「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

チェルノブイリから30年

2016-04-27 | 留学するまでの色々
別に研究に限った話ではありませんが、絶対に何かを成し遂げたいと思ったならば、「打てる手は全て打つ、あらゆる備えをする」ことが肝要でしょう。そうと知りながらも、人間だもの、疲れ果ててしまうこともあります。私も4月から新天地に移転し、自身の研究基盤もネットワークも何もないところから手探り状態で研究を始めて、最近、すこし疲れを感じていました。

昨夜、当直室で休憩中に何気なく目にしたニュースが「チェルノブイリ原発事故から30年」という内容でした。
当時の喧騒については子供の頃から伝え聞くことはありましたが、あくまで「世界史の中の一つのイベント」という認識でしかありませんでした。しかし、最近、福島原発事故に関する研究に取り組むようになり、「チェルノブイリはどうだったのか」を学び直している最中です。冷戦下の欧州の大混乱、その後の政治的対応、そして放射線被ばく影響について、改めて思いを馳せました。

――あの時と比べて、今、放射線被ばく影響に関する理解は進んだろうか?

放射線生物学の教科書は30年前も今日も、残念ながら、あまり記述は変わりません。
それが良いことかどうかは、推して知るべし、といったところでしょう。つまり、ただの停滞だと私は思います。

疲れを感じている場合ではありません。
やるべきこと、為すべきことは、いっぱいありますから。