「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

副総長兼学長の急逝

2017-06-05 | 2017年イベント
Londonのテロ事件に震撼した翌日の日曜日、本学の副総長兼学長(Vice Chancellor and President)であるProf. Patrick Johnstonが急逝しました。
英国の大学では、総長職(Cancellor)は名誉職であり、大学運営についてはVice Chancellorが事実上の最高責任者になります。つまり、本学はトップを昨日突然失ったのでした。心臓の病が原因ではないかとのことでしたが、まだ50歳代の若さで、しかも在職中に亡くなられたので、本学には大きな衝撃が走りました。日曜日には地元新聞をはじめ多くのメディアが彼の死を採り上げたほどです。

Professor Johnstonは本学腫瘍学部門の教授として、長年にわたって、がん研究を推進してきただけでなく、私の所属するがん細胞生物学研究センターをはじめ北アイルランド内のがん研究推進基盤の設立のほとんどに携わってきた方でした。後者における貢献は社会的にも非常にインパクトが大きく、まさに彼が北アイルランドのがん研究界を率いて、その地位を欧州一流クラスにまで押し上げたといっても過言ではありませんでした。そして、彼が私の指導教官をここBelfastに招いたからこそ、今、私が本学で学び、研究しているわけです。つまり、私がBelfastに留学する遠因にもなった人物でした。

私は、直接の面識はありませんが、もちろん、お顔とお名前は存じ上げていました。
私の研究センターには彼に師事した研究者も多く、昨日から研究センターのメーリングリストでは情報が飛び交っていました。そして、本日の午前中にセンター全員が集まり、黙祷が捧げられました。
在学中にまさかこのような体験をするとは……。
ご冥福をお祈り申し上げます。