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アール・ヌーヴォーをたどろう 7 <ガラス工芸を超えて 家具調度品への広がり>

2020-08-05 05:34:08 | 素晴らしい世界/美術
エミール・ガレのランプ


ナンシーに居を構え
精力的に創作活動に勤しんだ作家は他にも大勢おりますが
日本人に一番有名な人はギャレかもしれませんね

  


あまりにも投機の対象として求められてきたので
おそらく最も「贋作」の多い作家とも言われています

そんな彼らは
何もガラス工芸だけにとどまっていたわけではなく
室内を飾るいろいろな分野の工芸にも手を伸ばしました

何しろ
このようなガラス工芸を旧来のつくりの部屋に飾っても
あまりそぐわない
そこで
才能ある彼らは
陶磁器
彫金細工
そして「寄木」など木工の家具調度品の製作へと
手を広げて行きました

もちろんその逆もあります
木工細工師が
それ以外の分野にもという

そのナンシーの街に
優美な家具の工芸家として名を成した『ルイ・マージョレル』
という作家がいて
その彼の館が博物館として公開されています

陶製ストーブ


マージョレル館 全景

もちろん「館」自体も『ルイ・マージョレル』本人の設計になります


室内装飾品を製作し
それを飾るべく「器」としての部屋全体(壁の細工等)を手がけ
ついには建築まで手掛けてしまうのです

それで『アール・ヌーヴォー』が
社会的様式としての完成を見ることになりました。


マージョレル邸内部は
こんな感じ





そのアールヌーヴォー様式の家具の
頂点を極めたルイ・マージョレルのベッドに
最もその様式の真髄である「植物のバイオ曲線」を理解することが出来ます

樹木のような硬い幹や枝ではなく
草の茎の先端に花が咲き身を結ぶと
その重みで
茎全体がしなやかにたわんで行く

その曲線を基本とすることが家具調度品から始まって
建築物の細部の基本となって行きました




ベッドのヘッドボードの下から左右の上部に伸びる曲線
その先端の
開き始めている「しんなり」した蕾


パリの地下鉄の入り打ちを作った『ヘクトール・ギマール』の細工にも
同じ思想がはっきりと表れています




ジャポニズムの影響が、こういう形で花開いたわけですね

そのベッドの脚部にも
同じ曲線と開きかかった若芽と蕾とが
ブロンズ細工であしらわれています




同じモチーフながら
ブロンズは使っていないややシンプルに見えるベッドは
ナイト・テーブルが支柱がテーブル面をくりぬいた穴を通り抜けて
「一体構造」で作られれいます









そして、同じパターンのデスクも



ベンチもタブレットを微妙に削り出して局面に仕上げてあります




ここの家具調度品を製作して配置するだけにとどまらず
部屋全体の壁の構造も同時に製作し
複雑な曲線の組み合わさった梁や小柱などで作り出す「違い棚」や
壁の前に作りつけられた大型の「ワインクーラー」と
全体設計でなければ成しえない造形美を生み出しました
(写真ではワインクーラーは写っていません)



壁掛け式のキャビネット

最後に
外観の玄関口や窓の装飾もあげておきましょう

   


   



【おまけ】

マージョレルばかりでは何ですから
ベルギーの著名な作家『オルタ』の作品も少しあげておきましょう

ブリュッセルの彼の邸宅が
『オルタハウス・ミュージアム』として公開されています






   


   


   


   


次回は「建物」自体をご紹介します

<続く>


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