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ブルターニュ紀行 13 < フランス北西の玄関 ブレスト > 荒海の地の静かな港

2021-02-26 00:18:47 | 素晴らしき世界/フランス/ブルターニュ
巻頭写真 : Océanopolis (水棲動植物館)の「ホッキョクグマ」

荒海と信仰とケルト文化と巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れよう
13


ブルターニュ半島の最西端は
大きく分けて
南北に三つに枝分かれしている
その一番北の部分と中央の部分とに挟まれて




それぞれの海岸線は土地が非常に不規則に千切れていて
北と南の大きな枝に守られて
真ん中に嵐から守るように地形に囲い込まれた港がある
『Brest ブレスト』


港まつりに集った帆船の一隻

まずブルターニュの天候の特徴を理解して欲しい
特に冬季に大西洋上に巨大低気圧が発達し
左回りの腕の先端が
フランス北西の先端の角『ヴルターニュ』をかすめてゆくことが多いのです

photo by ⒸNASA Worldview

右端に離れた逆くの字の白い部分がブルターニュ辺り

年に数回の大潮の際に悪天候での満潮時には『サン・マロー』の海岸通りなど
こうなります



そんな条件下で
『ブレスト』の位置は二重三重の防護をまとった港として
フランス北部の軍港としての役割を不動のものにしてきました

1637年ルイ13世の御代宰相リシュリューが軍港を開く
1857年ナポレオン3世の援助で商業港が開設



フランス海軍探査ヘリがいたりします





乾ドック 1

乾ドック 2

乾ドック 3

『Atelier des Capucins 旧海軍工廠』

ここ「カプサン会」の丘に17世紀末にヴォーバン元帥の手で僧院ができ
革命中に革命政府海軍兵舎が入り
1841年に『フランス海軍工廠』となり2004年まで使われた
その後
複合文化施設に転用

車やトラムでもいけるが
ロープウエイで行く事が好ましい
港を鳥瞰できる




鉄を溶かす「溶鉱炉」やあらゆる工作機械が撤去された
建屋の一つ

2011年に土地ごとブレスト市が買い取り
衣替えが行われた結果


上の写真の建屋はこうなり


「美術館」「文書保存館」
「IT図書館」「音楽学校」「劇場」
などが入った複合文化センターとなった

ホールでのダンスのパフォーマンス

IT図書館の閲覧室


カフェ

外のテラス




ところで
湾に面する広大な港湾施設から
ドックや工廠などのある内港に入る左右に
昔からの塔と城塞とが残っている


左に『Tour Tangy タンギィの塔』
右に『Château de Brest  ブレスト城』の石垣
が見える

『Tour Tanguy タンギィの塔』

百年戦争序盤の1380年代終わりにブルゴーニュ公爵ジャン4世が
ブレスト城を占領していたイングランド軍に対抗するために建てた2つの塔の一つ
イングランド軍ランカスター公爵に破壊されたがより強固に再建
90年代にイングランド軍は退却し
その後塔は地元の武将タンギィ家の手に渡り
以来この名で呼ばれる
1980年代に市が購入し大改修を行って現在は市の歴史博物館

城下埠頭

港まつりの日

「タンギィの塔」から「城」を見る

「城」から「タンギィの塔」をを見る

『Tours de Paradies 天国の門』という名の大手門


「天国の門」を内側から見ると平になってる

中庭
城の中は「海洋海事博物館」になっている



イヴ・コレ作『海神ネプチューン』
イヴ・コレは18世紀後半から19世紀前半に活躍した
ブレスト生まれの彫刻家

1930年代の大型駆逐艦『ヴォークラン号』の操舵パネル(本物)



潜水艦 POCHE S 622
この港湾警備用小型潜水艦「ポッシュ型」は4隻建造され
この『S622』は
アメリカ海軍の要請により米国に貸し出され
サンディエゴで60回ほどの作戦行動を行ったのち
戦後フランス海軍に返還され
一般広報用に放出されたもの





ブレストは
対戦中占領していたナチス・ドイツ軍に対抗する米国の空爆などで
かなり被害を受け
街中は再建されて新しい

市役所前を走るトラム



『ブレスト大学文学部・尋問科学部校舎』

文化財級の建物といえば

『Maison de Crosnier クローニエ館』
アールヌーヴォー期の建築で
ブルターニュの二箇所の産地の花崗岩と
一箇所の石灰岩(非常に少ない)と煉瓦とで建てられている


『Maison de la Fontaine 泉の家』

ブレスト周辺でもっとも古い家の一軒
17世紀末から18世紀初頭にかけての建築



かつての海軍兵舎の一部にあったポルシュの名残
移築されて海岸同地にある


海軍工廠になる前の
最初の僧院時代の神学校の門

ところで
新しいものといえばこれも是非あげておかなければならない
『Océanopolis 水棲動植物館』


ここは
古典的な意味での水族館に
水棲動物と熱帯雨林やマングローブなどの水棲植物を集めた部分とを融合させた
大規模「ライブ・ミュージアム」なのです


このような伝統的な水槽から
巨大水槽
大型小型魚類
烏賊・蛸・蟹・海老・雲丹・磯巾着・海月・ウミガメ
などなど
さらに
イルカ・ペンギン・アザラシ・ジュゴン
果ては
ラッコ・ホッキョクグマ
に至るまで何でも取り揃えて皆様のお越しをお待ちいたしております
なのです




















もちろん
このブレストは軍港だけではありません

まず新造民間船の進水前の艤装ではフランスで一番の扱い高ですし
商業港としての機能も大きい
大型客船も来る
プレジャー・ボートの停泊数も大きいんです



最後に興味深いものを一つご紹介しておこう
『ブレスト地下火力発電所』


戦後間もない頃
ブルターニュの発電量が需要に対して下回るようなことがあるときの
緊急給電ようとして火力発電所を計画した
戦争体験から
その発電所を破壊から守れるように
岬の岩盤を掘り抜いて「地下発電所」にした
建設はフランス海軍の協力のもと1947年から1951年にかけて行われ
1961年に
外側にガスタービン発電機を増設(写真で分かるとおり)
主な顧客がブレストの海軍工廠だったことからも
「地下式」などという難工事を選んだ理由が推測できる

1986年で操業停止となった

おまけ

『Joseph William Turner " Port of Brest The Quayside and Château』1826〜28
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