「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

11月8日は国際放射線医学の日

2016-11-08 | 学術全般に関して
今日は11月8日であり、おそらく多くの方々は第45代米国大統領選挙の日と記憶していることと思われますが、それだけではありません。本日は国際放射線医学の日(International Day of Radiology)です。1895年11月8日にドイツ人物理学者のヴィルヘルム・レントゲン博士(Dr. Wilhelm Conrad Röntgen)がX線を発見したことを記念して、各国の放射線医学に関連する学会が参画しています。
言わずと知れた第1回ノーベル物理学賞に輝いた「X線の発見」ですが、この不可視の両刃の発見はまさに人類の科学史上に残るものでした。X線という「目に見えないもの」を利用して、人類はそれまで見通すことが出来なかった「多くの影を見る」ことが出来るようになったわけですね。

Seeing is believing.
(見ることは信ずることである → 「百聞は一見に如かず」)

私の好きな言葉です。教科書に書いてあるものを疑い、他者が言うことを信じず、最終的には自分自身が見て、感じて、考えてから、はじめて納得するのが科学者です。私もその端くれとして、やはり「自分の目で見てから信じたい」といつも願っています。そのような性を鑑みると、「目に見えないX線が写し出した未知の影」が当時の科学者たちに与えたインパクトはさだめし大きかったことだろうと思うのです。

レントゲン博士が人類に遺したプレゼントは、今日も今日とて、我々の医療を支えています。彼は、X線の特許を取得せず(万民が使えるようにするため)、巨額のノーベル賞金を大学に全額寄付した、清貧の士でもありました。
ですから、皆で彼に感謝する日があってもいいんじゃないかなと、個人的には思っています。