ、与え、捨てられるの繰り返し。これ以上裏切られることに耐えられなくなった彼女は、恋人の放火殺人で死刑囚となることを選択する。過去に彼女と係わりがあった人たちは、死刑を望む彼女に違和感を感じ、自分の知る事実とあまりにかけ離れた判決文に戸惑うが、なす術もない。
幸乃が周囲の人に救いを求めてほしいと祈りながら読んだのだが、、、深夜に一気読み、衝撃の結末に、読後もしばらく寝付けなかった。
◆貘の檻 (道尾秀介)
道尾さんらしい、なんとも暗い、そして最後まで結末の見えないミステリーでした。
道尾さんの小説って、タイトルに動物が入っていることが多いのだけど、本作は「獏」だけあって、謎ときにはあまり役に立たない、おどろおどろしい夢の描写が延々と繰り返される。
「向日葵の咲かない夏」同様、すごいのを読んじゃったなって読後感、でもこういうテイストは嫌いじゃない。
◆錆びた滑車 (若竹七海)
大好きな葉村晶シリーズの最新作。探偵兼語り部、不幸体質の彼女の自虐的な語り口が何とも楽しい。今回もいきなりの流血で期待を裏切らない。
小説として読んでも面白い上に、ミステリーとしてもなかなかの出来栄え、来月の「このミス」ランキングでも上位入賞するのではないだろうか。
◆送り火(高橋弘希)
牧歌的で一見平和な田舎の村の中学校で、日常的に繰り返される暴力。大人たちは知らないのか、それとも自分たちも経験してきた、通過儀礼くらいに思い、「豊かな沈黙」を守っているのか。閉鎖社会ゆえに逃れようもない理不尽な行為、個人的には、腹立たしさが先に立って、小説に感動することはできなかった。どうも芥川賞は苦手だ。
◆この世の春 下(宮部みゆき)
解離性同一性障害、多重人格症、原因は幼児期の性的暴行であることが多いそうです。昔はそんな医学知識なんてないから、それが狐憑きとか魔女とか言われたんでしょうね。本作はそれをうまく利用した歴史ミステリー。展開は中盤でなんとなく読めてしまったのですが、なかなか上品にまとめられた印象。羅刹の暴れっぷりとか、もう少しゴツゴツさせた方が迫力があったかも。
◆未来(湊かなえ)
イヤミスの女王さんらしい一作。ダメな親に対し子供は全く無力、こういう作品を読むたびに、ちゃんとした親に育てられた幸運に感謝し、手を上げることなく子供を育てられたことに安堵し、不幸な子供に手を差し伸べたり、ちゃんとした親を作る教育に、何か自分にできることはないかと思う。
救いのない話だけど、母親の文乃さんが実は確りした人であるらしいことがわずかな救いか。章子たちに夢の国を楽しめる大人になってほしい。
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◆我が家のヒミツ (奥田英朗)
さすがN木賞作家の奥田さん、家シリーズ3作目も安定の面白さ。今回の「我が家のヒミツ」は前2作にも増してリアルでハラハラ・ドキドキ感が強く、頁を繰る手が止まりませんでした。
出世競争に負けた中年サラリーマンの話は身につまされましたが、人生はいろいろ生き方があるんです。
今月はラノベを6冊読んだ。
TVアニメ放映中の鴨志田一さんの「青ブタ」シリーズを4冊。
◆青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
◆青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない
◆青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない
◆青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない
タイトルの元ネタと思われる「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」とは似ても似つかぬ学園青春もの。
透明人間化、タイムループ、ドッペルゲンガー、そして人格入れ替わり、主人公の高校2年生、青春ブタ野郎こと梓川咲太くんの周囲で様々な超常現象が起きる。あの2000年代のラノベの名作・涼宮ハルヒを彷彿とさせる学園青春不思議ストーリーに、頁を繰る手が止まらない。
麻衣さんがかっこいい。そしてなにげに咲太はリア充・ハーレム展開で羨ましい。
◆宵物語 (西尾維新)
物語シリーズも、これが何巻目なのかもう分からない。前作「結物語」でキャリア警察官の暦くんが描かれたと思ったら、結局時系列が戻って大学生の暦くんでモンスターシリーズ、本筋とは別の番外編、幼女と少女と童女の掛け合い漫才でひっぱっているが、何時までもたせられるか。
今回はまさかのミステリー?と思わせて結局怪異譚、真相が分かったところであっさり解決、でも、紅孔雀さんの抜けた乳歯が最終的にどうなったのだろうか。
◆探偵AIのリアル・ディープラーニング (早坂吝)
表紙画、VOFANさんですよね。カワイイ。早坂さんというと本格ミステリー、エロミスのイメージが強かったのですが、それとは程遠い、イラストといい、登場人物のネーミングといい、西尾維新さんの小説かと錯覚しながら読みました。
シンギュラリティ、フレーム問題、シンボルグラウンディング問題、不気味の谷、AIのお勉強にもなりました。相以がディープラーニングでめきめき成長していく様が楽しい。
◆「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (磯田道史)
司馬さんの長編はほぼ既読だが、「花神」「竜馬がゆく」「坂の上の雲」と「この国のかたち」は特に好きな作品。
司馬さんの小説は、幕末、戦国時代の変革期、価値観の転換期を舞台に、その変革の推進者と過去の価値観に殉じた敗者を、史伝的で客観的ながらも、人格についてはかなり決めつけて描くのだが、その人物像が実に生き生きとしている。
個人的には、源義経、土方歳三、西郷隆盛、彼の描く敗軍の将が好き。そんな司馬さんの小説を史観という観点から解説した本。
◆ブラタモリ 13 京都(清水寺・祇園) 黒部ダム 立山
京都盆地の東側の、俗と聖のヘリ、清水寺と祇園。TV放映で興味を持って、春に京都に行った時に、八坂神社、六道珍皇寺、祇園、この界隈を歩き回りました。明治になってからも京都にはいろんな変化があったのだな。廃仏毀釈って、仏教弾圧、宗教改革ですね。タリバンみたい?
黒部ダム、いいなー。旅情を誘います。
◆ブラタモリ 14 箱根 箱根関所 鹿児島 弘前 十和田湖・奥入瀬
箱根はつい先日も強羅をTVでやってましたね。一時トレイルランニングにはまって、箱根の外輪山はほぼ全部縦走しましたので、箱根はいつも面白く見ています。
海抜100mの箱根湯本から一気に1000m超の外輪山が連なり、最高峰の神山は1400m以上、カルデラ湖の芦ノ湖の湖面が海抜700m、箱根の自然ってスケールがでかくて、いい感じで人の手が入っている。関所跡、整備されたんですね。昔行ったときは何もなかった。行かなきゃ。
「新潮文庫の100冊」から2冊読んで、あと残り1冊となりました。
◆イノセント・デイズ (早見和真)
祖母、親友、恋人に求められ、与え、捨てられるの繰り返し。これ以上裏切られることに耐えられなくなった彼女は、恋人の放火殺人で死刑囚となることを選択する。過去に彼女と係わりがあった人たちは、死刑を望む彼女に違和感を感じ、自分の知る事実とあまりにかけ離れた判決文に戸惑うが、なす術もない。
幸乃が周囲の人に救いを求めてほしいと祈りながら読んだのだが、、、深夜に一気読み、衝撃の結末に、読後もしばらく寝付けなかった。
◆貘の檻 (道尾秀介)
道尾さんらしい、なんとも暗い、そして最後まで結末の見えないミステリーでした。
道尾さんの小説って、タイトルに動物が入っていることが多いのだけど、本作は「獏」だけあって、謎ときにはあまり役に立たない、おどろおどろしい夢の描写が延々と繰り返される。
「向日葵の咲かない夏」同様、すごいのを読んじゃったなって読後感、でもこういうテイストは嫌いじゃない。
◆錆びた滑車 (若竹七海)
大好きな葉村晶シリーズの最新作。探偵兼語り部、不幸体質の彼女の自虐的な語り口が何とも楽しい。今回もいきなりの流血で期待を裏切らない。
小説として読んでも面白い上に、ミステリーとしてもなかなかの出来栄え、来月の「このミス」ランキングでも上位入賞するのではないだろうか。
◆送り火(高橋弘希)
牧歌的で一見平和な田舎の村の中学校で、日常的に繰り返される暴力。大人たちは知らないのか、それとも自分たちも経験してきた、通過儀礼くらいに思い、「豊かな沈黙」を守っているのか。閉鎖社会ゆえに逃れようもない理不尽な行為、個人的には、腹立たしさが先に立って、小説に感動することはできなかった。どうも芥川賞は苦手だ。
◆この世の春 下(宮部みゆき)
解離性同一性障害、多重人格症、原因は幼児期の性的暴行であることが多いそうです。昔はそんな医学知識なんてないから、それが狐憑きとか魔女とか言われたんでしょうね。本作はそれをうまく利用した歴史ミステリー。展開は中盤でなんとなく読めてしまったのですが、なかなか上品にまとめられた印象。羅刹の暴れっぷりとか、もう少しゴツゴツさせた方が迫力があったかも。
◆未来(湊かなえ)
イヤミスの女王さんらしい一作。ダメな親に対し子供は全く無力、こういう作品を読むたびに、ちゃんとした親に育てられた幸運に感謝し、手を上げることなく子供を育てられたことに安堵し、不幸な子供に手を差し伸べたり、ちゃんとした親を作る教育に、何か自分にできることはないかと思う。
救いのない話だけど、母親の文乃さんが実は確りした人であるらしいことがわずかな救いか。章子たちに夢の国を楽しめる大人になってほしい。
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◆我が家のヒミツ (奥田英朗)
さすがN木賞作家の奥田さん、家シリーズ3作目も安定の面白さ。今回の「我が家のヒミツ」は前2作にも増してリアルでハラハラ・ドキドキ感が強く、頁を繰る手が止まりませんでした。
出世競争に負けた中年サラリーマンの話は身につまされましたが、人生はいろいろ生き方があるんです。
今月はラノベを6冊読んだ。
TVアニメ放映中の鴨志田一さんの「青ブタ」シリーズを4冊。
◆青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
◆青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない
◆青春ブタ野郎はロジカルウィッチの夢を見ない
◆青春ブタ野郎はシスコンアイドルの夢を見ない
タイトルの元ネタと思われる「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」とは似ても似つかぬ学園青春もの。
透明人間化、タイムループ、ドッペルゲンガー、そして人格入れ替わり、主人公の高校2年生、青春ブタ野郎こと梓川咲太くんの周囲で様々な超常現象が起きる。あの2000年代のラノベの名作・涼宮ハルヒを彷彿とさせる学園青春不思議ストーリーに、頁を繰る手が止まらない。
麻衣さんがかっこいい。そしてなにげに咲太はリア充・ハーレム展開で羨ましい。
◆宵物語 (西尾維新)
物語シリーズも、これが何巻目なのかもう分からない。前作「結物語」でキャリア警察官の暦くんが描かれたと思ったら、結局時系列が戻って大学生の暦くんでモンスターシリーズ、本筋とは別の番外編、幼女と少女と童女の掛け合い漫才でひっぱっているが、何時までもたせられるか。
今回はまさかのミステリー?と思わせて結局怪異譚、真相が分かったところであっさり解決、でも、紅孔雀さんの抜けた乳歯が最終的にどうなったのだろうか。
◆探偵AIのリアル・ディープラーニング (早坂吝)
表紙画、VOFANさんですよね。カワイイ。早坂さんというと本格ミステリー、エロミスのイメージが強かったのですが、それとは程遠い、イラストといい、登場人物のネーミングといい、西尾維新さんの小説かと錯覚しながら読みました。
シンギュラリティ、フレーム問題、シンボルグラウンディング問題、不気味の谷、AIのお勉強にもなりました。相以がディープラーニングでめきめき成長していく様が楽しい。
◆「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 (磯田道史)
司馬さんの長編はほぼ既読だが、「花神」「竜馬がゆく」「坂の上の雲」と「この国のかたち」は特に好きな作品。
司馬さんの小説は、幕末、戦国時代の変革期、価値観の転換期を舞台に、その変革の推進者と過去の価値観に殉じた敗者を、史伝的で客観的ながらも、人格についてはかなり決めつけて描くのだが、その人物像が実に生き生きとしている。
個人的には、源義経、土方歳三、西郷隆盛、彼の描く敗軍の将が好き。そんな司馬さんの小説を史観という観点から解説した本。
◆ブラタモリ 13 京都(清水寺・祇園) 黒部ダム 立山
京都盆地の東側の、俗と聖のヘリ、清水寺と祇園。TV放映で興味を持って、春に京都に行った時に、八坂神社、六道珍皇寺、祇園、この界隈を歩き回りました。明治になってからも京都にはいろんな変化があったのだな。廃仏毀釈って、仏教弾圧、宗教改革ですね。タリバンみたい?
黒部ダム、いいなー。旅情を誘います。
◆ブラタモリ 14 箱根 箱根関所 鹿児島 弘前 十和田湖・奥入瀬
箱根はつい先日も強羅をTVでやってましたね。一時トレイルランニングにはまって、箱根の外輪山はほぼ全部縦走しましたので、箱根はいつも面白く見ています。
海抜100mの箱根湯本から一気に1000m超の外輪山が連なり、最高峰の神山は1400m以上、カルデラ湖の芦ノ湖の湖面が海抜700m、箱根の自然ってスケールがでかくて、いい感じで人の手が入っている。関所跡、整備されたんですね。昔行ったときは何もなかった。行かなきゃ。
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