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マスメデイアの限界!既成政治へのノーを読めなかった世論調査!(その2)(再掲)

2024-10-10 | Weblog

マスメデイアの限界!既成政治へのノーを読めなかった世論調査!(その2)(再掲)
 2017年1月20日、第45代米国大統領としてドナルド・トランプ大統領が就任した。同日の就任演説では、まずワシントンの‘既成政治’は自らの利益を追求し、‘国民の利益’にはならなかった、トランプ政権では、‘権力を国民の手に返す’としてワシントンの既成政治を否定した。その上で、同政権は、唯一の判断基準として‘アメリカ・ファースト’を掲げ、アメリカの製品を購入し、アメリカ人を雇用するなど、米国の国益追求の姿勢と対外的にはイスラム過激派の排除を明らかにした。
 しかし同国のマスメデイアは、トランプ大統領の就任直前の世論調査の人気では、オバマ前大統領やブッシュ元大統領などに比して低く、40%であることを伝え、また就任式では、一般参加者の数がこれら前、元大統領に比して少ないことを、解説や映像を通して伝えた。これに対しトランプ大統領自身や大統領報道官は、2016年11月の大統領選挙の際、マスメデイアは予測を誤り、今回も正しくない報道に終始したとしてマスメデイアの報道姿勢を強く批判した。
 またトランプ大統領は、就任後矢継ぎ早に大統領令を出し、米国の国土安全保障のためとしてシリア、イラク、イラン、イエメン、リビア、スーダン、ソマリアの国際テロ支援国を含むテロ脅威国7か国からの米国への入国を90日間停止し、また難民受け入れを120日間停止する大統領令に署名した。これに対し多くのマスメデイアや評論家等が国籍による差別や人道上などの理由で批判している。
なお、この7か国に対する入国停止の大統領令については、カリフォルニア州の連邦控訴裁判所において取り下げの判決が確認され、効力を失ったが、トランプ政権側は別の大統領令を出すとしている。先の大統領令は既にオバマ政権下で発給されたビザ保持者にも適用されることから、配慮に欠ける面があり、
取り消しも止むを得なかったと言えよう。しかし現在の世界は、国境を有する国家を前提とし、外国人への渡航ビザ発給はそれぞれの国家の主権に属することであるので、外交関係や国家安全保障、疫病対策等で、渡航を制限することは可能であるので、何らかの新措置が取られる可能性がある。
 確かに、戦後のマスメデイアによる報道に親しんで来た多くの人にとっては、こうした米国の報道振りに余り疑問もなく接して来た。しかし米国のほとんどのマスメデイアは、大統領選挙前の世論調査においてクリントン候補50%超、トランプ候補約40%とし、予想を誤った。そして大統領就任に際して公表したトランプ大統領の人気(支持率)も40%であり、大統領選挙前の誤った数値とほぼ同じであるので、この数値は信じて良いのか疑問が持たれても仕方がない。
 今回米国マスメデイアは、1月20日の大統領就任式典への参加者が少なかった一方、多くの抗議デモが行われたなどとして、トランプ同大統領の‘不人気振り’を報道した。しかし既存の映像メデイアには、それぞれのアングルがあり、全てを伝えているとは思えないと同時に、建物に物を投げ、自動車に火を付けるなどの暴力行為を行っていた一部のデモ隊などを見ると、一概に反対している群衆が正しいとも言えそうにない。どちらかと言うと政争の色彩が強い。
 既成のマスメデイアやそれによる‘世論調査’は、国民に何を見せ、何を見せていないのか。大統領報道官は、‘もう一つの事実(Alternative Facts)’としているが、これまでマスメデイアにより伝えられていなかった’事実‘とは何か。
 1、結果を予想出来なかった世論調査―英国のEU脱退と米国大統領選(その1で掲載)
 2、既成の世論調査の問題点                  (その1で掲載)
 3.既成政治の否定とポピュリズム
 トランプ大統領は、就任式の演説において、アメリカ第一主義を強調し、米国民の安全と雇用確保を優先課題としたが、それよりも先に重要としたことがある。それは、ワシントンD.C.における既成政治の打破であり、‘権力を国民の手に返す’ことであった。従って、従来米国政治で当然、或いは常識と考えられ、そのように報道されていたことが、トランプ政権により否定され、新たな政策が出されても不思議はない。既成政治の枠組みの中で報道していたマスメデイアが慌てるのも無理はない。トランプ大統領は、選挙期間中にそれらの考え方を全米各地で訴え、多くのマスメデイアがいぶかしがる中で、中西部と南部を中心として米国市民に支持され当選した。選挙結果を受けて主張してきたことを実施に移そうとしているので、マスメデイアがそれをいぶかしがり、批判し続けることは、選挙結果を受け入れないと言っているに等しく、それは米国自身の統治システムや大統領選挙制度の否定とも受け止められよう。
 既成政治を否定し、対決する姿勢であるので、既成政治の本拠地ワシントン、特に野党民主党グループの間では相対的に不人気であろうし、また民主党支持を表明しているマスメデイアには不人気であろう。
 既成政治、その支持基盤である既成社会や利益グループを打破することは容易ではない。トランプ政権は、少なくても政権発足時にはオバマ政権始めこれまでの政権で取られて来た政策や諸措置をひとまず否定し、新たな政策や措置を打ち出すことになる。対決色が鮮明となるが、もとより承知の上であり、反対があることも想定の範囲内である。同政権としては、当初は対決色を鮮明にし、反応や効果を見ながら調整して行くと予想される。米国では、特にマッチョ系の間ではこのような‘ファイテイング・スピリット’は、その結果は別として最終的に評価されることが多い。
 他方、このような姿勢に反対することは、既成政治や既成社会、既得権益打破に反対し、これを擁護することになる。またロビイストや利益団体に支えられた職業政治家以外の、財界人その他の民間人は大統領にはなれないとの前例を作ることにもなり兼ねない。
 トランプ大統領は、既成政治を打破し、‘権力を国民の手に返す’としているが、これ自体は民主主義を促進する上で望ましいことであろう。これを既成政治側や既成社会は、‘ポピュリズム’として軽蔑する傾向があるが、‘ポピュリズム’は時の流れではないだろうか。
 他方、トランプ政権側も、既成マスメデイアは既成社会や既得権益グループの一部であり、国際世論を含め、世論の重要な部分を構成していることを忘れることなく、合わせ聞く耳を持つことが必要なのであろう。むしろ自らの考えや政策を浸透させたいのであれば、マスメデイアを活用することが効果的であろう。また娘イヴァンカ・ブランドの製品の販売を停止した高級デパートを不公平としてトランプ氏がツイッター等で批判したが、どっちもどっちではあるが、自身及び家族の事業活動から手を引き、大統領としての公務に就いた現在、自身及び家族の事業への公の場でのコメントを控えるべきなのであろう。

 4、戦後の既成政治で多くの問題が未解決
 第2次世界大戦後、1991年12月のソ連邦の崩壊まで続いた東西冷戦構造は解消したが、米、欧とロシアとの対抗関係は残り、また中国の目覚ましい台頭という構図に変化し、新たな対応と国際秩序が必要とされている。
 だが戦後の国際的課題であった中東紛争の根源であるパレスチナ、イルラエル問題は解決するどころか、イスラム過激派による国際テロの拡大、イラクの長期の不安定とイラク、シリアでのイスラム国の台頭、難民の急増、アフリカ諸国のガバナンス低下と部族紛争の継続など、戦後の諸課題は対処療法で先延ばしされるだけで解決の見通しもない。国連も活動分野を広げ、財政的にも人員的にも膨張しているが、対症療法的であり、解決には結びついていない。アフリカの‘国連開発の10年’も60年以上継続しているにも拘わらず90年代は‘暗黒の10年’と言われ、アフリカの安定的な開発には程遠い。また難民問題も多くの地域で難民キャンプが恒常化し、増加の一途であるなど、諸問題の解決目途も立っていない。特に潘基文前国連事務総長時代では、シリアでの和平仲介にも失敗し、シリア難民は増え、拠出を募るだけで問題解決にはなっていない。北朝鮮の核、ミサイル開発についても、非難はするものの、時間の経過とともに実質的に開発が進む結果となっており、記憶に残る成果は見られない。
 米国は、カーター大統領(民主党)が人権、人道や民主主義分野での介入方針を打ち出し、その後の政権も大なり小なり介入政策を継続し、いわば‘世界の警察’的役割を行って来ているが、上記の通り、国連を含め既成の政治、外交は対症療法的な対応に終始し、問題解決を先延ばしし、ほとんどの問題が未解決のまま残っている。
 トランプ大統領は、従来の既成政治の対応を否定し、新たな対応に乗り出そうとしている。いわば‘建前’から‘本音’の政治、外交への転換とも言える。長い間既成政治の中で支持され、維持されて来た概念や政策であり、それがある意味で既成社会の‘常識’となっているだけに、その転換には批判や抵抗があろうが、トランプ政権としては批判があることは十分に想定しているので、必要に応じ調整はしつつも脱既成政治を進めるものと見られる。人道、人権、平等という概念は、世界で広く受け入れられているが、どこの国でも無制限に適用されてはおらず、また各国の発展段階や政治体制によって適用されている程度が異なるのが現実であろう。これが普遍的に適用されるべしというのが誰しも望むところであるが、それは‘建前’であり、各国には国境があり、一律普遍的に適用できないというのが現実であり、‘本音’であろう。グローバリゼーションも、国境がある国家関係が前提であり、世界連邦のような単一世界が形成され、共通の価値が同じようなレベルで適用されているわけでもない。
 このような反既成政治、既成の‘常識’に対する既成政治側の批判は継続されようが、上記の通り、国際問題において解決されていない問題や逆に深刻化や恒常化して解決の目途が立っていない課題があることは明らかである。トランプ政権の反既成政治路線を批判する前に、これら諸課題が時間ばかり掛けて何故解決されていないのか、政策転換の余地はないかを点検、精査することが望まれる。
 これは国連についても同様で、これまでの諸活動を再検討すると共に、費用対効果を重視し、必要に応じ抜本的な改革を検討すべきではないだろうか。‘国連開発の10年’はじめ、これまでのような活動を継続していても、組織、職員は増大し、分担金、拠出金も増加の一途を辿るだけで、問題解決には繋がらない可能性がある。それでも物事が改善して行けばよいが、これまで通りの対応では、多くが問題の先送りに終わり、何も解決しない恐れがある。
(2017.2.12.)(All Rights Reserved.)

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地方再生は保守政党には出来ない!? (再掲)

2024-10-10 | Weblog

地方再生は保守政党には出来ない!? (再掲)
 総選挙を前にして、自民党は選挙公約を公表したが、その中で‘地方創生’を一つの公約としている。
 しかし保守自民党には‘地方創生’は出来ないと見られている。事実これまで長期に亘る保守政権において地方が再生されたためしがない。逆に、若干の例外はあるが、地方に過疎村、限界集落、空き家集落が広がっている。
 多くの同党古参議員等は、地方への大型量販店、百貨店や大規模工場、企業の進出を内心嫌っている。これらの産業の進出により、労働組合が出来、野党勢力が進出し、保守地盤が侵食されることを懸念している。従って、地方の産業や市場の自由化や規制撤廃には本質的に消極的だ。
 それが保守政党、保守政党議員の本質だろう。伝統的な保守地盤を維持することが再選への道なのである。地域社会をなるべく閉鎖し、新規の参入を止める、それが保守の本質だ。その最も好例が、世襲議員だ。先祖からの地盤、看板等を受け継ぎ、それを維持し続けることが競争相手を抑え、再選を確実にすることになる。従って、言葉とは裏腹に、経済にしろ、農林業、漁業にしろ、大型の新規参入には内心消極的となっても不思議はない。
 しかしそのような閉鎖的な、保守的な姿勢が、地域の新陳代謝や活力を失わせている。新規の参入、若い世代の進出を阻み、活力が無くなった地域から、若い世代は出て行く。そして年長者だけが残って行く。それが現実に起こっている。
 現在、地方の市町村に老齢者だけが残り、多くの900前後の市町村が消えて行くことが予想されている。それは長い間政権の座についていた自民党の政策がそのような結果を招いたと言えそうだ。
 農業についても、農協の下で新規参入を拒み、同一地域のコメを一律に扱い、農家間の競争を排除する一方、コメへの需要が減少するたびに減反をさせ、減反した農家に補助金或いは所得補償を行って来た。それは生産しない者に所得を保証するということであり、そのような農業に若い働き手は必要もなく、残らない。それが農業の衰退と競争力の退化をもたらしたといえよう。来年もコメへの需要は低下すると予想されており、生産削減や減反が実施され、作物を作らないことに所得補償が行われる。自民党は農家にそれを約束して来た。しかし、それでまた農業は一層退化する。要するに、保守党の基盤に立って、農水省と農協が、税金を使って“俵”を買い上げ、議員が“票”を買っているようなものと映る。
 国民はコメを含む農産物の有り難みを知っており、このような農業政策に寛容であった。しかし働かないことに補償が与えられるような制度は持続不能であることも知っている。現状で農業は退化し、若い働き手も残る見通しもない以上、農業への参入規制を緩和し、大規模化、企業化を図るしかないのではないか。
 経済戦略特区についても、一方で全国一律に規制を維持しつつ、特定の都道府県を選択し、規制の一部解除を行うだけで、新たに地域選択という手続きを追加し、規制制度を更に複雑化させるだけだ。中央管理の複雑化、強化に繋がる。
 また自民党は、選挙公約の中で、‘地方創生’の具体的施策として、中小企業対策や人口減少対策のために‘バラ撒きにならないような’交付金や、商店街などの地域経済の活性化を図るため、‘地域商品券’の発行等を行うとしている。正にバラ撒きではないか。公明党が嘗て‘地域振興券’なるものを推奨したが、地方のシャッター街が次々と増えるのを防ぐことは出来なかったことは誰もが知っていることだ。このような中央から地域振興のための予算、税金のおこぼれを受け取っている限り、地方の自発的、自律的な振興を図れないばかりか、中央―地方の支配関係や制度を保守する結果となり、地方分権の拡大にもならないだろう。もっともそれが保守政党の狙いなのだろう。
 地方がそれに安住する限り、地方の再生はない。それは歴史が物語っている。
 (2014.12.1.)(All Rights Reserved.)

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北朝鮮の核・ミサイル開発で引いた貧乏くじ!? (再掲)

2024-10-10 | Weblog

北朝鮮の核・ミサイル開発で引いた貧乏くじ!? (再掲)
 北朝鮮は、2017年8月29日早朝(5時58分頃)、日本の津軽海峡から北海道襟裳岬上空の大気圏外を飛翔する形で太平洋公海上に達する中距離ミサイルの発射‘訓練’(飛翔距離約2,700㎞)を実施し、朝鮮半島を巡り米・韓両国と北朝鮮の緊張が高まっている。北朝鮮が核兵器とその運搬手段であるミサイル開発を加速させる一方、米国は韓国にミサイル迎撃のためのTHAAD配備し、また3月の米韓合同軍事演習‘首斬り作戦’を実施したのに続き、8月に合同軍事演習を実施する中で、これへの反発と見られている。
また北朝鮮は、このような国際的な批判の中で、9月3日、地下核実験(6回目)を実施した。水爆実験とされている。
 これに対し国連安全保障理事会は、9月11日、これらの北朝鮮の行動を受け、北朝鮮への石油輸出に上限を設けるなど、一層厳しい制裁決議を中・ロを含む全会一致で採択した。
北朝鮮はこの新たな安保理制裁決議を激しく批判する一方、核保有国米国への抑止力保持のためとしつつ、核、ミサイル開発を継続することを表明した。
 このような中で北朝鮮は9月15日、北東方向の太平洋に向け中・長距離ミサイルの発射‘訓練’をまた挙行した。同ミサイルは北海道上空約700キロの大気圏外を通過、北海道の東約2,000キロの太平洋上に落下した(飛翔距離約3,700㎞)。
1、北朝鮮、‘日本列島’を攻撃の対象として名指し
 朝鮮戦争は‘休戦’状態であり、北朝鮮と米・韓両国とは未だに敵対関係にあり、これまでも北朝鮮は、事あるごとに米国、韓国を激しく口撃して来ている。核、ミサイル開発は、正に米国への対抗として行われている。
 安倍政権は、北朝鮮の上記のミサイル発射実験や核爆発実験が行われるたびに、‘新たな段階の脅威’として北の脅威を強調すると共に、‘断じて容認できない’、‘圧力を強化する必要がある’と批判を強めている。
 このような安倍政権の姿勢を受けて、北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会は、9月13日の声明で、国連安保理での対北朝鮮制裁強化決議に関し、‘日本は米国の制裁騒動に便乗した’と非難し、その上で‘日本列島4島を核爆弾で海に沈めなければならない’とした。
 北朝鮮の核、ミサイル開発は、国際世論が広く非難しており、日本が懸念を表明することは当然だ。しかし北朝鮮から、敵対関係にある米・韓両国と並んで日本列島全体が攻撃の対象とされることは、日本国民の生命と財産を危うくし、日本の北朝鮮に対する安全保障が著しく悪化する結果となっている。
 安倍政権は、北への非難を強め、国民の生命と財産を守ると口では言いながら、結果として、国民の生命と財産、日本の安全保障が著しく悪化させており、
非常に危険な‘貧乏くじ’を引いた形となっている。
 もっと賢明で大人の対応が出来ないのだろうか。脅威をあおり、防衛費を大幅増額すれば日本の安全が確保されるということでもない。言葉だけが先行し、日本の全体的な安全保障を悪化させているように映る。
 これ以上この政権に日本の安全保障、国民の生命、財産を委ねてよいものだろうか。

 2、日本を前面に出そうとする米国
 米国は、9月14日、テイラーソン国務長官名でプレス・ステートメントを発出し、‘北朝鮮のミサイル発射は、この数週間の間に、条約上の同盟国である日本が、2度にわたり直接的におびやかされたことを表している。このような継続的な挑発は、北朝鮮の外交的、経済的孤立を深めるだけである。’云々として安保理制裁決議の実施を呼びかけた。
 そもそも北朝鮮の核、ミサイル開発は米国への対抗で進められているのであり、また最近の2度に亘るミサイル発射は、米国方向の太平洋に向けられたものであり、日本が直接の脅威にさらされたものではないことは明らかだ。北のミサイルは、日本の上空をまたいだが、1回目は約350km、2回目は約750km上空の大気圏外で、宇宙空間を通過したものだ。
米国の国防総省筋は、先のミサイル発射は‘米国やグアムを標的にしたものではなく、米国にとって脅威ではない’としている。
それにも拘らず今回国務長官がこのような表現を用いたのは、日本側があたかも直接的な脅威にさらされたかの印象を与える説明を米国にも行っていたからであろう。
 米国とすれば、正に渡りに船であろう。日本が北からの脅威の盾となる。
 安倍政権が脅威を強調することは国内の関心を外に向け、内閣支持率を若干高めることが出来るとしても、誰のための安全か。日米が良好な関係にあることは望ましい。しかし北朝鮮からの危険性についてはジャパン・ファースト、安全についてはアメリカ・ファーストの構図になっているのだろうか。

3、早期解決に繋がるか、日本人拉致問題
トランプ米大統領は、9月19日の国連総会の一般討論演説で、北朝鮮を厳しい言葉で非難し、また名前は明示しなかったものの、日本人少女の拉致問題にも触れ、卑劣な北朝鮮への制裁の実施等を訴えた。
 安倍首相は、政権の座について、日本人拉致問題について‘自分の世代で解決したい’としばしば述べて、拉致被害者家族に期待感を持たせて来た。しかしそれは、言葉だけの期待感なのか。
 安倍政権は、事あるごとに‘対話と圧力’と言い続けているが、4年半に亘る政権では、‘圧力’を繰り返すばかりだ。北の核、ミサイル問題でも、脅威をあおり、対話の時期ではないとし、‘制裁強化’一辺倒だ。
 少なくても過去4年半、何の実績も出しておらず、今後についても、核、ミサイル問題での‘制裁強化’と防衛費増額が強調されることだろう。それで日本列島は北の核攻撃の対象になってしまった。(2017.9.20.)

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野田佳彦元首相、下野して偉業達成! (再掲)

2024-10-10 | Weblog

野田佳彦元首相、下野して偉業達成! (再掲)
 野田佳彦元首相(民主党)は、2月19日の衆院予算委において質問に立ち、
安倍首相に対し、議員定数削減について2012年11月の予算委での約束を未だに実現しておらず、国会、国民に対する約束違反だと迫った。
2012年11月の予算委において、当時の野党だった自民党の安倍総裁が衆議院解散を迫ったのに対し、野田首相(当時)は、2013年の通常国会までの“議員削減に応じれば衆院を解散してもよい”と発言し、安倍首相(当時野党自民党総裁)が“いいですね、いいですね、約束ですよ”と迫り、「今この場でしっかりやると約束する」として次の国会での議員定数削減に同意し、解散、総選挙となった。しかしそれを受けて実施された総選挙で自民党が勝利し、安倍内閣が誕生したが、安倍首相(自民党総裁)は、意味のある議員削減を実施していない。
 2012年12月の選挙で政権に返り咲いた安倍自・公連立政権は、2014年12月に再度の無意味な選挙を繰り返したが、議員削減約束の実現に努力しなかったばかりか、14年4月に議員報酬の事実上の引き上げを行った上、最高裁より1票の格差問題で‘違憲状態’の判決を受けている。‘違憲状態’と言われ、あたかも‘違憲’ではないなどと意味の分からない解釈を行っている向きもあるが、違憲が継続している‘状態’を表現しているだけで、違憲は違憲である。
 それでも自民党は議員定数是正に消極的であるので、野田佳彦元首相の今回の国会での追及により、意味のある定数是正が実現すれば、戦後の選挙制度の是正における大きな成果を達成することになろう。
 野田民主党政権は、この他、一般的に不人気な消費増税、及び農業団体に不人気なTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加という難しい課題に道筋をつけ、次の通り、自・公連立政権では達成出来なかった3つの大きな成果を下野して達成したことになる。
 1.選挙制度の是正を約束させた
 議員定数の是正については、衆議院議長の下に有識者調査会が設けられ、議員定数を10減(小選挙区6減、比例4減)などの答申が提出されている。
 与党自民党は、2020年に実施される大規模国勢調査以降に先送りする意向を明らかにしていたが、安倍首相は前倒し実施を支持し、2月19日の予算委で、2015年に実施された中間的国勢調査に基づき小選挙区の区割り見直しが行われるので、答申を尊重し、これに合わせて定数削減を実現したいとの意向を明らかにした。そもそも定数削減を総裁が約束していた自民党が実施を‘2020年の国勢調査以降に先送りする’などとしていることは、国会、国民に対し不誠実であるし、2020年以降に自民が政権の座にあるかも分からないので、また空約束となる可能性が強い。やるやると言いながら、ジェスチャーだけで、政治的な見識と意志が欠如しているように見える。
 これが実現すれば、選挙制度の是正に向けて大きな前進となるが、10減しても衆院定数の2%余りの減にしかならない。これでは議員経費削減の上でマージナルな効果しかないので、意味のある更なる削減を目指すか、議員歳費を諸手当を含め全体で3割減とするなどの措置が必要であろう。歳費を削るか定数を削るかは議員自身が決めればよい。
 有識者答申には、各国との比較で日本の議員数はそれ程多くは無いなどとの記載があるが、議員定数を含む選挙制度の是正については次の3点が主な理由と見られており、見識に欠けるおざなりな答申内容となっている。
 議員定数削減は、消費増税関連法案採択の過程で、国民に負担を掛けるのだから定数削減や議員歳費の削減を行い、議員自身が身を切る努力をすべきというのが、野田首相(当時)の強い意向によるものであった。それに安倍氏が自民総裁として同意したものであり、納税者としては野田元首相の姿勢を評価出来る。
また1票の格差については、長年に亘り最高裁より違憲の状態が指摘されていたのにも拘らず、12年12月に再帰した安倍政権が14年12月に再び総選挙を行ったが、最高裁に違憲の状態とされ是正勧告を行われている。
自 ・公政権は、1票の格差についても、安保法制についても、また昨年秋に臨時国会開催の要請があっても開催しないなど、憲法違反、憲法軽視の政権、政党というイメージが強くなっている。民間活動で法令順守(コンプライアンス)の重要性が指摘されているが、法律を作る側、それを執行する内閣が国の基盤である憲法に違反し、或いは軽視するようでは、全く説得力に欠ける。民間活動でコンプライアンスが軽視されても仕方がないのかも知れない。
また少子化、人口減の中で、議員の質を維持できるかという現実的な問題がある。議員になったはいいが、育休・育メン不倫の議員が出たり、主要閣僚の金銭授受、担当分野の初歩的な知識もない大臣やオバマ米大統領は黒人奴隷の血筋と委員会で述べる議員など、単なる議席を埋めるために議員になったような議員は税金の無駄使いであり、不要である以上に有害だ。地方の声が届き難くなるとの意見もいただけない。東京都など大都市の人口も多数が地方出身であり、また候補も落下傘が多い。そもそも首相は地方出身が圧倒的に多い。1票の格差は、日本の政治を著しく歪めて来ているのではないか。
いずれにしても有識者調査会の答申に従って10議席削減しても、2%余りの削減にしかならず、インパクトは小さい。それさえ実現できないのであれば、政治的意思とリーダーシップが無いと見られても仕方がない。
国会、国民の前で安倍首相(自民総裁)が約束したことを守っていないことは明らかであり、何故これをマスコミや評論家・有識者等が強く指摘しないのだろうか。近時マスコミ力も著しく低下しているように見える。マスコミや評論家・有識者等がビジネス化し、既得権益擁護に傾斜し過ぎているのだろうか。
となると国民は、マスコミや評論、コメント等を厳しく精査し、流されないようにすることが必要になって来ていると言えそうだ。
 2.環太平洋連携協定交渉(TPP)への参加に道を開いた
 TPP協定は、昨年10月‘大筋合意’され、2016年2月4日に日本を含む12か国で署名された。しかしTPP協定交渉の先鞭をつけたのは野田民主党政権であり、2011年11月11日、野田首相が‘交渉参加に向けて関係国との協議に入る’旨表明したことから協定参加への道が開けたと言えよう。
TPPは、基本的に消費者には福音であり、また多くの製品、サービスにとってビジネス・チャンスが広がり歓迎されるが、農業・酪農団体は厳しい姿勢を取っていることから、交渉参加に道を開いたことは野田政権の勇気ある決断であった。一方自民党は2012年12月の総選挙でTPP反対を公約した。ところが安倍自民党総裁は政権に復帰して間もなく、公約に反し2013年3月に交渉参加を表明した。もし野田民主党政権が交渉参加に向けて関係国と協議を開始していなかったら、協定交渉に参加できず、日本の主張が入らなかった可能性がある。安倍政権は選挙公約に反し交渉に参加したが、どの程度日本の主張が入れられたかは今後の国会審議で明らかになろう。だが担当大臣であった甘利議員が金銭授受で辞任したので、後任の石原担当相が説明責任を果たせるのかが課題となると共に、日本の関心が十分に反映されていなければ安倍政権の責任ということになろう。
 3.消費税増税
 8%への消費増税(更に2017年4月より10%へ)は安倍政権の下で2014年4月より実施された。もともと歳入難に悩む自・公両党が消費増税を待望していたが実現できず、野田民主党政権の下で関連法案が提出され、2012年8月、‘社会保障・税一体改革に関する自民・公明両党との3党合意’に基づき国会で採択されたものである。しかし実施は14年4月からとされ、“経済状況を好転させることを条件”とするとの条項が付された。
 消費増税は、バブル経済崩壊後急速に膨らんだ公的債務、恒常的な財政赤字と少子高齢化に伴う年金等の社会保障財源の確保難と質の低下などを考慮すると、多くの国民はある程度は止むを得ないと考えているが、その実施タイミングや税収増の使い方と管理費等の節減などが適正ではないと見ている。
 多くの国民は、消費増税により、財政の健全化が図られる一方、増税分が社会保障費に回され年金を含む社会保障がより充実するのではないかと期待していた。事実は真逆に近い。予算は未だに国債依存で公的債務は膨らむ一方である上、年金は給付年齢が上がり給付額等が低下し、逆に介護保険料が引き上げられ年金給付額の実質減となっている。また社会保障費は全て消費税で賄われるかのように扱われ、従来の予算から浮いた社会保障費の分を無駄な支出に回し、節減などは図られていないように映る。補正予算での低所得の老齢者に対する3万円/人給付がその際たる悪例だ。こんなことでは財政改革、健全化は無理だ。膨大な公的債務を抱えた財政の健全化のためには、人件費を含む管理費を中心とする身を切る節減を図らなければ不可能であることは企業家が一番良く知っている。自・公連立政権はその努力どころか、意思が全く見られない。
 こうして見ると野田民主党政権は、反対も予想される中で、日本の将来にとって重要な施策を果敢に推進したことが見えてくる。少し性急過ぎたのか、民主党自体の分裂を招いてしまったようだが、政治家として日本の将来に必要と思われる政策を毅然として推進したことは与野党を通じて類を見ない。反対論はあろうが、日本の針路を示した実直な政治家として再評価して見る必要がありそうだ。(2016.2.29.)(All Rights Reserved.)

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