若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

職務代理 ~落選後任期満了まで~

2022年03月05日 | 地方議会・地方政治

【2月21日】


この時は元気だったのに・・・

行橋市長選挙、田中純候補の出陣式へ 衆議院議員 きいたかし 福岡10区(北九州市門司区・小倉北区・小倉南区) | 衆議院議員きいたかし(城井崇)


【2月25日】


この時も元気って言ってたのに・・・

行橋市長選 候補者の横顔 朝日新聞2022年2月25日
======【引用ここから】======
田中 純氏(75)無現② 気力体力充実 8年の実績強調
ー----(中略)ー----
2014年の8回目で初当選。今回も気力体力は充実している、と3選出馬を決めた。
======【引用ここまで】======

【2月27日】


選挙で負けて・・・

44歳の工藤氏が初当選 行橋市長選 現職と新顔の元副市長を破る:朝日新聞デジタル
======【引用ここから】======
 福岡県行橋市長選は27日投開票され、無所属新顔で元市議の工藤政宏氏(44)が、3選を目指した現職の田中純(75)=立憲民主、国民民主推薦=、新顔で元副市長の松本英樹(63)の無所属2氏を退け、初当選を果たした。
======【引用ここまで】======

【2月28日】


落選の翌日、なんと、体調不良を理由とした職務代理!?!?

<田中・行橋市長>田中・行橋市長、体調不良 職務代理副市長に /福岡(毎日新聞)
======【引用ここから】======
 行橋市は28日、田中純市長(75)が体調不良のため、1日から当分の間、城戸好光副市長を職務代理者とする発表した。
 田中氏は27日投開票された市長選で、新人で元市議の工藤政宏氏(44)に敗れたばかり。1日開会の市議会3月定例化では城戸氏が答弁に立つ。田中氏の任期は17日まで。【松本昌樹】

======【引用ここまで】======

【支援者への影響】


田中純市長は、「当分の間」と期限を定めず職務代理を置きました。
もしこのまま、3月17日の任期満了まで復帰しなかったら、ですよ。
田中純氏に対し
「逃げた」
「無責任」
といった反感が生じるのは必至です。

この反感は田中純氏本人のみならず、支援した国会議員、県議、市議にまで及ぶんじゃないかと思います。

「こんな無責任な候補者を推していたのか。」
「選挙後10数日の職務すらこなせないような高齢者を、次の4年間も市長にさせようと支援運動していたのか。」
「選挙期間中、支援した議員は田中純氏を団体や企業に連れて回ったのに、市長の職務をさせるために議場には連れてこないのか。」

ってね。
このまま田中純氏が職務復帰しないまま任期を終えると、田中純氏を支援した議員達は今後の選挙のたびに
「あの職務放棄した無責任男を推した〇〇代議士(県議・市議)」
「人物眼の無さは折り紙つき」
といった十字架を背負って戦わなければならないこととなります。

【田中純「市長」最後の10数日】

さて。

上記の毎日新聞では3月1日から市議会3月定例会が開会されます。
おそらく、田中純氏にとって市長として臨む最後の市議会となるでしょう。

市長として公式の議事録が残る形で議場で話す最後の機会です。
自分の市政への想いを語り、2期8年の総括を行うことができる最後の場面です。

市長の仕事をしたくて立候補したんでしょ?

残り10数日とは言え、市長なんですよ。

給与も発生しているんですよ。
まだ決裁も残っているでしょう、行事も残っているでしょう。
まだ人事権だって予算執行権だって手元にあるわけです。

残り任期中に災害が起きる可能性もゼロではありません。
災害時に指揮をとるのは市長でしょ。

それでも、体調不良を理由に職務放棄しますか?

【法律上の問題】

さてさて。

市長の職務代理は、地方自治法第152条第1項

普通地方公共団体の長に事故があるとき、又は長が欠けたときは、副知事又は副市町村長がその職務を代理する。

という条文が根拠となります。

この「長に事故があるとき」に、一時的な体調不良は当てはまるのでしょうか。
どの自治体にも100%該当するわけではありませんが、考え方の指針として、次の例が参考になると思います。

○加東市長に事故があるときの職務代理者の設置基準
======【引用ここから】======
2 病気等により療養する場合
 病気等により2週間を超えて療養する場合で、その職務に自ら有効な意思決定をし、職員を十分に指揮監督できないような状況にあることが明らかなときに限り、職務代理者を置くものとする。

======【引用ここまで】======

典型例として、入院して手術する場合が挙げられると思います。
一定期間入院するためその間執務を行える見通しが立たない、そんな場合に使うのが職務代理です。
自治体によっては、入院療養が予定される場合であっても職務代理を置かずに対応した例もあるようです。

この例↓は、すごい丁寧な対応だと思います。
市長の入院について | 本巣市



2週間を超えて療養が必要なほどの体調不良なのか。
入院療養の必要な疾病が以前から分かっていたのか。
2週間を超えて療養が必要なほどの体調不良であったのに、それを隠して市長選出馬したのか。
それとも、一時的な体調不良に過ぎないのに地方自治法の規定を濫用して職務代理を置いたのか。
療養先から電話やメールによる指示ができない程の状態なのか。

田中純氏は、使途不明金情報隠蔽問題や本会議翌日専決処分といった、法律の想定を超えた職権濫用事例がいくつかあるのですが、今回の落選翌日職務代理もその濫用事例に追加できるかと思います。

3月1日~3月17日の市長給与は日割り計算されると思うのですが、返還請求の対象にならないだろうか。

【識者コメントの紹介】

最後に。

この職務代理に関して、ツイッター上で見つけた識者コメントを紹介して終わりたいと思います。

徳永克子さんtwitter


予想通り」と評される田中純氏・・・

white hatさんtwitter


立憲民主党の皆さん、国民民主党の皆さん、大家敏さん、麻生太郎さん、城井崇さん、あなた方の支援した現職候補が落選後に職務に戻ってきません・・・

ハコモノを減らして将来負担を減らそう ~公共施設等総合管理計画と行橋市長選~

2022年02月19日 | 地方議会・地方政治
『行橋市公共施設等総合管理計画』というものがあります。

公共施設等総合管理計画 | 行橋市ホームページ
行橋市公共施設等総合管理計画 平成29年3月

この中で、大事なことが書いてありますので紹介します。

市としては 施設や維持費の削減が必要であると考えています


別のところでは、
「最適配置の推進」
と銘打って、
①施設を1箇所にまとめる。
②民間に運営をゆだねる。(譲渡を含む)
③施設の廃止を進める。
④建替えの際に規模を縮小する。
⑤別の用途の施設として利用する。(既存建物を活用)
⑥公共施設等の再編による拠点整備とともに新たなニーズに応える。

という手法を示しています。


これについて、行橋市長選に名乗りを上げた3人に質問を投げかけるとしたら、次のとおり。

【田中純氏へ】

前回市長選において最大の争点は、新図書館の建設問題でした。

田中氏は当選後に新図書館を建設しましたが、それによる維持費の増加は公共施設等総合管理計画に反していませんか?
既存の旧図書館の活用ではダメだったんですか?
新図書館ができた後に商店街のスーパーが撤退するなど目に見えて衰退したわけですが、強行した新図書館建設事業が中心市街地の活性化に寄与しなかった事への反省の弁はありませんか?

【工藤政宏氏へ】

田中氏が建ててしまった新図書館をはじめ公共施設は増加していますが、その維持費は今後どう工面しますか?
以前当ブログにて、工藤氏の固定資産税減税論について紹介しましたが、維持費が膨らむ中で財源はどうしますか?
どの施設を廃止・縮小しますか?

【松本英樹氏へ】

松本氏が主導した増田美術館の公営化は、公共施設等総合管理計画に掲げた
②民間に運営をゆだねる。(譲渡を含む)
という考え方に逆行していませんか?
財団の維持管理費を市が肩代わりして、市の負担が増えていませんか?
美術館の旧オーナーと松本氏とは、2016年12月27日の毎日新聞記事によると「親交のある」仲と紹介されていましたが、具体的にどういう間柄だったのですか?

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新型インフルエンザ等対策特別措置法と「法律による行政」「法の支配」(備忘録)

2022年02月01日 | 政治

【問1 まん防の実施】

令和4年1月、岸田首相は、新型コロナ陽性者数が増加したことを受けて就任後初のまん防(まん延防止等重点措置)の実施を発表しました。

これ、法令に沿った運用と言えるのでしょうか?
法律や政令に定める発動条件を満たしているでしょうか。

【条文】

〇新型インフルエンザ等対策特別措置法
======
(新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置の公示等)
第三十一条の四 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章及び次章において同じ。)が国内で発生し、特定の区域において、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある当該区域における新型インフルエンザ等のまん延を防止するため、新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を集中的に実施する必要があるものとして政令で定める要件に該当する事態が発生したと認めるときは、当該事態が発生した旨及び次に掲げる事項を公示するものとする。
一 新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を実施すべき期間
二 新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を実施すべき区域
三 当該事態の概要

======

〇新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令
======
(新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を集中的に実施すべき事態の要件)
第五条の三 法第三十一条の四第一項の新型インフルエンザ等についての政令で定める要件は、当該新型インフルエンザ等にかかった場合における肺炎、多臓器不全又は脳症その他厚生労働大臣が定める重篤である症例の発生頻度が、感染症法第六条第六項第一号に掲げるインフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められることとする。
2 法第三十一条の四第一項の新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を集中的に実施すべき事態についての政令で定める要件は、当該新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置を集中的に実施しなければ、同項の特定の区域(以下この項において単に「特定の区域」という。)が属する都道府県における新型インフルエンザ等感染症の患者及び無症状病原体保有者(感染症法第六条第十一項に規定する無症状病原体保有者をいう。以下この項において同じ。)、感染症法第六条第八項に規定する指定感染症(法第十四条の報告に係るものに限る。)の患者及び無症状病原体保有者又は感染症法第六条第九項に規定する新感染症(全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものに限る。)の所見がある者(以下「感染症患者等」という。)の発生の状況、当該都道府県における感染症患者等のうち新型インフルエンザ等に感染し、又は感染したおそれがある経路が特定できない者の発生の状況、特定の区域における新型インフルエンザ等の感染の拡大の状況その他の新型インフルエンザ等の発生の状況を踏まえ、当該都道府県において新型インフルエンザ等の感染が拡大するおそれがあると認められる場合であって、当該感染の拡大に関する状況を踏まえ、当該都道府県の区域において医療の提供に支障が生ずるおそれがあると認められるときに該当することとする。

======

【要約】

法律あるあるですが、長くて非常に読みにくい。
読みやすいように短くしてみましょう。

政府対策本部長=内閣総理大臣は、

① 国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある感染症が国内で発生し、

② 特定の区域において、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある感染症のまん延を防止するため、

③ まん延防止等重点措置を集中的に実施すべき事態が発生したと認めるときは

まん延防止等重点措置を実施する期間と区域を公示する、という流れになります。

この①と③については、政令(同法施行令)であらかじめ条件が定めてあります。

まず、①の「重大な被害を与えるおそれのある感染症」とは何かという点。
政令では、肺炎、多臓器不全、脳症など重篤な症例が、通常のインフルエンザよりも相当高い頻度で発生する感染症に限定されています。

次に、③についてですが、これは端的に言うと「医療の提供に支障が生ずるおそれがあると認められるとき」となります。

肺炎、多臓器不全、脳症などが相当高い頻度で起きる危険な感染症をまん延させない、医療崩壊を防ぐ、そのために発動するのがまん防です。

【法律違反のまん防】

ここで問題となるのは、①です。

繰り返しになりますが、まん防を実施できるのは、肺炎、多臓器不全、脳症などの重篤な症例がインフルエンザよりも高い頻度で発生する、そんな危険な感染症に限定されています。

・・・さて皆さん、新型コロナウイルス感染症のうち特に今増えているオミクロン株の感染で、肺炎、多臓器不全、脳症などの重篤な症例の発生頻度がインフルエンザよりも相当高いというのを聞いたことがありますか?現実はむしろ逆で、陽性者でも無症状が多く、また、症状があっても風邪と見分けがつかない程度の患者が多数です。

令和4年1月時点におけるまん延防止等重点措置の実施は、法律と政令で定める条件を満たしていると判断できる情報、統計、要素がありません。

私は、
拙速、やりすぎのほうがまし
と放言する岸田首相の功名心と恐怖心が先行し、周辺の人間が忖度をした結果が、法律と政令で定める条件を無視したまん防の発動に繋がったものとみています。

風邪と見分けのつかない感染症を、「肺炎、多臓器不全、脳症などの重篤な症例がインフルエンザよりも相当高い」と過大評価してしまった岸田首相ですが、開始時点で明確な根拠を持っていないため、今度は解除の時にタイミングが分からなくなって前の菅政権と同じように迷走するのでしょう。

【問2 まん防の効果】

次に、政府のまん延防止等重点措置区域の決定を受けて、対象となった地域の自治体はこぞって次のような発表をしています。

まん延防止重点措置区域決定後の対応について - 大分県ホームページ
======【引用ここから】======
飲食店・遊興施設・結婚式場
認証店の場合
A  営業時間21時まで・酒類提供可  もしくは B 20時まで・酒類提供不可 から選択

非認証店の場合
C 営業時間20時まで・酒類提供不可
営業時間の短縮等に対応頂ける場合、協力金を支給します。対応頂けない場合、店名公表等の罰則を伴う可能性あります。
======【引用ここまで】======

テレビでもこんな表現でしきりと放送しています。
これ、合ってると思います?

【条文】

〇新型インフルエンザ等対策特別措置法
======
(感染を防止するための協力要請等)
第三十一条の六 都道府県知事は、第三十一条の四第一項に規定する事態において、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある同項第二号に掲げる区域(以下この条において「重点区域」という。)における新型インフルエンザ等のまん延を防止するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該都道府県知事が定める期間及び区域において、新型インフルエンザ等の発生の状況についての政令で定める事項を勘案して措置を講ずる必要があると認める業態に属する事業を行う者に対し、営業時間の変更その他国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある重点区域における新型インフルエンザ等のまん延を防止するために必要な措置として政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。

2 (略)
3 第一項の規定による要請を受けた者が正当な理由がないのに当該要請に応じないときは、都道府県知事は、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある重点区域における新型インフルエンザ等のまん延を防止するため特に必要があると認めるときに限り、当該者に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。
======

【要点】

まず、まん防の決定を受けた区域で、都道府県知事は、営業時間の変更を始めとする措置を「要請」することができる、と書いています。
次に、第3項では、この要請を受けた者が「要請」に応じないとき、都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止するため特に必要があると認めるときに限り命令を出せる、となっています。

今現在は、「要請」の段階です。
これは法律の問題というよりも日本語の問題なのですが、「要請」は「~してください」という意味しか持っていません。この段階で強制力は持っていません。

このため、「要請」の段階で

「酒類提供可(できる)」
「酒類提供不可(できない)」

といった表記を用いるのは誤りです。

要請」なので、あくまでも都道府県知事側は、
「非認証店の皆様におかれましては、営業時間までは20時まで、酒類は提供しないようお願いいたします」
と低姿勢でなければいけません。

そして、「要請」に従わなかったとしても、直ちに問題にはなりません。
「要請」に従わせる事が
新型インフルエンザ等のまん延を防止するため特に必要があると認めるときに限り」、
都道府県知事は初めて命令を出すことができます。
要請」はあくまでお願いでしかないので、お願いに従わなかったからと言って直ちに命令につなげることはできません。

条文で、「『特に必要があると認めるときに限り』」と、強めの限定をしているので、かなり差し迫った必要性を知事の側が証明できなければならないと考えます。

もし命令できるとしたら、要請に従わなかった店で多数の客が感染したことが明らかで、その客がいずれも重症の肺炎になったようなケースくらいでしょうか。

【法律で縛る事の意味】

であるにも関わらず、どの自治体も
「まん延防止等重点措置が決まりました。酒類提供できません」
の一点張り。

マスコミも自治体の発表を鵜呑みにして
「非認証店では20時までしか営業できません、お酒の提供もできません」
と垂れ流すのみ。行政を監視するというスタンスを放棄してしまっています。

現在係争中のグローバルダイニングと東京都の訴訟で、もしこれで東京都が勝ってしまうようなら、立法府が命令を限定的な形で規定したとしても、行政府や自治体に対し何の歯止めにもならないことを意味します。

いや、もう既に法律の歯止めを失って政府や自治体は暴走している、それが昨今のコロナ対策禍だと言えるかもしれません。

法律に基づく行政とは何だったのか。
日本は「法の支配」の原理を採用しているのではなかったのか。

グローバルダイニング訴訟、原告が投げかける問い「コロナ時短命令、誰が責任とるのか」(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース
======【引用ここから】======
「“政府”は終局的な責任をとらない要請を中心とした法的義務なきお願いをベースに我々の行動変容を調達し、責任を丸投げされた市民社会は、視聴率に依存する無責任なマスメディアによる煽りによって、同調圧力と相互監視を強め、萎縮した社会はいまだに元の姿に戻っていません」(倉持弁護士)
======【引用ここまで】======

前副市長の出馬タイミングと失策への関与 ~ 行橋市前副市長・松本英樹氏に正当性はあるか ~

2022年01月20日 | 地方議会・地方政治
タイトルのとおり、行橋市の松本英樹前副市長に正当性があるかどうかを考えてみたいと思います。

私は、
前副市長としての出馬タイミングは賞味期限切れであり、田中市政の失策にも深く関与している松本氏に、市長選に出馬表明するような資格・正当性は無い
と評価しています。

【パターン1 禅譲型】

副市長が市長に立候補するパターンには、3つあります。

そもそも、副市長とは何でしょうか。

副市長は、市長の市政運営を支える補助機関です。市長の意向を実現するために政策立案や組織内部の調整を行い、時には市長の名代として外部との交渉や記者会見も行う、市政のナンバー2です。女房役と言われる事もあります。

ですので、市長の施策方針と概ね同じ人物が選ばれます。市長が、自分を補佐するに足る人物を選び出し、議会の同意を得て任命することになります。

そして、市長が1期、2期、3期・・と務めて引退を決意した際に、ナンバー2として仕えてきた副市長を次の市長候補として推すということがよく行われます。

これを第1のパターン・「禅譲型」と呼ぶこととしましょう。

安倍元首相が退陣表明し、その官房長官であった菅氏が後任の首相となる。あるいは、福岡県知事であった小川氏が病気で引退する際、副知事であった服部氏が小川路線の継承を掲げて出馬し当選した例などは、その典型と言えるでしょう。

また、今後控えている選挙では、加東市なんかもそうでしょう。現職の安田正義市長が今期限りで退任する意向を示し、これを承けて令和4年1月に岩根正副市長が令和4年4月の市長選へ立候補する意向を表明しています。
4月の加東市長選 副市長の岩根氏、立候補表明へ|総合|神戸新聞NEXT

【パターン2 対抗馬型】

この「禅譲型」に対し、市長が継続して出馬を表明しているのに副市長も出馬を表明するパターンもあります。これを「対抗馬型」と呼ぶことにしましょう。

この対抗馬型は、住民から理解がしにくい所です。
従来の市長の路線と、その市長に仕え補佐していた人の路線と、どこがどう違うのか分かる住民はそう居ないでしょう。当の市長・副市長も、どこが違うのかと問われてスラっと答えられないんじゃないかなと思います。
立候補した副市長が市長を批判しても、その批判は補佐をしていた副市長にそのまま返ってきます。

「あなたが批判する市長の路線や施策を補佐し遂行しようとしてきたのは副市長、あなたでしょ?」

というブーメランが発生します。

なので、この「対抗馬型」を成立させるためには、明確な争点であったり、「前副市長である私は市長とここが違う」という点を説明できることが必要です。

何かハコモノを作る・作らない、とか、
施設を誘致する・しない、とか、
新たな規制や補助金を導入する・しない、とか、
そういった「どちらにするか」で市長と副市長が対立し、調整が付かず、副市長が
「もうあなたにはついて行けません。あとは選挙で決着を付けましょう」
といった対決構図があると、住民としては分かりやすいですね。

あるいは、市長から副市長として選任されたが、1期目の途中で
「この市長とは合わない」
となって任期途中で副市長を辞めるのであれば、住民としてもまぁ理解できるかと思います。

ここで、令和4年に選挙を控えた上田市の例を見てみましょう。

======
平成26年4月 母袋倉一市長の下で、井上晴樹副市長を選任。

平成30年4月 土屋陽一市長の下で、井上晴樹副市長を再任。

令和2年 井上晴樹副市長から土屋陽一市長へ退職届が提出されたが、コロナ対応等を理由に退職時期を延ばすこととし、令和3年3月31日付で退職することとなった。

令和3年12月 井上晴樹前副市長が令和4年3月の市長選へ立候補する意向を表明。

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井上氏が立候補を正式表明 3月の上田市長選 | 信濃毎日新聞デジタル
令和3年3月 上田市議会定例会 会議録

井上晴樹氏は、母袋前市長とは相性が良かったけれど、土屋市長とは合わなかったのだろう。母袋市長再選の前に、袂を分かって独自の井上路線を打ち出そうとしたのだろう・・・という想像はできます。

【パターン3 賞味期限切れ型】

ここで、本題である行橋市の松本英樹前副市長を見てみましょう。
松本英樹氏の場合は、「禅譲型」「対抗馬型」のいずれにも当てはまりません。

市長が立候補を表明していますので、「禅譲型」は成立しません。
かといって、ハコモノを作る・作らないといった明確な争点があるわけでもなく、市長1期目の途中で対立軸を提示したわけでもないことから、「対抗馬型」を成立させる条件も満たしていません。

田中純市長の1期目の終わり頃、行橋市は
「新図書館を作る・作らない」
で真っ二つに割れていました。
その選挙で田中純市長は再選を果たし、この市長を補佐してきた松本英樹氏も2度目の副市長選任を受けています。
田中純市長から、
「松本さん、2期目も副市長を頼みます」
と言われこれを受諾している時点で、松本氏は、細部に不満点はあれど、田中純氏の1期目の市政運営を全体としては容認したわけです。
この瞬間に、松本英樹氏は田中純市長の対抗馬として
「選挙を通じて対立軸を提示する」
という資格を失っています。

その後、松本英樹氏は田中純市長から副市長を解職されました。
その理由は、
市長に黙って会社役員に就任したから
というものでした。
(人として信用置けませんし、公職にある者が任期中に会社役員へ就任するのは公平性を疑わせますね。)

この解職の後、松本氏はそれまで主人であった市長に対し批判を展開し始めたようですが、
「それなら、なぜ田中純市長1期目の終わりに反旗を翻さなかったのか」
という疑問はずっと残ります。

この松本氏のパターンを「賞味期限切れ型」と呼ぶことにしましょう。

【拭いきれない「いまさら」感】

上記の新図書館を作る・作らないの時、私は

「無駄なハコモノは増やすべきでない。人口減少社会に突入するのにハコモノ増やして維持管理費を増やすのは自殺行為」

と反対をしてきました。この新図書館を作る・作らないで揉めている時に、時の市政ナンバー2・副市長が抗議を兼ねて辞意表明し、自らが反対派候補として出馬するか反対派候補の支援に回っていたら、91票差がひっくり返って田中純市長の2期目は無かったかもしれません。
その反旗を翻すべき時、明確な争点があった時には田中純市長に付き従い、今頃になって

トップダウンが強すぎる現市政で本当にいいのかを問いたい

と出馬しても遅い。遅すぎる。今じゃない。
トップダウンが強すぎることは、田中市政1期4年で分かっていたことじゃないのか。

そう、出馬タイミングから見るに、松本英樹前副市長はとっくの昔に「賞味期限切れ」なのです。

【松本英樹氏の汚点】

さてこの松本英樹前副市長ですが、田中純市長の下で1期目4年間+2期目途中2年間にわたって副市長を務めていました。

この6年間、松本氏は市政ナンバー2として田中純市長を支え、施策や運営を消極的にであれ承認してきた訳ですが、次の

1.実行委員会500万円使途不明金問題

2.新図書館建設

3.私立美術館の公営化


については、松本英樹氏は消極的な承認のレベルを遥かに超えた、積極的な関与をしています。過去の当ブログで紹介したネタですが、改めて確認しましょう。

【1.実行委員会500万円使途不明金騒動】

まず、田中市政を語る上で忘れてならないのが、使途不明金問題。

これは、市がイベント実行委員会を立ち上げて、そこに公金を入れて運営していたところ、約500万円の使途不明金が発覚。ところが、市はこれを有耶無耶に終わらせたという事件です。

この事件が発覚した時、議会は紛糾したというのが新聞記事になっていました。
当然ながら追及する議員もいましたが、
実行委員会の情報は開示の対象外
と市側は情報提供を拒み、事件の真相は不明なまま終わりました。

実行委員会方式で実施した事業の情報公開 ~ 実行委員会だから非開示とは限らない ~ - 若年寄の遺言

腐ってやがる・・・古すぎたんだ・・・ ~ 情報公開の谷のユクハシ ~ - 若年寄の遺言

この時、
実行委員会の情報は開示の対象外
として資料提供を拒む法解釈を示し情報隠蔽に加担したのが、当時の副市長であった松本英樹氏です。

この「実行委員会の情報は開示の対象外」という法解釈は、最高裁の決定に反しています。
他自治体では、イベント実行委員会の決算資料等をホームページでも出していると言うのに。

ビーチバレー運営費使途不明 行橋市 副市長「各団体で予算執行違う」 議会文教厚生委の追及に壁 /福岡 毎日新聞2017年8月23日 地方版
======【引用ここから】======
 行橋市議会・文教厚生委員会が22日あり、市が実行委員会事務局を兼ねる「ゆくはしビーチバレーボールフェスタ」の2015年度決算で不明朗な会計処理があった問題を審議した。実行委員の松本英樹副市長(副会長)と米谷友宏教育部長が出席し、一部で領収書がない点などに松本副市長は「領収書の再発行はないが、支出は全て確認した」と述べ、改めて職員による着服を否定した。【荒木俊雄】
 市情報公開条例では、情報公開の対象機関は市長、教育委員会、議会など10部局で実行委は含まない。また、議会の調査権は自治体の補助金が適切に使われたかどうかの審査までとされ、同委に唯一示された使途のわかる資料は15年度決算書(A4判1枚)だった。

======【引用ここまで】======

○行橋市議会、監査求める決議否決 市は資料も非公開 /福岡 毎日新聞2017年9月27日 地方版
======【引用ここから】======
 市は着服否定の根拠として記者会見などで「570万円について、領収書のない部分も含めて支出確認がとれた」と説明。だが、実行委が市の情報公開対象外であることなどを理由に所管の市議会・文教厚生委員会にさえ領収書なども示していない。
 一方、最高裁は2005年9月、岐阜県が「実行委は別団体でその文書は公開条例の対象外」として市民団体に非公開とした文書を「公文書にあたる」と判断。公開を命じた2審判決を支持・確定させた。【荒木俊雄】

======【引用ここまで】======

もし、松本英樹氏に公僕としての良心があれば、実行委員会の支出に関する資料を隠蔽する事をためらったことでしょう。
もし、松本英樹氏が市職員あがりの副市長として情報公開に関する最高裁決定の知識を有していれば、隠蔽が誤りであることは分かったことでしょう。
もし、松本英樹氏に市政ナンバー2としての気概があれば、トップである田中市長からの隠蔽指示に公然と待ったをかけたことでしょう。

「この件については最高裁の見解も示されていることだし、副市長として、非開示には賛同できない」
と、議会や会見の場で述べるべきであったのです。松本英樹氏には、副市長としてあるべき良心、知識、気概が欠けていたことがこの事例から分かります。
イベント実行委員会の支出に関する情報を非開示とする最終決定をした田中純市長の責任は重大ですが、その決定の根拠となる歪んだ法解釈を示した松本英樹氏の責任も同等です。

【2.新図書館建設】

前述のとおり、行橋市を二分した案件として新図書館建設問題が挙げられます。田中市政1期目終了時の選挙では最大の争点となりました。

この問題について、新聞記事や議事録等から松本英樹氏の建設に対する賛否の考えを察することはできませんでした。

ただ、行橋市が防衛省から補助金をもらい、新図書館建設地となった旧ミラモーレという宴会場の跡地を公益財団法人増田美術・武道振興協会から購入する交渉の担当者となっていたのが松本英樹氏です。
防衛省のひも付き補助金で購入していなければ、建設目的が文教施設に限定されることはありませんでしたし、土地を買っていなければそもそも図書館建設問題は起こらなかったのです。

松本英樹氏は、新図書館建設問題の発端から関与している人物です。

【3.私立美術館の公営化】

以前、公益財団法人増田美術・武道振興協会が半分を所有し、理事長が半分を所有する私設の美術館がありました。これを、田中市政において、公益財団法人増田美術・武道振興協会が半分を所有し、市が半分を所有するという形態に変えました。土地・建物のうち理事長の持ち分を市へ譲渡し、公営美術館に改めつつ、市が行う美術館の管理運営を公益財団法人増田美術・武道振興協会が引き受ける形に変更しています。

税金支出を増やす名誉市民 ~ 他人の金でパトロン気取り2 ~ - 若年寄の遺言

公益財団法人増田美術・武道振興協会が管理を行う実態はほぼ変わらないのに、市から公益財団法人増田美術・武道振興協会へ管理委託料が支払われるという公金支出が余計に発生していることになります。
この一連において、松本英樹氏がメインとなって新聞記事に掲載されていますし、議会答弁も主となって行っています。

新図書館建設問題における、防衛省補助金を利用した財団法人から土地購入、
そしてこの美術館公営化に伴う管理委託料の財団法人への支払い、
さらには市の負担で財団法人オーナーの美術品寄贈を受け付けたことにより相続税が軽減され、
これと並行して、財団法人オーナが経営する企業の役員に松本英樹氏が就任、
・・・これはどう考えても縁故、癒着としか評価のしようがありません。

上記1・2・3は松本氏の副市長として関与した責任は免れないものと考えます。これ以外の事業についても、約6年の間に起きた施策・事件については、田中純市長とともにその批判を受けるべき立場にあります。

トップダウンが強すぎる現市政で本当にいいのか(僕は反対だったんだけど、トップがやれと言うからやったんだ)」
というのは、下っ端の職員ならいざ知らず、元ナンバー2が言うと非常にダサい。

【まとめ】

ということで、

田中純市長1期目終了時の4年前ならいざ知らず、2期目途中で解職された前副市長が出馬表明するのは賞味期限切れ。今更出てきて何をしようと言うのか、争点も全く明確ではありません。出馬理由が、解職されたという個人的な逆恨みくらいしか想像できません。
松本英樹氏がすべきは出馬表明ではなく、過去の不祥事や癒着についての説明と謝罪です。


行橋市長選に松本元副市長が出馬表明 「市民に寄り添う市政に」|【西日本新聞me】2021/5/21 5:57
======【引用ここから】======
 来年3月の任期満了に伴う行橋市長選に、元副市長で新人の松本英樹氏(63)が20日、無所属で立候補すると表明した。同市長選への立候補表明は初めて。
 松本氏は1982年に市職員となり、総務部長などを歴任。2014年に初当選した田中純市長(74)から副市長に起用された。だが次第に田中氏の市政運営に批判的になり、19年に解職された。現在は市内の不動産管理会社員。
 市内で記者会見を開いた松本氏は「トップダウンが強すぎる現市政で本当にいいのかを問いたい。市民に寄り添い、膝詰めで意見を聴きながら政策を決める運営に変えたい」と語った。
 同市長選には他にも複数人が立候補を準備している。 (石黒雅史)

======【引用ここまで】======

工藤市議が出馬表明 行橋市長選|【西日本新聞me】2021.09.10
======【引用ここから】======
 来年3月の任期満了に伴う行橋市長選に、新人で同市議の工藤政宏氏(43)が9日、無所属で立候補すると表明した。市長選への立候補表明は、無所属新人で元市副市長の松本英樹氏(63)に続き2人目。
 市内で記者会見を開いた工藤氏は、現在2期目の田中純市長の市政運営について「公正性の欠如や大型公共事業への膨大な予算配分、不透明な職員採用などに強い危機感を抱いている」と発言。「古い政治、行政を打破したい」と語った。
 東九州道今川パーキングエリア周辺開発事業は見直し、大賞賞金1千万円の国際公募彫刻展や大規模スポーツイベントなどは「対話を積み重ねながら在り方を考える」とした。
 工藤氏は行橋市出身。学習塾社員や茨城県議会議員秘書を経て2012年に市議初当選、現在3期目。(石黒雅史)

======【引用ここまで】======

田中氏 3選出馬表明 行橋市長選「人口増」など実績強調 2021年10月2日 毎日新聞
======【引用ここから】======
 任期満了(2022年3月17日)に伴う行橋市長選で、現職の田中純氏(75)が1日、3選を目指し無所属で立候補することを表明した。同市長選での立候補表明は元副市長の松本英樹氏(63)、市議の工藤政宏氏(44)=いずれも無所属=に続いて3人目。
 記者会見した田中氏は、「就任から市の人口は約1000人増え、税収も毎年約1億円ずつ増えた」と実績を強調。九州自動車道今川パーキングエリア周辺の開発や国際公募彫刻展などの事業も引き続き推進する意向を示した。

======【引用ここまで】======

人口問題と財政問題 ~ 行橋市政ウォッチ ~

2022年01月14日 | 地方議会・地方政治
知人のところに、「有言実行」と銘打った行橋市政に関するリーフレットが投げ込まれていました。
以前に私が書いた記事のテーマと重複している部分がありますので、読んで感想を述べたいと思います。

参考・以前の記事
田中純・行橋市長の「公約」「実績」を検証してみるコーナー - 若年寄の遺言

結論は、以前の記事と同じです。
8年間で行橋の人口問題、財政問題は改善していない。むしろ悪化している
ということです。

【行橋市の人口問題】


それにしても、表紙で笑ってしまいました。
有言実行
ですってwww

過去の選挙公約で
「人口10万人構想!」
とぶち上げていた行橋市長。

言ったとおりに実行しているのか。
2期8年を経た成果は、住民票ベースで

平成26年2月末の人口 72,830人
令和3年10月末の人口 72,830人

という、甘めの評価でも横ばい、ピーク時を考慮すれば人口減少が始まっています。
どこが有言実行なのでしょうか。

令和3年3月、市議会で工藤政宏市議から、田中純市長の人口10万人構想の公約を問われた際に、
リアルにこの人口減少時期に、リアルになるということは、私自身もクエッションだなということは、当時から申し上げていたはずであります。
などと供述する田中純市長。
自身の公約の実現可能性を自分で「クエッションだな」と否定し開き直る市長に、有言実行を求める。
木に縁りて魚を求めるようなものです。
このパンフを作った方々も、なかなか皮肉が効いています。

なお、

このグラフは国勢調査の人数なので、5年刻みでしか推移が分かりません。

グラフ中に「人口増に連動した税収曲線」とコメントが入っていますが、これもおかしい。
住民税の税収につながるのは住民票で把握している人数なので、税収と並べるのであれば国勢調査の人数ではなく住民票上の人数を並べないとおかしい。住民票上の人数を並べると人口減の開始が見える化されてしまうので、隠すために国勢調査の人数を使ったのでしょうか。

税収の増加については、総務省の資料を見る限り全国的に微増を続けています。自治体における税収増は全国的な傾向です。この8年の間に消費税増税をはじめとする税制改正が幾度か行われており、これが原因だと考えられます。
これを、田中純市長が実施した事業によって増えたと評価するのは困難です。実際、人口増えてないんだし、高齢者だけ増えてるんだし。

【行橋市の財政問題】

次に、



こちらの数字は、数字自体は合っていそうです。
私の以前の記事で紹介した数字を改めてご覧ください。
地方債は、
平成25年度決算
地方債現在高    173億 827万1千円 
うち、
臨時財政対策債    88億5738万5千円
(差し引きの債務)  84億5088万6千円

令和2年度決算
地方債現在高    214億8623万9千円
うち、
臨時財政対策債   101億4597万1千円
(差し引きの債務) 113億4026万8千円


そして、基金は、
平成25年度決算
基金全体   91億6771万2千円
うち、
財調基金   34億 815万7千円
減債基金    3億6627万2千円
その他    53億9328万3千円

令和2年度決算
基金全体  134億9950万2千円
うち、
財調基金   47億7899万3千円
減債基金    3億7168万6千円
その他    83億4882万3千円


ということで、パンフレットの数字自体は合っています。

問題は2点。

まず1点目は、基金の数字。
パンフレットの基金が全部込み込みの数字になっていて、比較対象を誤っているということです。

市の借金からは臨時財政対策債を除いているのに、基金は全ての基金込み込み。
基金の中には、借金に充てられない、使途を限定されたものが多数存在します。
借金の増減と比較すべき基金は、そうした特定目的基金を除く部分で見なければなりません。決まった目的があってそれ以外に使えない積み立て、こうしたものを除いた基金の残高はどうなっているでしょうか。
上記基金内訳の財調基金(自由に使える基金)と減債基金(借金返済のための基金)の合計は、

平成25年度 令和2年度
 37億7千万  → 51億4千万

と、13億7千万円しか増えていません
臨財債を除く借金は

平成25年度 令和2年度
 84億  → 113億

と、29億円も増えているのに、です。

2点目として、この、臨時財政対策債を除く地方債が増え続けている事自体がヤバい、ということです。
こちらをご覧ください。



これは全国の数字をグラフ化したもの。
グラフの上部の赤い部分、臨財債は毎年増え続けています。しかし、赤い部分の下、臨財債を除く地方債は減り続けています。これが全国的な傾向です。

たとえば、最近、財政破綻するのではないかと話題になっている京都市。
トータルの債務は増えていますが、臨財債を除く市債は徐々に減っています。

※参考 12分40秒頃から
【なぜ京都は貧乏?完結編】臨時財政対策債の闇!国めちゃめちゃ悪い説を検証してみた


財政破綻が話題になる京都市ですら、臨財債を除く地方債は減らしています。
他方、行橋市では臨財債を除く地方債が29億円も増えています。全国的な動向と真逆を進んでいます。

人口増を目指し積極財政に打って出たものの、人口は思ったように増えなかった。
積極財政に打って出たのに、これをペイするだけの税収増に結び付かず、結果、地方債が増えた。

これが今の行橋市です。

(追記)
リーフレット中に、
「平成30年度 ふるさと納税額 全国13位」
とありますが、この頃、地場産品でも何でもないipadを返礼品にして、総務省から怒られてましたよね。