若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

地に落ちた労働運動家 ~ 藤田孝典氏の信頼は皆無 ~

2019年04月14日 | 労働組合

【私は○○をする】

「私は○○をする」
とか
「私の会社では△△をする」
といった主張や宣言は、個人の自由です。
暴力を伴う強制力を行使して私の身体や財産を侵害しようとする主張でない限り、各個人がどのような理念や行動指針を掲げても構いません。

ここで、○○をしなかった、あるいは△△を出来なかったとしても、私としては
「そうなんだ」
「出来なかったのは残念だったね」
と思うだけです。そこに非難の要素はありません。

○○がその個人にとって重要であり続ければ再度挑戦すれば良いでしょうし、△△がその会社経営において重要性が失われたのであれば、△△をするという目標を取り下げても構わないでしょう。
やらなかった理由が単に「しんどいから」というだけでも、それは非難の対象とは思いません。
主張するのも、行動するのも、その人の判断次第です。

【お前は○○をすべきだ】

他方で、
「(自分以外の)お前は○○をすべきだ」
とか
「(自分以外が経営する)企業は△△をすべきだ」
といった主張の場合、ちょっと違ってきます。

○○や△△の内容によって、私が肯定的な評価をするか否定的な評価をするか分かれますが、いずれの場合においても、
「(自分以外の)お前は○○をすべきだ」
「(自分以外が経営する)企業は△△をすべきだ」
と主張した当人が、逆のことをした場合、強い反感を持つことになります。

「ふざけるな!まずはお前がやれよ!」

といった非難感情が湧き起こります。

【時には矛盾もあろうけど】

人は時に矛盾した主張をすることがあります。
また、年月を経ることで考え方や思想が変わることもあります。

私がこのブログを書き始めてから10年が経過しました。
その間、主張に矛盾やズレ、ブレがあることは否定できません。

しかし、短期間の間に主張の矛盾が生じたり、真逆のことを言ったりはしないよう気をつけているつもりです。
そういうことをしていては、主張の説得力を失うからです。

【藤田氏の言動】

さてここに、藤田孝典氏という人物がいます。

twitterのプロフィールを見ると、

ほっとプラス代表理事。聖学院大学人間福祉学部客員准教授。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。著書『貧困クライシス』『下流老人』『貧困世代』共著『未来の再建』『知りたい!ソーシャルワーカーの仕事』など。
とあります。

このプロフィールや著作から分かるとおり、この人は、非正規労働者の低賃金、不安定な雇用条件を厳しく批判し、インターネット上でも
「企業は残業代を払え!」
「労働者は労働組合に入ってたたかおう!」
過去の業績や政治スタンス、人間性などを理由にパワハラを擁護することは許されない
といった内容を幾度となく主張していました。

さらには、契約に基づく賃金を支払っており、その額も最低賃金を上回っていたzozoに対してまで、
賃金上げろ
広報担当者のtwitterを休止させろ
と数ヶ月にわたって粘着していました。
zozo以外にも、様々な企業を攻撃していました。

そんな彼のところに、とある知らせがやってきます。

〇労働組合が組合潰し!「ガイアの夜明け」「アリさんマークの引越社」で知られたプレカリアートユニオンで組織内労働組合 @dmu_in_pu が発足。ところが…… - Togetter

労働組合で働く職員に対する残業代不払い、さらには労組委員長による職員へのパワハラを指摘する声が内部から上がってきたのです。

藤田氏のこれまでの主張に照らせば、当然彼は

「残業代を払え!」
「パワハラはいかなる場合も許されない!」
「労働環境の改善を訴える労組が率先して職員の労働環境を改善していくべきだ!」

といった主張・要求の急先鋒になるだろう、と思っていました。

【地に落ちた藤田氏】

ところが、この件に対し藤田氏が発したコメントは、驚くべきものでした。



何のアナリストか知らんが、労働組合や繰り返される分派活動の歴史や経緯を知らないと軽々しく発言できるのだと思う。今できることは組織を信頼して見守ること。

これを見たとき、最初、アカウント乗っ取りだと思いました。
別人がアカウントを乗っ取り、今までの主張と真逆のコメントをわざと投稿したのだ、と。
そのくらい、今までの主張と整合性の取れないものです。

考えてみてください。
全ての企業、団体において、それぞれの組織が出来上がり今日に至るまでの歴史があるわけです。
市場環境の変化、経営状況、職員との契約、創業者の理念、役員間の人間関係・・・などなど、様々な経緯や条件の中で、賃金、休暇、残業、そういったものが決まります。

藤田氏は今まで、そういった各企業の内部事情を全て無視して、外野から

「企業は賃金を上げるべきだ」
「労働者は逃げずに労働組合に入って企業と戦うべきだ」
「残業代や休暇は法律どおり運用すべきだ」

と主張してきました。
その彼が、
「歴史や経緯を知らずに軽々しく発言するな。(労働者側でなく)組織を信頼して見守ろう」
という180度反対のことを言ってのけたのです。
にわかには信じられませんでした。
その後、アカウント乗っ取りでなさそうだと分かると、物凄い嫌悪感、不快感が湧き上がりました。

「自分に甘く身内に甘く、主張の一貫性を保とうという発想を持ち合わせていない」

と。

彼の労働問題や貧困問題に関する様々な主張とその論拠は、組織内部の分派活動の経緯に劣後する程度のものでしかない、ということになります。
貧困者やパワハラの被害者よりも労働組合を優先するのは、労働組合から助成金や講演依頼を貰っているからでしょうか。

【藤田氏の発言の説得力は皆無】

従来の藤田氏の主張も納得のいくものは少なかったのですが、今後、藤田氏がいかに綺麗事を並べ立てても説得力あるものとは受け取れないでしょう。
彼が労働問題で何かペラペラ喋っていても、
〇〇事業や△△事業の賃金や労働条件はだいたいこんなもんです。
「個々の企業の歴史や経緯を知らずに発言するな。今出来ることは組織を信頼して見守ること」
でたいていは反論可能です。

そう、言論人としての彼は死んだも同然です。

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