粗忽な人、というのはどんな世の中でもいるものでして。
かけてる眼鏡をさがしてみたり、飲み屋で他人の履物をはいて帰っちゃったり。
落語の方にもよく、そんな粗忽ものがでてまいりますが、
「おーい。定吉や。おまえ、すまないけれどもちょいと郵便局へ行ってな・・・」
「はい! かしこまりました! 行ってまいります」
「え、おいおい、ちょっと! ・・・あ~あ、走って行っちまったよ。用件も聞かずに。あたまが悪いのはわかるよ。耳は悪くないんだからさ。もうちょっと人の話をちゃんと聞けばいいのに、まったく困るよ・・・あ、帰ってきた帰ってきた」
「はぁはぁ、行ってまいりました!」
「行ってまいりましたじゃないよ。用件も聞かずに。何しに行ったんだい」
「え、ええ、あの、郵便局に。とくに変わった様子はなかったですよ。民営化もまだみたいで」
「そういうことを言ってるんじゃないんだ。私はね、この手紙を速達で出してほしかったんだよ」
「え、そうなんですか? なんだあ、早く言ってくださいよぉ。
今行ったついでがあったのに」
かき麿
かけてる眼鏡をさがしてみたり、飲み屋で他人の履物をはいて帰っちゃったり。
落語の方にもよく、そんな粗忽ものがでてまいりますが、
「おーい。定吉や。おまえ、すまないけれどもちょいと郵便局へ行ってな・・・」
「はい! かしこまりました! 行ってまいります」
「え、おいおい、ちょっと! ・・・あ~あ、走って行っちまったよ。用件も聞かずに。あたまが悪いのはわかるよ。耳は悪くないんだからさ。もうちょっと人の話をちゃんと聞けばいいのに、まったく困るよ・・・あ、帰ってきた帰ってきた」
「はぁはぁ、行ってまいりました!」
「行ってまいりましたじゃないよ。用件も聞かずに。何しに行ったんだい」
「え、ええ、あの、郵便局に。とくに変わった様子はなかったですよ。民営化もまだみたいで」
「そういうことを言ってるんじゃないんだ。私はね、この手紙を速達で出してほしかったんだよ」
「え、そうなんですか? なんだあ、早く言ってくださいよぉ。
今行ったついでがあったのに」
かき麿