経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

東京は大阪の6割高に : 電気料金 (上)

2023-01-31 08:28:08 | 電気料金
◇ 原発の有無で大きな差が発生 = 大手電力会社の値上げ申請が出揃った。値上げを申請したのは、北海道・東北・東京・北陸・中国・四国・沖縄の7社。残りの中部・関西・九州の3社は、値上げしない。申請した値上げ幅が最も大きかったのは北陸電力の42.7%、小さかったのは四国電力の27.9%。北海道と東京は6月から、その他の5社は4月からの値上げを予定している。経済産業省の審議会が査定するが、申請に近い値上げが認められることになりそうだ。

各家庭が電力会社と結ぶ契約には、2つの方法がある。1つは値上げに政府の認可が必要な規制料金方式。もう1つは16年の全面自由化に伴って設置された自由料金方式で、政府の認可は必要ない。規制料金方式で電力会社と契約している家庭は、全体の約7割。今回はこの規制料金が値上げされる。値上げの理由は、言うまでもなく輸入燃料の高騰だ。

東京電力の規制料金契約は約1000万件。その東京電力の場合、平均的な家庭(月260㌔㍗時)の料金は1月で9126円だった。申請通りの値上げが認められれば、6月の料金は1万1737円に上がる。ところが政府が1月から電力会社に補助金を出して、料金が2割程度下がるようにした。このため6月の料金は9917円に。1月に比べると、791円の値上がりということになる。

関西電力など3社が値上げしないのは、原発が稼働してコストが下がっているため。政府の補助金があるため、関西電力の6月の料金は標準世帯で5677円になる見込み。東京電力との差は、なんと4240円にもなる。関東圏の電気料金は6月以降、関西圏より6割も高くなる。しかも政府の補助金は、いまのところ9月分で終了する予定。それ以降は、全国の料金がさらに2割程度も上がることになるかもしれない。

                       (続きは明日)

        ≪30日の日経平均 = 上げ +50.84円≫

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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今週のポイント

2023-01-30 08:03:50 | 株価
◇ ‟鬼の居ぬ間に洗濯”する株式市場 = ダウ平均は先週603ドルの値上がり。前週末から6日間の連騰で、終り値は3万4000ドルに急接近した。景況感指数が悪化したり、巨大IT企業による大量の人員整理が続いたり。悪材料も出たが、市場は気にしない。特に大きな悪材料ではないという認識だ。その半面、昨年10-12月期のGDP成長率が予想を上回ると、素直に反応する。まさしく‟鬼の居ぬ間の洗濯”である。

日経平均は先週829円の値上がり。3週連続の上昇で、この間の上げ幅は1400円に達した。ニューヨークの連騰にも引きずられたが、コロナ規制の撤廃に対する期待が大きい。外国人観光客を含めた個人消費の拡大で、どの企業が儲かるか。市場では、銘柄の物色が続いた。またIMF(国際通貨基金)が日本経済の予測を上方修正したことも、買い材料になった。

FRBは2月1日、政策金利の0.25%引き上げを発表する見込み。ニューヨーク市場は完全に織り込んでいるので、好材料にはなっても悪材料になることはないだろう。ところが、そのころ企業の12月期決算がピークを迎える。もし、その内容が予想以上に悪いと、市場は‟鬼”に直面する。東京市場の決算発表も2月10日がピーク。状況は全く同じだ。

今週は31日に、12月の労働力調査、商業動態統計、鉱工業生産、住宅着工戸数、1月の消費動向調査。1日に、1月の新車販売。アメリカでは1日に、1月のISM製造業景況指数。3日に、1月の雇用統計、ISM非製造業景況指数。またEUが31日に、10-12月期のGDP速報。中国が31日に、1月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお1日に、パウエルFRB議長が会見。

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (148)

2023-01-28 07:52:09 | なし
◇ 「ワクチン射つと死者が増える」という記事 = 世界の感染者は累計6億7071万人、この1週間で158万人増加した。この増加数は前週より45万人少なく、過去最少。死亡者は675万1753人で、週間1万4221人の増加だった。この増加数は前週より566人少ない。感染者は大きく減少したが、それに比べると死亡者の減少はごく僅か。WHO(世界保健機関)も「いぜん死亡者が多いことには警戒すべきだ」とコメントしている。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計110万6524人。この1週間で4238人増加した。次いでブラジルが69万人台、インドが53万人台、ロシアが38万人台、メキシコが33万人台。さらにイギリスが21万人台、イタリアが18万人台、ドイツ・フランス・インドネシアが16万人台となっている。アメリカ・ブラジル・メキシコ・イギリスで増加数が拡大。ドイツの死亡者数がフランスを上回った。

日本の感染者は累計3233万0721人、この1週間で47万9377人増加した。この増加数は前週より30万6040人少なく、昨年11月上旬以来の低水準。死亡者は6万7097人、この1週間で2376人増加した。この増加数は前週より494人少ない。この数字をみて「第8波はピークを超えた」という見方も出ている。政府は「5月8日にコロナの扱いを季節性インフルエンザ並みに格下げ」することを決めた。

感染者の増加数が急減したのは、ほとんどの国が全数把握を止めたために他ならない。ところが死亡者の増加数はあまり減らないから、死亡率が上昇してしまう。日本の有力な週刊誌が「ワクチンを射つと死者が増える」という記事を載せて、読者を驚かせた。これも死亡率が高いという現在の状況を踏まえた分析ではあるまいか。

        ≪27日の日経平均 = 上げ +19.81円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     
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景気低迷の元凶は 貿易の大赤字 (下)

2023-01-27 08:05:39 | 貿易
◇ ‟バラ播き”では何も改善しない = 22年の貿易赤字は、ほぼ20兆円。ちなみに21年は1兆8000億円弱の赤字だった。したがって仮に22年も21年並みの赤字で済んだとすれば、18兆円ものおカネが国内にとどまった計算になる。その大半が設備投資や人件費、あるいは消費に回れば、それだけ景気は押し上げられたはずだ。しかし現実には18兆円ものおカネが、余計に流出してしまった。いまさら泣き言を言ってみても始まらない。

問題は22年の貿易環境が長期化し、巨額の貿易赤字が定着する可能性があること。専門家の多くは「少なくとも23年は大赤字」と予測している。こんな大赤字が何年も続けば、日本人の購買力が海外に吸い取られて、日本経済は衰弱してしまう。だから少しでも赤字を減らす工夫と努力が大切だ。しかし政府は電気・ガス料金やガソリン代の補助に明け暮れ、根本的な対策をとっていない。

エネルギー・資源・食料の輸入を出来るだけ減らすには、自給率を上げるしかない。再生可能エネルギーや原子力の利用、海底資源の開発、食料の増産。こうしたことに、政府は真剣に努力しているのだろうか。また円安が輸入物価を押し上げ、輸入代金を増大させている。円の対ドル相場が100円に上昇すれば、輸入物価は3割ほども安くなる。

だが政府には、日本のエネルギー構造を根本的に改革しようという意識がない。日銀も円高にしようとは考えない。いまは政府と日銀が一緒になって、貿易の大赤字に貢献しているようにみえる。たとえば政府による節電の呼びかけ。いまは「電力不足に備えるため」だが、これも「エネルギーの輸入をできるだけ減らすため」に変えるべきだ。とにかく‟その場しのぎ”の対応ではなく、構造を改善する努力が何よりも肝要だ。

        ≪26日の日経平均 = 下げ -32.26円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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景気低迷の元凶は 貿易の大赤字 (上)

2023-01-26 08:08:25 | 貿易
◇ 年間20兆円のおカネが海外へ流出 = 財務省は先週、22年の貿易統計を発表した。それによると、輸出は98兆1860億円で前年比18.2%の増加。一方、輸入は118兆1573億円で39.2%の増加だった。輸出入額とも過去最大。輸出も健闘したが輸入が4割近くも増えたため、貿易収支は19兆9913億円の大赤字となっている。つまり昨年は、日本から差し引き20兆円のおカネが海外に支払われたわけだ。

東日本大震災によって、日本は深刻なエネルギー不足に見舞われた。このため燃料の輸入が急増。14年の貿易収支は12兆8165億円の赤字となっている。昨年の赤字額は、それよりはるかに大きい。言うまでもなく、ウクライナ戦争の影響でエネルギー・資源・食料の国際価格が急騰。それに円安の影響が加わったことが原因だ。

特に大きく増えたのが、エネルギーの輸入。原油や天然ガスなど鉱物性燃料の輸入額は33兆4755億円で、前年比は96.8%の増加。ほぼ2倍に急拡大した。輸入額全体の28.3%を占めている。このうち原油の平均輸入価格は1キロ・リットル=8万4728円、前年より76.5%高かった。その他の燃料も、同様に高騰している。

貿易赤字の20兆円は、企業や家計が値上がりしたモノやサービスを購入するという形で負担している。それだけ国内の購買力が海外に流出したと考えてもいい。それだけ景気を押し上げる力が減少したとも言えるわけだ。でも「日本はエネルギーも食料も自給できない。だから仕方がないのでは」と考える人は多い。政府も日銀もそう考えているようだが、果たしてそれでいいのだろうか。

                      (続きは明日)

        ≪25日の日経平均 = 上げ +95.82円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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