清き心と未知なるものの為に⑩・・・ダグ・ハマ-ショルドの日記より
彼は庭の手入れをしているが、その境界線は、自分でも気づかぬうちに彼自身の
力量によって定められてしまっているといるのである。自分の庭をりっぱに手入
れしているという誇りと、境界線の外側にあるいっさいのものへの無知とのせい
で、彼はそれでも結構満足を憶えているのである。しかし、こうして自分を欺く
ことができず、そのゆえに圏外の外に出て闘うことを選んだ人が、無知ゆえに自
足している人を見下して向けている、あのすこしばかりいらだたしげな軽蔑とい
えども、それと五十歩百歩といったところではなかろうか。
「愛なくば・・・・」われわれの隣人への義務を果たすということが、われわれ
のもっとも深い意志の表現でないとすれば、そのような義務遂行に心を労しても
益はない。なにゆえに、他人を傷つけながらわれわれとわが身をいじめたりする
のか。
おまえは、ほめられると胸がむかつく。それでいて、おまえの価値を認めない者
には禍あれと思う。
狭き道------おのが魂を救おうとして他人のために生きる広き道-----おのが自尊心
を救おうとして他人のために生きる。
不幸が、それに襲われた者の側の過失とみなされうるとは--------その不幸な者
迂闊にも沈黙を守らぬばあい、その過失は情容赦なく罪悪に転化するのである。
おまえは、内なる獣を択べばかならず獣になりきり、虚言を択べばかならずや
精神の繊細さを失う。おのが庭をきれいにしておこうとする者は、一割といえ
ども雑草の生えるにまかせてはおかぬ。
おまえがもっと多く他人の悪口を言わないのは、悪口を言いたい気持ちがないか
らではなく、ごく精密に分量をはかって投稿したほうが中傷のききめが強いのを
知っているからなのである。
おまえはおまえ自身の神であるる------しかも、氷に閉ざされた冬の暗澹たる荒野
で狼の群れがおまえを老いまわすのに気付いてて、おまえは驚くのである。
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