「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

研究業績の管理とプロフィールサービス

2018-12-04 | 学術全般に関して
いきなりですが、私はSNSの類が嫌いです。FacebookやLINEはしぶしぶ自分のアカウントを作りましたけど、かつてミクシィからはひたすら距離を置いていたし、Twitterを呟いたりもしていません。インスタって何ですか? カップラーメンの一種ですか?
それでよく現代人やっていけるなと思われるかもしれませんが、まあ、こういう変わり者もいるのです。したがって、医師、研究者になってからも個人情報をアップロードしなくてはいけないプロフィールサービスが私はちょっと苦手でした。

しかし、業績(書籍、論文、学会発表、研究費獲得状況、社会貢献など)が増えていくにつれて、私の小さな脳みそではそれらを管理するのがさすがに難しくなってきました。研究者が研究ポジションを求めて履歴書を出す時や研究費を申請する時などには必ず業績一覧を求められるのですが、最近、その申請内容にすこしミスがあったことに気付きました。慌てて修正したものの、もはや人力の限界を感じさせられたのでした。それに、いちいち申請のたびに業績一覧をまとめていたらキリがありません。時間の無駄です。

ということで、最近、お上(政府)の要請もありますので、researchmap、ORCID、ResearcherIDなどのプロフィールサービスを整備して、自分のプロフィールや研究業績をクラウド化してまとめておくことにしました。しかし、その入力も幾つかの項目にはインポートサービスがあるものの、もちろん自分の手で入力しなければならない項目も多く、なかなか作業が大変でした。自分の場合、日本語と英語の両方で整備しなければならないので、すこし苦労させられたのでした。
ここで、「researchmap、ORCID、ResearcherIDって何ですか?」と疑問を覚えた方々もいらっしゃるかと思います。現在、日本で研究している人、あるいは日本人だけど海外で研究している人は、まともに研究するためには、おそらく最低でもこの3つのプロフィールサービスを使う必要があると思われます。

researchmap
日本語ベースの研究者総覧サービスです。基本的には日本人の日本人による日本人のためだけのプロフィールサービスと思われます(もちろん日本に居る外国人研究者も使っていますが)。文部科学省の研究費などを申請するのに利用されたりするので(つまり日本人研究者はこれを使わざるを得ないように仕組まれているわけで)、大学などの学術機関をベースに研究する人にとっては一番大事なプロフィールサービスとなっています。

ORCID
もともと同姓同名の研究者たちをそれぞれ区別して認識するためのIDを割り振っている国際的かつ公的なサービスだったみたいです。しかし、現在では機能が拡張され、自分の研究業績(とくに論文業績)を一元的に管理するのに使われています。さらに、論文を投稿する際にも、ORCIDと紐付けされて著者情報が入力されるため、かなり便利です。

ResearcherID
おそらく世界で最も利用されている研究者プロフィールサービスでしょう。あのクラリベイト・アナリティクス社が運営しているサービスで、私の周囲でも、皆さん、使っていらっしゃるようです。論文はもちろん、様々な情報を管理できます。

私の場合、さらに自分の査読歴の管理と保証のためにPublonsという査読者プロフィールサービスも利用しています。

この情報氾濫社会において「自分に関する情報をどうやって管理するか」というのはなかなか大変な問題です。研究者として従事する以上は仕方ないのかもしれませんが、その作業は辛いです。
ホント、面倒くさい…orz

かつてアインシュタインは自宅の電話番号を覚えなかったそうです。あの天才が覚えられなかったはずはありませんが、彼はそういう雑事に関心を持てなかったのでしょう。つまり、真に研究に集中したい人たちにとって、そういう下らない情報に気を遣うのはアホくさいわけですね。
もし彼が現代のresearchmapやORCIDやResearcherIDを見たら、一体、何と言ったでしょうか?


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