ブラスカル

元マラソンランナーですが、今や加齢と故障でお散歩専門、ブラタモリっぽく街歩きをしています。

有川浩「海の底」

2012-11-09 08:18:17 | 読書
有川さんの自衛隊三部作の中で、まだ比較的「起きるかもしれないなー」と思えるのが「海の底」、人食いザリガニの大群が海から攻めてくるというもの。
自衛隊三部作と言いながら、今回の自衛隊、主人公の夏木と冬原は、新鋭の潜水艦に子供たちと閉じ込められるという展開。せっかくの潜水艦なのに、攻撃はおろか、動かすこともできない籠城状態。
海から怪獣が攻めてくれば、これを迎え撃つのは自衛隊、というのが、ゴジラをはじめ怪獣映画のお約束ですが、現実にはそう簡単にはいかないらしい。
自衛隊が武器を持って出動するには、それなりの政治的な決断がいるようで、それまで怪獣のお相手をするのは警察の仕事らしい。
今回の震災の際の災害出動は、神戸の時と違って素早かったが、某国が我が国の領土を実効支配しようとしたり、別の某国の武装難民が工作船で来襲したり、重火器で武装したテロ集団が蜂起したときなど、自衛隊は迅速に出動できるのだろうかと思ってしまいました。

このお話を読んでいて、機動警察パトレイバーのWXII、廃棄物13号を思い出しました。
東京湾に上陸した人喰い人工生命体を迎え撃つ警視庁特車二課の面々という図式。
漫画では、メインのシャフト、グリフォン事件に比べれば小さな扱いでしたが、スピンオフストーリー的に、劇場版映画化もされました。
パトレイバーの世界では、レイバー、二足歩行する労働用の重機の発達と共に、このレイバーを使った犯罪が多発、それに対処する為に警察側もパトレイバーというそこそこの武器を所持していました。
でも、現実の警察の相手は犯罪者、人間である訳で、ギリギリ人間を殺傷できるくらいの武装しかない。
小説では、警察側が甚大な被害を出しながら計画的に潰走した後を、自衛隊があっさり怪獣退治するという、ゴジラやウルトラマンではあり得ない展開で決着しました。

テーマは密室となった潜水艦内での人間関係、有川作品らしくなく、甘さ控えめな作品でした。
でも、その分、スピンオフ短編集の「クジラの彼」には、夏木と大人になった望ちゃんのベタ甘ラブストーリーが、、、


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