経済なんでも研究会

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-12-23 09:12:18 | SF
2018-12-23-Sun CATEGORY: 政治・経済


第7章 終 局

≪64≫ 2100年 = 地球は22世紀を迎えた。早いもので、ぼくが地球に帰還してから、もう39年の歳月が流れたことになる。マーヤのおかげもあって元気に暮らしているが、御年なんと80歳だ。それに気になることがある。

それは左胸のプレート。地球では着衣に隠れて見えないようになったが、裸になれば緑色の≪14≫という数字がくっきり。マーヤの黄色の数字は≪19≫だ。どうやらダーストン国の滞在期間と帰りの宇宙船に乗っていた年月が、ダーストン星の時間で計測されたらしい。ダーストンの1年は168日だから、通算すると6年ほど長くなってしまうわけだ。

このプレートの意味するところが地球上でも効力を発揮するとすれば、ぼくの寿命はあと14年ということになる。ダーストン星を訪れ、ロボットを妻に迎えるという数奇な運命を味わってきただけに、もう思い残すことはほとんどない。しかし“終活”については、そろそろ考えておかねばなるまい。

日本経済は見事に立ち直ったが、政治の世界は相変わらずドロドロしたままだ。カネ余りの恩恵を受けて一握りの大金持ちが誕生する一方で、大多数の国民は苦しい生活を強いられている。この貧富の差が、政治への不満となって現われる傾向は世界共通。だから誰が政権の座についても、長持ちはしない。

そんなとき、肝を冷やす事件が起こった。女性だけで結成した「女の党」が野党第1党に躍り出ると、余勢を駆って政権を獲るため新しい党首を探している。その有力候補に、なんと『二階堂摩耶』の名が挙がっていると、週刊誌が大々的に報じたのだ。

続いて「神の粉を発明して、日本経済を立て直した救世主」とか「摩耶さんが出馬すれば、衆院の過半数は間違いない」とか。さらには「次は摩耶総理。男性の期待も大きい」などという記事も飛び出した。

これは困ったことになった。そんなことになれば、マーヤの生い立ちや学歴、家族関係などが徹底的に洗われるだろう。いったい、どう対処したらいいんだろう。さすがのマーヤも、最近は外出を控えるようになってしまった。

2人で考えあぐねていたとき、ぼくの心のなかには別の心配事が芽生えてきた。ぼくがあと14年後に死んだら、マーヤはひとりで生きて行かねばならない。この地球で、彼女はロボットであることをひた隠しに隠して生きて行かねばならないのだ。そのことも考えてやらねば、ぼくは安心して死ねない。

そして突然のひらめき。決断したら、早く実行しなければならない。

                          (続きは来週日曜日)   

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