SPIDERS IN LOVIN' COOL

ケロロ軍曹(主にクルドロ)や、名探偵コナン(主に平和)の小説。
毎週土曜日は「今週のクルドロ萌え」を予定。

46.この手では掴めない(ケロロ軍曹【ミルル→クルル×ドロロ】)

2008-04-03 17:59:15 | クルドロ50のお題
あなたを抱き寄せようとした腕は、空回りして、空気を掻きわけるだけの行為に終わった。


「無駄だ、生憎だが、俺には恋人がいるんでね」

「あなたは…おかしい…」

「何とでも言え」


ひらり、と、背中を向ける彼は、ケロロ小隊作戦通信参謀、クルル曹長。


「あなた、変わったわね?」

「なにが?」

「ケロン星にいた頃のあなたは、
他人を思いやるとか、守るとか、
何かのために戦うなんて絶対にしなかったじゃない!」

「あぁ…そんなこともあったな」

「ペコポン人とは敵対する立場、あなたがこの星を守る義務なんてない」

「そうだ、俺はペコポンを守る義務なんてない。
だが、あれはペコポンの為にやったんじゃねえよ。
恋人や、恋人の仲間を守るためにやったことに過ぎねぇ」

「恋人が、ペコポン側についてるから?」

「あぁ、そうだ」


恋人…とは、ケロン軍アサシンのトップ、ドロロ兵長のことだ。


「他人のことには興味ないんじゃなかったの?」

「確かに、他人のことには興味ねえ。
だが、あいつは、他人なんかじゃねえよ。
だから、あいつの仲間も他人なんかじゃねえ。
あいつが望むなら、俺はどんなことだってする。
例えそれが、母なる星を裏切ることになってもな」

「信じられない」

「それで結構だ。他に用がないなら、帰らせてもらうぜぇ?」


まだ帰らないで。少しでも長く、あなたをここに引き止めていたい。
なにか言わなくちゃ…言わなくちゃ。


「クルル曹長…私、まだ…す…き…」

「あぁ、俺も好きだったぜ?」


その言葉は、もう、私を想ってくれてはいないという、決定的な言葉だった。
どうせなら、「嫌い」とハッキリ言ってくれた方が、楽なのに。
あなたはズルい。「好きだった」と言う優しさが、
あなたを嫌いにさせてくれない。
昔から、あなた自身も、心も、この手では掴めない。


Fin


【あとがき】
まさかここでミルルを出してくるとは自分でも思いませんでした(爆)。
映画のネタバレにはなってないよね?
クルルとミルルが同級生で、昔付き合ってたって設定にしてみました。
そして今回はドロロが出てない(爆)