北のくにA県の高校生が修学旅行で東京へやってきた。
人間の多さにびっくり仰天して、彼らはふと疑問に思った。
゛東京には畑も田んぼもない、家畜もいない。いったい彼らが食いものはどこで
作られているのだろう?
東京タワーの展望台へ移動してからも生徒たちは東京の食糧問題について
ああだこうだと論じ合っていた。
そのとき学年主任の先生が皆の方を振り向き言った。
「馬鹿だな、おまんらは。ここの望遠鏡を覗いてみればわかることじゃ。
すべてあそこで栽培されているんじゃ、米も野菜も家畜も。見てみい、
遊園地の近くにあるじゃろ、あんだけでかいビニールハウスだで、
そりゃ、食うもんに困らんわけじゃ」