経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

罰も公表したら : 特殊詐欺

2020-02-29 08:25:11 | なし
◇ キャッシュ・カード詐取が増加している = 警察庁の集計によると、19年中に起こった特殊詐欺事件は1万6836件。その被害総額は301億5000万円だった。このうちオレオレ詐欺は6697件で、前年より2448件減っている。その代りに増えたのが、キャッシュ・カードを封筒に入れさせて騙し取り現金を引き出す詐欺盗と呼ばれる犯罪。3773件で、前年の2.8倍に急増した。詐欺グループも悪知恵を働かせて、イノベーションに励んでいるのだろう。

このほか架空請求詐欺が3546件。還付金詐欺が2383件などとなっている。地域的には首都圏が圧倒的に多く、東京都は3816件で全体の22.7%を占めた。次いで神奈川県、埼玉県、千葉県と続き、第5位が大阪府。金持ちの高齢者世帯が多く、交通の便がよくて受け子が動きやすい地域なのだろう。

摘発された件数は6773件で、前年比1223件の増加。人数は2911人で、前年より74人多かった。件数、人数ともに過去最多となっている。このうち逮捕された主犯格は58人、未成年者は633人だった。大ざっぱに言うと、起こった詐欺事件の3分の1以上が逮捕されており、警察の努力は褒められていい。

未成年者の多くは、カネを受け取りに行く受け子。アルバイト感覚で、つい犯罪に加担した例が少なくないという。そこで一つ提案。警察庁はこうした犯罪者が裁判の結果、どんな刑罰を受けることになったのかを公表したらいかが。もちろん代表的な事例を、いくつか仮名で示すだけ。こうするだけで、受け子になる若者は減るに違いない。

       ≪28日の日経平均 = 下げ -805.27円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】   
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

政府はウソをつくな! : 月例報告 (下)

2020-02-28 07:41:10 | 景気
◇ 景気はすでに下降している = 昨年10-12月期のGDP成長率はマイナス6.3%で、予想をはるかに下回った。1月の輸出は前年比2.6%の減少で、14か月連続の前年割れ。12月の実質消費支出は前年比4.8%の減少。企業の3月期決算予想では、純利益が11%減る見通し。さらに景気動向指数は、昨年12月まで5か月にわたって「悪化」が続いている。これが最近の経済指標。景気の回復を示すものは何もない。

このうちGDP成長率は、この1-3月期もマイナス成長になることは確実だ。アメリカやヨーロッパの主要国では、マイナス成長が2四半期続けば「景気後退」と判定される。日本では景気動向指数が判定の基準となるが、これも「悪化」が続くだろう。景気は明らかに後退局面に入っている。にもかかわらず、政府は「緩やかな回復」という公式見解を出し続ける。なぜだろう。

月例経済報告は内閣府が作成し、安倍首相をはじめ主要な経済閣僚が了承して発表される。ここで異論が出ないのは、経済閣僚たちが勉強不足なのか。もっとも政府が景気後退を認めれば、すぐに景気対策を迫られる。麻生財務相などは、それを嫌うのかもしれない。また景気後退は、アベノミックス景気の終了を意味する。もしかして得意の忖度が働き、それを回避したのかもしれない。

見解の相違という反論もあるだろう。だが、ここまでくると見解の相違ではなく、立派なねつ造、ウソだと言わざるをえない。こんなウソが続くと、国民の多くは政府の公式な見解を信用しなくなるだろう。それでも政府は、いつまでウソをつき続けるつもりなのだろうか。

       ≪27日の日経平均 = 下げ -477.96円≫

       ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

政府はウソをつくな! : 月例報告 (上)

2020-02-27 08:03:24 | 景気
◇ 「景気回復」は国民への欺瞞 = 安倍内閣は、いぜんとして「景気は回復中」の判断に固執している。政府の正式な景気判断を示す2月の月例経済報告をみると、景気の現状について「輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している」と、なんとも矛盾に満ちた表現。連日のように景気の悪化を示す経済指標が発表されているなかで、なぜ「景気は回復中」と言い続けるのだろうか。

月例報告の中身をみると、企業の設備投資、収益、輸出、生産の各項目については、いずれも「弱含んでいる」と認めている。しかし個人消費は「持ち直して」おり、雇用情勢は「改善している」と断定した。つまり個人消費と雇用情勢のプラス要因が、生産や輸出などのマイナス要因を上回っているから、全体としては「緩やかな回復」と主張しているわけだ。

だが、この理屈にはムリがある。個人消費は増税の反動減から立ち直る過程で、持ち直すのは当たり前。しかし増税前の水準に戻るほどの勢いはない。加えてコロナ肺炎の悪影響。訪日外国人が減少しただけでなく、イベントや旅行のキャンセルなど日本人の消費活動も抑制されている。それなのに「景気は回復中」と宣伝する神経は、不可解だ。

人手不足で失業率も最低水準に。たしかに雇用情勢は改善している。だが、これは経済活動に携われる生産年齢人口(15-64歳)が減っているためで、景気が良いからではない。生産年齢人口は1997年の8700万人から、現在までに1100万人も減っているのだから、人手が不足するのは当然。失業率が上昇し始めたら、それは景気が相当に悪化したときだろう。

                               (続きは明日)

       ≪26日の日経平均 = 下げ -179.22円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見透かされた G20財務相・総裁会議

2020-02-26 08:16:40 | なし
◇ アザ笑うように株価は全面安 = サウジアラビアの首都リアドで開かれたG20(主要20か国)財務相・中央銀行総裁会議が23日、共同声明を発表して閉幕した。会議では新型コロナ肺炎が世界経済に及ぼす悪影響が大きなテーマに取り上げられたが、共同声明は「世界経済のリスク監視を強化する」「全ての利用可能な政策手段を用いる」と表現されただけ。なんとも具体性のない内容になっている。

G20会議は世界経済のグローバル化が進み、新興国の経済水準も向上してきたことから、先進国と主要新興国が一緒に話し合う場を設けるために設置された。財務相・総裁会議は1999年に発足している。しかし先進国と新興国の意見がしばしば対立し、意見の一致をみることは少なく、その存在意義を疑問視する声も少なくない。

ただ今回の会議では、先進国と新興国が対立したわけではない。世界経済が悪化した場合、景気対策を打ち出すのは先進国が主体となるが、その先進国には財政支出を増大したり、金融を緩和する余裕がない。このため共同声明でも「利用可能な政策」とは書いたが、「財政」とか「金融」とか具体的な政策には言及できなかった。

はたして週明け24日のニューヨーク市場では、株価が1000ドル以上も暴落した。ヨーロッパやアジアの株価も一斉に大きく下落、世界同時株安の様相を呈している。G20会議では「コロナ肺炎の世界経済に与える打撃を再確認したものの、具体的な対策を打ち出せるはずはない」と、市場が断定したかのようだ。G20会議にも肺炎が伝染し、集中治療室に搬送されたようである。

       ≪25日の日経平均 = 下げ -781.33円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週のポイント

2020-02-24 07:34:37 | 株価
◇ 天井が見えた株式相場 = 円相場が久しぶりに大きく動いた。ニューヨーク市場では20日、対ドル相場が112円台に下落。10か月ぶりの安値となった。これはアメリカ経済の堅調が続く一方で、中国市場への依存度が高い日本やヨーロッパの景気が悪化したためだと解説されている。ところがドル高にもかかわらず、ダウ平均は先週406ドルの値下がり。円安にもかかわらず、日経平均も301円の下落となった。

ダウ平均の反落は、中国経済の混乱が世界経済に与える悪影響が無視できなくなったため。日経平均の続落も、コロナ肺炎の蔓延が止まらないことへの警戒感が主因だという。つまりアメリカでは国内経済の堅調、日本では大幅な円安という好材料よりも、肺炎の脅威が上回ったことになる。

これでダウ平均は、当面の目標だった3万ドル載せから少し遠ざかった。日経平均も2万4000円台の回復は、難しくなった。もっとも投資資金はあり余っているので、下げれば押し目買いも入るだろう。しかしアメリカや日本が想定外の景気対策でも打ち出さない限り、大幅な反発は期待薄だ。日米の株価には、天井が見えている。

今週は25日に、1月の企業向けサービス価格。28日に、1月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは25日に、12月のFHFA住宅価格と2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。26日に、1月の新築住宅販売。27日に、10-12月期のGDP改定値、1月の中古住宅販売。また中国が29日に、2月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>