一緒に歩こう♪

ぺぐ+ぽん → ぽん+ちゅう太 →ちゅう太+銀太

エ ソラ 

2018年08月26日 | Weblog

8月3日。

それは毎年の大花火大会の日。

ぽんちゃんは私の腕の中から大空へと昇っていきました。

 

 

 

猛暑の夏。

だからいつもより強めに設定したエアコンの部屋で

ハァハァと荒い呼吸に擦れた音が混ざる。

これは変だなと診て頂いた獣医さんが心肥大を確認し、お薬を下さったのが7月23日。

今まで病気などしたことのない彼だったから

よもやこれが激流の下りはじめなどと、まったく考えもしなかった。

 

 

たっぷりと頂いた薬を飲みながら、いつもと同じ生活が続く。

食いしん坊は生まれつき。

 

お掃除のモップを楽しく追いかけるのもいつも通り。

だけど彼の荒い呼吸は治まらない。

 

7月27日。

再び獣医さんに診て頂き、症状を告げると

『今までのお薬をそのまま続けて、そして自宅用に酸素ハウスを検討してください』

と、言われた。

渡された酸素ハウスのカタログを受け取り

なんだかポカンとした頭のまま、帰宅する。

 

夜になって、ようやく酸素ハウスと言った獣医さんの意図に気が付く。

気持ちがザワつく。

 

翌々日、届いた酸素ハウスに入ったぽんちゃん。

私の指示するまま、素直に入ってくれた。

 

食いしん坊は健在で、それが安心材料。

 

流れは、より加速する。

 

肥大した心臓のために利尿剤が投与され、だから彼は喉が渇く。

水を飲む度、体が酸素不足になって呼吸が苦しい。

 

だけど彼は慣れたいつものハウスに戻りたがる。

お願いだから酸素のハウスに入って!

 

でも、まだこの頃はお散歩に出ても

しっかりとした足取りでコースのニオイチェックも怠りなく

イキイキとした笑顔も見せてくれていた。

 

7月31日。

食いしん坊の彼はいつものように朝食を食べにお茶碗へと走る。

ご飯だぁーーーー!

大きな口をあけてガブリ食いつく。けど、ごはんが口に当たったところで動きが止まった。

口に入れられない。

ご飯を前に立ち尽くす。

彼が初めて見せる姿だった。

ごはんに水分を足して緩めてあげると、どうにか完食した。

これが、十数年間、うまい!うまい!!と食べ続けた私の手作りごはんの終わり。

 

その日の夕食は、やはり駆け足で向かったけれど

ご飯を一口も口にできず突っ立っている。

指ですくって口に塗ろうとしても、ソッポを向く。

もう何でも良いからと食べられるものをさがしたら

茹でた鶏肉やアイスクリーム、スイカなどを食べてくれた。

 

ぽんちゃんの胃袋は鉄の胃袋と。

ぽんちゃんの胃液は何でも溶かすと。

食べ物ではないものを食べても下痢もせずにいた彼だから

つねづね家では『彼がご飯を食べなくなったら』と言っていた、その日がやってきたのだと

私は…決められない覚悟を思い浮かべる。

 

激流は、更に加速する。

 

8月1日。

水が飲みたい!喉が渇く!水!!

水をガブガブを口にすると次の瞬間、酸欠で彼の頭は270度回ってぶっ倒れる。

彼が水を飲みだすと、私は倒れる彼を受け止めるべく両手を差し出し

そして受け止め、抱きしめる。

これはこの後、給水するたび続くこととなった。

 

倒れた彼は抱きしめて体をトントン叩けばすぐに戻って

何だかちょっとイイ顔でハァハァしている 。

苦しいはずなのに、ご機嫌なようにも見える。

動物なのに自分の状態が把握できてないのか?

 

獣医さんに電話をし、連れて行ったら何かできることは?…と聞いてみた。

ここに来ることが負担なはずだから、お家の酸素室にいたほうが本人も楽であろう。 と。

 分かってはいたけれど…宣告。

 苦しむ彼になるべく居て欲しいと思うのは私のエゴとわかってる。。

 

 

8月2日

気が付けば今日は花火大会の初日。

街は落ち着きのない様子。

我が家は祭りどころではないが、落ち着きのないのは一緒である。

朝の涼しい時間にカートに乗せて外に出し、オシッコをする。

帰り道いつもオヤツをおねだりに行っていたおばあちゃん家に、どうしても行くと言う。

いつも通りにオヤツを貰って、帰宅。

いっぱいいっぱいの彼ではあるが、足取りはしっかりしているしオツムも冴えてる。

 

酸素ハウスはぽんちゃんの体温で暑くなるので、凍ったペットボトルを入れて温度を下げる。

湿度が高いと暑いし、低いと乾燥で呼吸が苦しい。

スポンジに水を浸して、湿度調整をする。

一秒でも多く楽に過ごせる時間を増やしてあげたい。

私にしてあげらえることは他にないのだろうか。。

 

8月3日。

今日、また朝が迎えられたことにホッとする。

今夜遅くに娘が東京から帰宅する。

がんばれ!

 

今日も早朝に外に出て、ほんの少しだけオシッコをする。

思うように水も飲めないからオシッコもでないよね。

思い切り水を飲ませてあげたい!!

私に資格があって自宅で点滴をしてあげられたらなどと

考えても仕方のないことを考える。

 

オヤツのおばあちゃん家は…今日は行かなくて良いのだそうだ。。

辛そうな様子。

そして水を飲んでは失神を繰り返し、私の腕の中で目が覚めてはヘラヘラしている。

何をどの程度感じているのだろうか?

 

 

午後。2時すぎ。

様子が変わる。

彼は私の腕の中で何度が気を失い、覚醒し

そのたび、とても強い眼差しで私に訴えた。

何度も訴えた。

それはそれは切ない、真剣な眼差しで訴えた。

何度も何度も何度も。

 今まで見せたことのないほどの、重い眼差しで。

 

そして、こと切れた。

肥大した心臓が最後に ズズン。。。ズズズズン。。彼を支える私の手のひらを打った。

 

 

これは絵空事か。

 



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