【いつかの愛のうた/ジェミニ】
星の軌道は遥か、音も光も遠くとおく。
それでも君がいるのだと分かるのは、次元もこえて、ぼくらは繋がっているのだろう。
(ばかね。レン)
どうして、リン。
(だってすぐ後ろにいるんじゃない。あなた)
地球を挟んで反対側、は、すぐ後ろなんて言わないんだろうけど。でも、そうだな。ぼくらには、ただの背中合わせ。君の体温を知っている。
ぼくの鼓動は君のリズムと同じで、目を閉じて息を整えたら、どんなに耳を塞ぐような静寂でも、潰されそうな孤独でも、ぼくらはぼくらを感じる。
ぼくらの真ん中にある地球では、今頃夜が明けただろうか。誰かがあくびをこぼす、優しい午後だろうか。それとも少し寒い雨上がり。
君が泣く気配がするよ。
誰かが泣いているんだろうか。今ここからは、一輪の薔薇も届けられない。
(歌を)
二重唱。ねぇここからは、ちょっと腕が届かないんだけど。困ったな。
替わりに歌を。いつかどこかで、誰かが歌った。
それを今は、君に。ぼくらに。聞こえているかい。
聞こえているかい。
まだ、歩き出せるかい。