若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

公開討論で負けた社会主義者藤田氏が、民主主義すら捨てて暴力路線に走るの巻

2018年11月19日 | 労働組合

【まずは、自由主義者の視点から】

暴力による強制に否定的な古典派自由主義者・リバタリアン(ここでは総じて「自由主義者」と呼ぼう)は、議論や討論、熟議をあまり重んじない。
どれだけ議論を重ねても、考え方の根本が違う複数の人間の意見を一致させることは無理であり、結局は
「少数派意見の排除と多数派意見の強制」
に陥る。
そう考えた時、議論を重ねて単一の結論を導くことよりも、議論と多数決によって決めたことを暴力で強制する領域(≒政治)を極力小さくすることが望ましいという結論になる。

自由主義者にとって大事なのは全体の意見の一致とそのプロセスではない。
大事なのは、個々の財産権であり、そして、これに基づく個人間の契約。
契約不履行の際に政府が履行を強制することの是非については自由主義者の中でも意見の分かれるところではあるが、契約内容そのものについて政府が事前に規制し、あるいは事後に介入することについては否定的だ。
「契約当事者が契約内容に合意して締結したのだから、これを尊重すべき。契約内容に政府が介入するのは個人の自由を侵害するものだ」
ということになろう。

こうしたことから、
「富裕層への課税を強化しろ」
「法律に基づく最低賃金を上げろ」
という主張に賛同する自由主義者はまず居ない。

課税は、最終的には暴力を背景に実施される財産権の侵害であり、いくら熟議を重ねたものであっても本質的には強盗と変わらない。

最低賃金法については、政府が一定の契約内容を禁止することを自由権の侵害として非難する。
また、最低賃金法には
「体が悪いけど、短時間なら簡単な作業に従事することができる。時給が安くても良いから、家にいるより働いた方が良い。」
という人を雇用の場から排除してしまう…という弊害がある。
自由主義者は、暴力による強制を嫌い、財産権の保護と個人の自由を重んじると共に、最低賃金法のような弱者保護のための法律がかえって弱者を困窮に追い込んでしまうことを危惧している。


【次に、民主主義者の視点から】

民主主義者がどう考えるかについては、私よりも民主主義に拘っている人の文章の方が判りやすいと思うので、まずこれを紹介しよう。

○「民主主義は多数決とはイコールではない」と安倍政権の民主主義破壊を批判|LITERA/リテラ
======【引用ここから】======
「多数決だから正しいわけではありませんし、正当な手続きなわけでもありません。なぜ、民主主義において多数決という手段が使われるのか。それは多数の言っていることが正しいからではありません。熟議を繰り返した結果として多数の意見であるならば、少数の意見の人たちも納得するからです。少数意見の人たちも納得するための手段として多数決が使われるのです。少数意見を納得させようという意思もない多数決は、多数決の濫用です」
======【引用ここまで】======

これは立憲民主党の枝野氏の演説の一部だが、リベラル派の考える民主主義では、議論、熟議を重んじていることが分かる。

民主主義者は、結果として少数派の意見を排除してしまい、多数派の意見を強制することになったとしても、それが少数派を納得させようと熟議を繰り返したプロセスを経たものであれば正当化されると考えている。

これは、
「熟議しようがしまいが、強制は強制だろ。」
と考える自由主義者としては納得いかない結論だ。

けど、まぁ、民主主義を信奉するリベラル派がおおよそこのように考えていて、これを根拠に政府による課税や規制を正当化しようとしている、ということは一応理解しよう。

「富裕層への課税にしても、最低賃金法による規制にしても、課税や規制の対象となる少数派を説得しようと熟議を重ねることで、少数派も納得するはずだ。だから正当化されるのだ」
・・・というのが、民主主義のロジックである。

【民主主義から熟議を差し引くと、純粋な強盗になる】

富裕層への課税や、法律による最低賃金の引き上げ。

これらは財産権や自由権の侵害であり許されない、と考える自由主義者。
少数派を説得しようと熟議を重ねることで少数派も納得する、そうなれば正当化される、と考える民主主義者。

ところが、このいずれにも属さず、
「熟議よりも攻撃が必要」
と開き直る人物が現れた。

藤田孝典さんのツイート:「最近NPOや社会的企業でも議論や討論、熟議に重きを置く人が増えているけれど、話し合いや対話で問題解決できる領域と違う領域があることを知った方がいい。貧困とか労働、差別問題の現場って、日常化した権利侵害なのだから、議論や熟議より、要求や攻撃、敵対が必要な場合が多数。」

このコメントは、

○カンニング竹山の土曜The NIGHT#41~田端信太郎VS藤田孝典公開討論!~ | 【AbemaTV(公式)】国内最大の無料インターネットテレビ局

という番組での公開討論でボロ負けした藤田氏に対し、田端氏寄りの人からの批判のみならず、藤田氏と思想的に近いはずのNPO・福祉関係者からも批判が上がったことで発せられたもの。

ある意味、開き直ってしまった感がある。

富裕層課税や最低賃金引き上げがテーマであれば、民主主義を重視する立場からは、反対する考えの人を説得し納得を得ようと議論を重ねるはずだ。
公開討論会というのは、その格好の場であったはずだ。
民主主義に基づく課税や規制が正当化されるのは、議論を重ね熟議を繰り返すからであって、一度の討論会でボロ負けしたからと言ってこれを放棄してしまう藤田氏の姿勢は、非常に浅はかであると言わざるを得ない。

課税や規制が権利侵害なのであって、これを許さないのが自由主義。
課税や規制は権利侵害なのだが、これを熟議による正当化を図るのが民主主義。
藤田氏の姿勢は、正当化のプロセスすら放棄した
「生身の権利侵害=強盗」
を推奨するものである。
民主主義から正当化を図る熟議の努力を差し引いたら、強盗と何も変わらない。

左翼思想家が段々と先鋭化し、暴力路線、最後は内ゲバ・・・
・・・という「いつか来た道」を現在進行形で見ているのかもしれない。
社会主義者の独善性、攻撃性ここに極まれり。
コメント

正社員―非正規の身分制社会を擁護する労組の御用活動家

2018年11月16日 | 労働組合

【労働問題の根本は解雇規制】

非正規労働者の雇い止めや低賃金、サービス残業、社内失業者の存在と人手不足、介護離職、過労死etc

様々な労働問題に共通する原因の一つが、解雇規制である。

IBMやJALの訴訟でも分かるように、企業は正社員を容易に解雇できない。
しかも、解雇するための条件が明確というわけではなく、
「訴訟をしてみなきゃ分からない」
「担当する裁判官によって左右される」
という曖昧な状態。

このため、
「とりあえず雇ってみて適性を判断する。向いてなかったら解雇」
なんてことはできない。
この解雇規制が引き金となって、

・大学入試時点のポテンシャルで判断する新卒一括採用。
・新卒採用時から定年退職時まで賃金を上げ続ける年功序列賃金。
・解雇できないから新規雇用は減少。
・年功賃金体系に適合しない中途採用の抑制。
・新卒時に正社員になれず、非正規のまま職歴を積めず40代になった氷河期世代。

等の弊害が生じた。
ここから更に、正社員にとっては

・転職、中途採用の途が狭いため、今の会社が自分に合ってないと悩んでも辞めにくい。
・辞められないと足元を見られると、転勤やサービス残業を強いられても拒めない。

と窮屈な状態となり、他方で雇用主側にとっては

・閑散期に正社員を解雇することができないため、繁忙期は正社員の残業か転勤、あるいは非正規の一時的雇用で対応するしかない。
・無能な正社員、向いてない正社員を解雇することができないため、閑職で飼い殺すか、自主的に退職するよう人事配置や業務命令で正社員を追い込まないといけない。

ということになる。

適性のない社員を抱え込むことによる生産性の低下、
正社員の労働環境のブラック化、
正社員と非正規雇用の身分格差の拡大、

・・・等の問題の根本にあるのが、解雇規制である。

日本の解雇規制の下では、『プラダを着た悪魔』のように、中途採用と転職で自分の適職を見つけていくのは困難であろう。

(日本の解雇規制を映画に反映させたら、
「ブラック企業の社長にプライベートな時間までこき使われ、才能の芽が出なくとも、自分に向いた他の仕事に気づいたとしても、退職に踏み切れずひたすら耐え続ける」
という笑えない作品になってしまうだろう。)
たまたま新卒正社員で就職した先が自分に合っていたという人は、ラッキーとしか言いようがない。

【正社員労組・公務員労組は解雇規制を求めている】

このように、解雇規制こそが、日本の労働問題を引き起こした大きな要因となっている。
このことは、多くの人から指摘されているところだ。

他方、解雇規制の強化を求める人も存在する。
身分保障で得をしている正社員・公務員の労働組合だ。
労働組合は、

「賃金上げろ!」
「過労死を許さない!労働環境の改善を!」

といった主張とともに、

「不当解雇は許さない!」

と既得権擁護の立場から解雇規制を強化するよう求めてきた。
そして、この主張に沿って立法や司法も解雇のハードルを上げてきた。
この結果、
「クビになりにくく転職しにくい」
という流動性の低い労働市場が成立した。
流動性の低い労働市場では、正社員は会社に依存しつつも身分を保障され、一方で非正規労働者は不安定・低賃金な待遇に置かれる。

このように、日本の労働問題は、

「資本家 VS 労働者」

という古めかしく信憑性の薄い階級史観で捉えるよりも、

「正社員 VS 非正規労働者」

という身分制の問題として考えた方が理解しやすい。
正社員(特に大企業の)や公務員の身分は解雇規制によって裏打ちされており、
同時に、非正規労働者の数を随時増減することで会社の存続と正社員の身分を支えている。

「資本家が労働者を搾取している」
というよりも、
「正社員保護のしわ寄せが非正規労働者にいっている」
というのが現状だ。

労働者間の身分格差が激しいため、労働問題に関する議論において、
「労働者は~」
という意見を見かけた時は注意しなければならない。「労働者」という主語は大きすぎる。これが正社員を指すものなのか、非正規労働者なのかをその都度考えなければ、意見の内容を把握できない。

【経営側への圧力は】

こうやって書いていると、
「資本家に対して何も圧力をかけなくて良いのか」
「ブラックな経営者を野放しにして良いのか」
という疑問が生じてくる。

対資本家・対経営者への圧力という観点で考えた時、最も有効な手段は
「従業員が辞めていなくなる」
ことだ。
これは「すき家」騒動でも明確に示された事実である。
辞めるために必要なのは、再就職が容易な環境。
雇用の流動性が経営者に労働環境改善を促す有効な手段である。
解雇規制はこれを阻害する大きな要因となっている。

解雇規制をはじめとする労働法制の強化は、資本家・経営者側に

「少々ブラックなことをしても、一度雇われた従業員は容易には逃げない。逃げる先が無い。きちんと規制を守るよりも、規制の抜け道を探して利益をあげろ」

という負のインセンティブを生じさせる。
他方、解雇規制の緩和、撤廃は、

「うかうかしてると転職されてしまう。営業を続けるためには、賃金や休暇日数を増やしてでも人手を確保しなければ」

という方向に作用する。
雇用の流動性、転職市場の活性化は、規制強化路線よりも労働環境を改善する。
「儲けよう」という経営者の意欲と労働環境の改善が同じ方向を目指したものとなるため、無理がない。

他方、規制強化は、規制破りによって得られる利益を増すことになる。
労働環境の改善と経営者の意欲とが対立することになるため、規制による労働環境の改善は遅々として進まない。
さらに、規制の実効性を高めるために公務員の数が増え、手続きや書類の数が増え、生産的な活動からそうでない活動へ人手と時間が奪われてしまう。

【正社員労組・公務員労組との蜜月な関係】

このように、解雇規制が労働問題や格差社会の元凶の一つであり、解雇規制の強化を求める労働組合は、労働問題の解決に寄与していない。
それどころか、労働問題の原因を作り、労働問題を悪化させる主張を繰り返している存在である。
少なくとも、非正規労働者にとって正社員中心の労組は、対立する身分を代表する敵である。

ところが、世の中は不思議なもの。

「格差を是正しよう。貧困問題を解消しよう」
と主張する活動家が、こうした正社員労組・公務員労組とベッタリなのだ。

○貧困問題×労働組合 既存の大企業労働組合はミクロの現場発の政策提言を - 特集 - 情報労連リポート 藤田 孝典・柴田 謙司

○KOKKO - 著者:日本国家公務員労働組合連合会,平野啓一郎,早川征一郎,山﨑正人,竹信三恵子,鎌田一,藤田和恵,渡辺輝人,藤田孝典,熊沢誠,浅尾大輔 | ALL REVIEWS

○ハローワークの明日を考えるシンポジウム | 日本自治体労働組合総連合

○藤田孝典さんのツイート:労働組合の情報労連から30万円、愛恵福祉支援財団から20万円の事業助成・資金助成をいただきました。

労働組合から仕事をもらい、金をもらい、労働組合を擁護する。
「御用活動家」と呼んでいいだろう。

-----(2018.11.18追記)-----
藤田さんは、
「社会保障や福祉が足りてない、もっと富裕層に課税しろ」
と主張している。しかし、その主張に
「社会保障のどの分野が〇円不足している。年収□円以上の人に△%で徴税したらこれを賄える」
という具体性は無さそうだ。
(これを具体的に計算すると、富裕層からの徴税では全然足らず
「現行の社会保障給付を維持するだけでも消費税30%は必要」
といった話になるのだが、彼はこの議論を避けているふしがある。)

彼にとって、富裕層叩きは単なる嫉妬・・・と思っていたが、そうではないかもしれない。

スポンサーである正社員中心の労働組合に呼ばれて講演する時に

「非正規労働者が不安定で低賃金な境遇に置かれているのは、あなた達正社員の雇用を守るためなんですよ」
「講演会場の出口で、『解雇規制を撤廃し同一労働同一賃金を求める署名』をやってるので、ぜひ署名していってください」

とは口が裂けても言えないだろう。
しかし、労働組合主催の講演会で、富裕層叩きは話題として使いやすい。

「ZOZOの社長は月に行く金があるなら従業員に配れ」

といった富裕層叩きは、聴衆のウケも良いのだろう。

そういうことだ。
富裕層叩きは社会問題を解決へ導く方法ではなく、彼個人の飯のタネなのだ。
-----(2018.11.18追記)-----

(この講演料や助成金は、組合員が

「組合費高いよなぁ」
「これが無かったら手取り増えるのになぁ」
「労働問題以外の政治活動が多いよなぁ」

と不満に思いながら給料から天引きされたお金なんだよね。)
コメント

公開質問状への(個人的)回答 ~熊本市議会のトラブルメーカー緒方氏騒動続編~

2018年10月12日 | 地方議会・地方政治
前回記事で
「熊本市自治基本条例をより良くする会」の公開質問状が出されたら、コメントしてしまいそう。
と書いていたところ、その公開質問状がネットでアップされてました。

○みんなではぐくむ会: 議長と懲罰特別委員長に公開質問状提出
はい、釣られましょう。
前回までのシリーズで述べたことの焼き直しになってしまいますが、質問ごとにコメントしてみます。

(今回の記事は、熊本市議会宛ての公開質問に対し、これを素材に外部の個人が勝手に回答風なものを作ってみたものです。組織・団体を代表するものではありません。)

【議長の注意をきかない緒方氏】

======【引用ここから】======
質問1)今回の懲罰について、「会議規則に具体的に禁止する旨規定されていない」のに、懲罰を行なった理由は?
======【引用ここまで】======
回答1)
地方自治法には、議長の権限についての規定があります。この中で、議事整理権・秩序保持権と呼ばれるものがあります。議長には、議場の秩序保持を目的として1次的に議員の発言、行為を制止し、退席させることが認められています。議員が議会の品位を尊重することは議会の秩序を保つことにつながり、円滑な議事運営や市民の議会への信頼向上に資するものと考えます。

ここで、「秩序」や「品位」といった文言は、幅広い意味内容を含む包括的なものです。秩序を保つために必要な措置や品位を欠くと判断される行為について、予め網羅的に条文化することはできません。このため、秩序保持権を有する議長や会議規則の審査を行う議会運営委員会において、問題が生じた場合にその都度解釈し判断する必要があります。

今回、議場において議長は、緒方氏の飴を舐めながらの登壇・発言は品位を欠く不適切な行為と考え、熊本市議会会議規則第134条に抵触するものとして注意しました。また、会議規則の審査を所管事項とする議会運営委員会も開催され、改めて緒方氏に対し謝罪の意思の確認が行われています。このように、緒方氏は議長から議場において、また議会運営委員会においても注意を受けたにも関わらず、それに対する反省の弁や意思を示しませんでした。さらに、議長がその行為を止めたにもかかわらず、緒方氏は改めませんでした。

このように、議長の注意、制止に従わなかった緒方氏に対し、地方自治法第135条第1項第2号及び熊本市議会会議規則第143条に基づき懲罰としての陳謝文による陳謝が決定されたものと理解しています。
そして、緒方氏がこの陳謝文による陳謝も拒んだことから、地方自治法第135条第1項第3号に基づき、懲罰として1日の出席停止が決定されたものです。

緒方氏が議長に対し事前に了承を得ていれば、あるいは、注意を受けたその時点で謝罪し飴を舐めるのを中止していれば、懲罰にまで至ることはなかったのにと思うと非常に残念です。

============
○地方自治法
第百二十九条 普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときは、その日の会議が終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。

第百三十五条 懲罰は、左の通りとする。
 一 公開の議場における戒告
 二 公開の議場における陳謝
 三 一定期間の出席停止
 四 除名

○熊本市議会会議規則
(品位の尊重)
第134条 議員は、議会の品位を重んじなければならない。
(戒告又は陳謝の方法)
第143条 懲罰のうち公開の議場における戒告又は陳謝は、議会の定める戒告文又は陳謝文によって行うものとする。

============

【せめて事前了承を得ましょう、社会人として】

======【引用ここから】======
質問2)緒方議員の「咳が出ていたため、咳の発作が出ないように、議事がスムーズに侵攻するようにのど飴をなめていた」行為が、「議会の品位の尊重に明らかに抵触する」と判断された理由は?
======【引用ここまで】======
回答2)
物を食べながら人に相対して会話するという行為は一般にマナー違反とされ、品位を欠くものと考えられています。やむを得ない場合は、会話する相手の了承を得た上で行うべきものです。

議場で登壇し発言する際、登壇する議員は、傍聴者、庁舎モニターでの視聴者、インターネットでの視聴者を意識し、議会の品位を保持するよう配慮する必要があります。このため、物を食べながら発言することは極力避けるべきと考えられます。仮に、飴を舐めて登壇し発言する必要性があるならば、せめてその旨を事前に議長に伝えて了承を得て、議長から議場にいる議員や市長その他幹部職員、傍聴者等に対しその説明がなされた上で、発言を始めるべきと考えます。
こうした事前説明が無ければ、傍聴者等は

「よくわからないけど、飴を舐めながら長時間発言している無礼な議員がいる」

としか理解のしようがありません。これを放置することは、市民の議会に対する信頼を損なうことになります。事前了承が無いまま飴を舐めながら登壇、発言したことは、議会の品位の尊重を求める会議規則の規定に抵触するものと理解しています。緒方氏に対し議長が注意し改めるよう求めたことは、議会の品位を保つ上で必要な措置であったと考えられます。

【除名と出席停止は程度が違う】

======【引用ここから】======
質問3)「熊本市議会会議規則」は上位法に当たる「地方自治法」に基づいて解釈運用しなければならないが、熊本市議会、懲罰特別委員会及び議会事務局の解釈と運用は地方自治法に基づいていないと考えますが、見解をお示しください。

 *地方自治法132条「品位の保持」、同133条「侮辱に対する措置」や札幌高裁判決『「無礼の言葉」や「議会の品位」要件は厳格に解されなければならず、またそれを客観的判断を下したと解し得ない限り、たとえ議会が主観的に判断して懲罰を科したとしてもそれは違法な処分で取り消しを免れない』を参照して検討したか?

======【引用ここまで】======
回答3)
回答1)で述べたとおり、地方自治法に基づいた議事運営であったと考えます。

なお、札幌高裁判決は懲罰としての除名の違法性を争ったものであり、出席停止については議会の自律の観点から原則として司法判断の対象外とされています。例外的に、議場外の発言や行為を指して出席停止とされた場合や、出席停止に伴い議員報酬減額がなされた場合については、出席停止であっても司法判断の対象となる可能性がありますが、いずれも今回の場合には該当しません。

【懲罰の段階】

======【引用ここから】======
質問4)恣意的に規則を解釈し、懲罰に値する要件を欠いた理由で、地方自治法に反する手続きで懲戒処分を行ったことについて、懲罰委員会と議会に瑕疵があると考えるがどうか?
======【引用ここまで】======
回答4)
議場における注意、議会運営委員会における注意があり、これに対し謝罪しなかったことから懲罰としての陳謝文による陳謝という判断がなされ、これすら拒んだことから懲罰としての出席停止に至ったという流れが前提にあると理解しています。地方自治法・会議規則に沿ったものであり、手続きに瑕疵はないと考えます。

======【引用ここから】======
質問5)議会運営委員会や本会議で緒方議員本人の弁明・説明・釈明の機会を保証しなかった理由は?
======【引用ここまで】======
回答5)
議会運営委員会で緒方氏に対し謝罪の意思があるのかどうか確認がなされ、その際に事情の説明をする機会もあったかと思います。

======【引用ここから】======
質問6)「のど飴を口に含んで登壇したこと」を理由に党院停止の懲罰は適切であったとお考えか?
======【引用ここまで】======
回答6)
上記回答で述べたとおり、「のど飴を口に含んで登壇したこと」のみならず、議長の指示に従わず、議会の決定にも従わず、議場における秩序維持に著しく反したという出席停止に至る一連の過程があったことをご理解ください。

【請願権と、議員の発言の機会とは別物】

======【引用ここから】======
質問7)緒方議員の質問権と討論権は市民の請願権と一体になったもの。緒方議員の質問と討論を懲罰で奪った議会の決定は、市民の請願権の侵害に当り不当な排除と考えますが見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答7)
団体からの請願書については、請願法及び地方自治法に基づき適切に処理されています。具体的には、地方自治法第124条に基づき緒方氏の紹介により請願書が熊本市議会に提出され、請願法第5条に基づき受理され、本会議で委員会付託された後、地方自治法第109条第2項に基づき議会運営委員会で審査されています。

他方、会議規則に基づき行われる議員の質疑・討論については、その発言によって請願の内容が分かりやすくなるという一定の効果が認められます。しかし、質疑・討論は請願者とは別人格である議員が行うものであって、請願権と質疑・討論とは一体のものではありません。最終的には、個々の議員が請願書を読み内容を把握した後に賛否を判断し表決に臨むのであって、質疑・討論の発言内容は判断材料の一つに過ぎません。

また、請願の手続きとして、質疑、討論が不可欠の要素として定められているわけではありません。会議規則においても、一定の場合に発言通告が無効となることが予定されています。

なお、緒方氏の質疑の発言通告に、
請願を採択すべきでは
という文言が複数見られますが、質疑の中でこの内容の発言をすることは会議規則に違反するものであることを申し添えます。

============
○熊本市議会会議規則
(発言の通告及び順序)
第50条
4 発言の通告をした者が欠席したとき又は発言の順位に当たっても発言しないとき若しくは議場に現在しないときは、当該通告は効力を失う。
(質疑における意見の禁止)
第53条 議員は、質疑に当たっては、自己の意見を述べることができない。

============

【請願は終わりました。やり直しは無理筋】

======【引用ここから】======
質問8)本会議を招集し、中断された議会運営委員長に対する緒方議員の質問を再開し、緒方議員による賛成討論を行い、再度、採決等の手続きがなされることが、正統な手続きを経た上の決定と言えますが、見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答8)
上記回答のとおり、正当な手続きに沿って請願の受理、委員会付託、審査、委員長報告、表決が行われています。質疑の中断、討論の省略についても、発言予定者が出席停止になった以上はやむを得ないものと考えます。

また、地方自治法における再議を行うのも難しいのではないでしょうか。

======【引用ここから】======
質問9)議会運営委員会では当会の7つの請願について十分な審議がされていないため、委員会にさしもどし「再審議」を行うべきと考えます。見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答9)
繰り返しになりますが、正当な手続きに沿って請願の表決まで終了しています。このため、議会運営委員会への審査のさしもどしは不可能であると考えます。


【委員会審査が不十分であるという点について】

熊本市議会の会議録を見る限り、議会運営委員会の審査方法は

 ・案件を会派へ持ち帰り、会派内で協議することを議運委員間で確認する。
     ↓
 ・議運委員が会派で内容を伝え、会派内で協議し、会派としての意見をまとめる。
     ↓
 ・委員会で議運委員が会派の意見を報告する。
     ↓
 ・会派ごとの意見に相違があれば、再度会派へ案件を持ち帰る。

という流れになっているものと推察されます。

議運委員が会派選出となっていることから、議運での審査は、その場で議論を戦わせるというよりも、会派間のすり合わせが中心となっているようです。このため、審査の中身が見えづらく、決定までのスピード感を欠いている印象は否めません。ただ、審査の中身が見えづらくスピード感に欠けているということは、表決まで終わった案件を議運へ差し戻す理由にはなりません。

現状の議会運営委員会の構成や審査方法の中で請願内容の採択を目指すのであれば、緒方氏は何をすべきであったのでしょうか。

これについては、緒方氏が、他会派の議員が協議を行う場に趣旨説明に赴き、内容について理解を深めてもらい、賛同してもらうようお願いすることが必要であろうかと思います。採択には過半数の賛成が必要であるため、複数の会派を回ってお願いに行くべきです。そのためには、日ごろから他会派であっても友好関係を築いておくことが不可欠です。

逆に、紹介議員である緒方氏が飴を舐めながら演壇で長時間演説を行い他の議員の反感を煽ったことは、請願の不採択に向けた最短ルートであったということが言えます。

このため、当ブログとしては

緒方氏は議員に向いていない。
『熊本市自治基本条例をより良くする会』は紹介議員の選択を誤った。

という意見を述べて、今回の記事を終わります。
コメント

熊本の緒方夕佳氏を通して地方自治法と会議規則を眺めてみよう

2018年10月06日 | 地方議会・地方政治
お手盛りの次は飴玉モゴモゴ また緒方夕佳さんですか? ~熊本市議会のトラブルメーカー~ - 若年寄の遺言
熊本市議会の対応は間違っていない ~トラブルメーカー緒方氏に対する適切な処置~ - 若年寄の遺言
熊本市 子連れ市議会/あめ玉市議会Q&A(という名の個人的雑感) - 若年寄の遺言

熊本市議会の緒方氏が引き起こした騒動を通して、改めて地方自治法や会議規則を読み直す機会を得ました。この点で、緒方氏には感謝しています。
そして、緒方氏本人が騒動当日のことを書いたブログがありましたので、これを題材にしたうえで本シリーズを一旦終わりにしようと思います。
(あ、でも、「熊本市自治基本条例をより良くする会」の公開質問状が出されたら、コメントしてしまいそう。)


白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
今回も咳が出ないように議場に入った時には龍角散のど飴を含んでおり、一個目が切れて、二個目を自席に戻った時に含みました。口に含んだのをみて、なのか、口の中に入っているのに気づいたのかは指摘したご本人たちに聞いてみないとわかりませんが、二個目が口に入っている時に「飴を食べているぞ!」「飴を出させろ!」「ルールに従わなんて指摘しとるなら、あたが飲食禁止の規定ば守らなんでしょうが!」「飲食禁止!」などのヤジがあり「飴を出させろ!」の声がどうしようもなく高まって議長が議会を止め、暫時休憩にしました。
======【引用ここまで】======

誰にも断りを入れることなく1時間の質疑中のど飴を舐めながら発言をし続け、自席に戻り、二個目の飴をくわえて質疑を再開した緒方氏。
この品位を欠いた行為に気づいた他の議員は、次の規定に基づき、議長の注意を喚起することができます。

地方自治法
======【引用ここから】======
第一三一条 議場の秩序を乱し又は会議を妨害するものがあるときは、議員は、議長の注意を喚起することができる。
======【引用ここまで】======

「飴を出させろ!」は、議長への注意喚起という位置づけと考えます。

はい、次。

白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
議会の「品位の保持」は地方自治法に規定されています。
「第一三二条 普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」http://www.houko.com/00/01/S22/067.HTM#s2.6.9 とあります。つまり、咳が出ないようにのど飴を口に含むことは議会の品位を軽んじることではありません。

======【引用ここまで】======

もう一度地方自治法を読んでみましょう。

地方自治法
======【引用ここから】======
第一二九条 普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときは、その日の会議が終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。

第一三一条 議場の秩序を乱し又は会議を妨害するものがあるときは、議員は、議長の注意を喚起することができる。

======【引用ここまで】======

緒方氏が引用した第一三二条と、私が引用した第一二九条、第一三一条を合わせて読んだ上で、次の条文を見てください。

熊本市議会会議規則
======【引用ここから】======
(品位の尊重)
第134条 議員は、議会の品位を重んじなければならない。

======【引用ここまで】======

緒方氏は、
「地方自治法は品位の問題を『無礼の言葉』『他人の私生活にわたる言論』に限定している。」
と主張したいのかもしれません。しかし、地方自治法は「秩序を乱す議員の制止」を規定しています。地方自治法をうけての会議規則です。議会の品位は、無礼な発言や秩序を乱す行為を防ぐことで達成されるものと包括的に解釈すべきでしょう。
少なくとも、品位尊重の対象を言論に限定すべき理由はありません。

なお、熊本市の共産党市議団が「懲罰までは必要なかった」との反省コメントを出していますが、そのコメントの中でも

2018年9月議会最終日の緒方夕佳議員の懲罰について
======【引用ここから】======
本会議の質疑は真剣な論戦の場であることを踏まえ、飴を舐めての登壇や発言は、不適切であると考え、行為の中止と反省を求めました。緒方議員は議場において、議長がその行為を止めたにもかかわらず、止めずに、本会議ならびに議会運営委員会の場において、それに対する反省の弁や意思を示しませんでした。仮に風邪などで体調が悪い場合であっても、議長に断って発言するか、服薬等で対応するなど、常識の範囲で行動すべきであったと考えます。
======【引用ここまで】======

として、飴を舐めて演壇で発言したことから反省の意思を示さなかったことまでの緒方氏の一連の行為について、非常識・不適切であったと述べています。

はい、次。

白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
*懲罰には4種類あります。私に最初に課された「陳謝」はあちらが用意した「陳謝文」を強制的に皆の前で見せしめのように読ませることでした。心にもないことを読むように強要するのは人権侵害にあたるのではないでしょうか。このような処罰が議会に存在するのは大問題です。
======【引用ここまで】======

懲罰としての陳謝は、議会の定める陳謝文によって行うことが会議規則で定められています。

熊本市議会会議規則
======【引用ここから】======
(戒告又は陳謝の方法)
第143条 懲罰のうち公開の議場における戒告又は陳謝は、議会の定める戒告文又は陳謝文によって行うものとする。

======【引用ここまで】======

会議規則によって定められた方法が嫌だとしても、その会議規則を定めているのはあなた達議員です。
緒方氏は
「私は、議会の定めた会議規則に従いません。しかし、市民は議会の定めた条例に従え。」
とおっしゃるのでしょうか。
住民税や固定資産税、国保・介護の保険料は市民にとって重い負担です。この金額や支払方法は、議決された条例に基づいています。
市民は

「生活が苦しくて支払えない!」
「緒方の議員報酬1000万円に充てられるくらいなら、金をドブに捨てた方がましだ!」

と主張して滞納しても、条例に基づき市から強制的に徴収されてしまいます。
みんな嫌なんです。無理やりなんです。
なのに、その条例を定めた議員が、同じように議会で定められた会議規則に従わない姿を見た時、市民はどう思うでしょうか。
議員が会議規則に従わないということは、市民の条例に対する信用を毀損する行為です。

なお、のど飴を舐めながら質疑していたことに対し注意を受けたが謝罪しなかった、という一連の行為は、いずれも議場内での出来事です。
最終的な処分も除名処分ではなく出席停止であったことから、司法審査の対象とはならないでしょう。
このことから、

白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
どこに訴えると人権侵害であるという判断をしてもらえるのでしょう?ご存知の方はおしらせください。
======【引用ここまで】======

との問いに対しては、

「市議として、熊本市議会で『議会の定める陳謝文による陳謝を定めた規定は人権侵害だ』という理由で会議規則の改正を議員提案する方法がある」

という回答になります。

はい、次。

白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
*議員の発言権を奪ったことの重大さ。そしてそれに気づいていない議員諸氏。
議員の役割は市民のために話す事です。ですから、「発言権」を奪われたら何も残りません。この権利を奪うことは、代弁される市民の権利を奪うことです。どうもこのことがよく理解されていない様で、のど飴を理由にこの最重要の権利が剥奪されてしまいました。

======【引用ここまで】======

緒方氏に対しては、議員として発言権を行使する機会は与えられていました。現に1時間もこれを行使していました。
通常、会議には時間が限られていることから、

「議員一人につき発言は○○分まで」
「会派を代表して発言する議員に、会派人数に応じて発言時間を与える」

といった内部ルールを定めていることが多いかと思います。
49人の議員がいて、その中で一人会派の緒方氏に対し1時間も発言を認める熊本市議会は寛大だなぁ、というのが私の印象です。

ところで、もし緒方氏が自分の発言権の重要さを認識しており、自分の発言を通して市民の声を代弁することへの使命感を有していたなら、なぜ、議会運営委員会で問われた時点で謝罪しなかったのでしょうか。あるいは、陳謝文の朗読をせずに
風邪で咳の発作を止めるために喉の薬を口に含んでいましたが、それがどなたかのご気分を害したのであればお断り申し上げます。
などと、謝罪というより挑発に近い発言をしたのでしょうか。早い段階で謝罪していれば、質疑を再開することができたのにも関わらず、です。

緒方氏は、「自分の中の不快感」と「市民の声の代弁」の二つを天秤にかけ、自分の中の不快感を抑えきれずに謝罪拒否を選択しました。
それだけのことです。

はい、次。

白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
イギリスのメイ首相が演壇で水を飲みながらも、咳が止まらなくなり、閣僚の一人がのど飴を手渡してくれるという場面があります。https://www.bbc.com/japanese/41507970 国籍、人種などを問わず、咳が出るときはのど飴が有効であり、文化の問題ではありません。
======【引用ここまで】======

演説中に咳が止まらなくなり、水を飲んでも止まらず、閣僚の一人がのど飴を渡してくれました。そして、首相が閣僚に対し一言ジョークと謝意を述べた後、のど飴を舐めながら演説を再開しています。

この一連のやりとりを見ているからこそ、聴衆ものど飴を舐めながらの演説に納得するのであり、TPOをわきまえたものとして品位は保たれているのです。「のど飴を舐めていた」という断片を切り取るのではなく、咳をこらえようとするメイ首相の姿、聴衆から進められて初めてのど飴をくわえたといった流れを理解したいものです。

もし、メイ首相が何の説明もせず、冒頭からのど飴を舐めながら演説していたらどうなったでしょうか。見ている側からすれば、全く印象は異なります。
イギリスのメディアも
「保守党大会の権威が失墜。いつからフードコートでのお喋りになったのか」
くらいの批判をしたことでしょう。
コメント

熊本市 子連れ市議会/あめ玉市議会Q&A(という名の個人的雑感)

2018年10月04日 | 地方議会・地方政治
(このまとめは若年寄の個人的見解であり、特定の団体・組織を代表するものではありません。)

【Q1.あめ玉ひとつでいきなり出席停止は酷すぎるのではないか?】

A1.あめ玉ひとつでいきなり、ということではありません。
緒方夕佳氏があめ玉をくわえたまま演壇で演説をするという品位を欠く行為に対し、議会側からまず注意がありましたが緒方氏は謝罪しませんでした。
このため、議会は会議規則に基づき懲罰としての陳謝文朗読を決定しましたが、緒方氏はこれも拒否しました。陳謝文による陳謝は会議規則に定められた方法であることから、緒方氏の行為は明白な規則違反ということになります。
このため最終的に出席停止処分が出されたという、段階的な手順を踏んでのものです。

【Q2.出席停止は、保守政党・男性議員による子育てママへのイジメではないか?】

A2.今回の懲罰特別委員会の設置や懲罰内容の決定については、男女や会派の別を問わず全会一致で可決されています。子育て支援に熱心な政党の会派や他の女性議員も、緒方氏の一連の言動を問題視しているということです。
品位を欠いた行為に対する最初の注意の時点で、適切に謝罪していれば、議会の空転も出席停止も無かったと思われます。

【Q3.のどあめごときで8時間も休止するな】

A3.本会議中にイレギュラーな事態が生じ、これに対応するために議会運営委員会を開いて協議するとなると、1回につき準備等を含めて30分くらい要してしまうことがあります。ましてや、滅多に発生しない懲罰特別委員会の設置、開催となると、開催のたびに手順確認、資料作成、会派内の協議等で相当な時間を要します。議会運営委員会、懲罰特別委員会を複数回開催しなければならない状況となったことで、結果として当初予定されていた議事日程が8時間休止になったものです。
確かに、手続きが煩雑であるという印象は拭えません。しかし、本会議での議決はそのまま自治体全体の意思決定、または議会という機関の意思決定となるために、本会議の運営には厳格な手続きが定められているものです。

【Q4.請願の質疑の途中で緒方氏を退席させ、質疑を中断したまま表決を行ったのは請願権の侵害ではないか?】

A4.今回の請願は、請願権に基づき紹介議員を介して本会議で議題とされた後、所管する委員会に付託されました。委員会での審査を経て審査結果が本会議で報告され、表決に至りました。
一方、請願の委員会審査報告に対する質疑は議員の発言権の一環として実施されるものであり、請願権の一環として必ず質疑が行われなければならないというものではありません。質疑の途中で発言者が出席停止となったのは発言者の事情によるものであって、請願者の請願権侵害には当たりません。

【Q5.赤ちゃんを連れて議場に入るのをなぜ拒否したのか?】

A5.議場は、議題となった議案について説明を受け、質疑、討論、表決などを行う場所であって、子供の世話や高齢者の介護をするための場所ではありません。そのための設備もありません。熊本市議会事務局からは「議員がベビーシッターを手配して、会議中は議員控室で子供を見てもらったらどうか」という回答がなされています。
同じような対応をとった議会として、沖縄県北谷町議会があります。議員控室を保育スペースとして使用することを認め、会議中は議員が手配した有償ボランティアに子どもを預けるという対応をとっています。

【Q6.自費でベビーシッターを手配するのではなく、議会側が手配してあげるべきでは?】

A6.熊本市議会議員には1年間で議員報酬約1000万円が支給され、さらに議員活動に対する補助金として政務活動費が年240万円支給されています。一般の子育て世代の親とは異なり、緒方氏に対しては議員として十分すぎる金額が支払われています。緒方氏の要望に応じ税金で議員用ベビーシッター代や議員用託児室の整備費用を支出することは、過剰な議員特権と評価されるおそれがあります。

【Q7.ニュージーランドのアーダーン首相は国連に赤ちゃんを連れて出席していた。これが国際水準ではないのか?】

A7.アーダーン首相は事前に国連側に相談し、赤ちゃんに対し特別な身分証を発行してもらっていました。事前の相談・了承が必要なのは国際的に共通しています。
しかも、緒方氏はルールを作る立場の人間であるにも関わらず、事前に赤ちゃんを議場に連れて入るためのルールが無いまま無許可で強行しました。赤ちゃんを議場に連れて入ること自体が問題視されたというよりも、こうした緒方氏の政治姿勢が問題視されています。

【Q8.イギリスのメディアは、子連れ市議会/あめ玉市議会における議会側の対応を批判している。やはり前時代的な対応ではないか?】

A8.イギリスでは、ロンドンを除く地方議会の議員は無報酬(手当てのみ有)の名誉職という扱いになっています。イギリスのメディアは「地方議員=無報酬」という自国でのイメージに基づいて語っている可能性はないでしょうか。
このイメージに基づき、
「無報酬で頑張ってるんだから、会議時くらい議会側でベビーシッターを手配しても良いのでは。」
という誤った認識が形成されていないでしょうか。
熊本市議会議員の待遇を知ったら
「そんなに報酬を貰っているなら、ベビーシッターは議員側で手配し自費で対応して当然だ。」
と考えるのではないでしょうか。

また、イギリスのメイ首相が党大会演説中に咳が出て、財務大臣から渡されたのど飴を舐めながら演説を続けたということがあったようです。
Blomberg

これは、党大会における首相演説というメインの最中で首相が咳き込みだし、水を飲んでも咳が止まらないことから、財務大臣が見かねてのど飴を差し出すほどの場面。飴を舐めながらの演説がやむを得ない状況であるのは明らかです。緒方氏とはまず状況が違います。
また、周囲の聴衆に
「飴を舐めながらの演説でも、この人の演説をもっと聴きたい、最後まで聴きたい。」
と思わせたメイ首相の人柄や演説内容も背景にあるのだと思います。
少なくとも、
「いつまでこの演説を続けるのか。喉が痛いなら早く演説止めたらいいのに。」
という周囲の反感を買ってはいなかったでしょう。
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