お城前に設置されている 怪獣『タラスク』
アヴィニヨンの横を流れるローヌ河本流が
西南西に30kmほどで
アルルの横に至る
その中間点あたりの
左岸に『タラスコン』右岸に『ボーケール』
という二つの町が
ともに川岸に巨大な城を構えて
向かい合っている
この『タラスコン』には
伝説あり
その昔『タラスク』という怪獣が
毎年現れては町人を喰らい収穫を荒らし
多大なる厄災をもたらしていた
それを「マルト」という少女が退治して
『サント・マルト』
と聖女に列せられたそうな
『タラスクを討ち果たす聖マルト』パオロ・ウッチェロ
16世紀ルネサンスの巨匠が作品に残している程
この『タラスク伝説』は
昔から有名だったようだ
19世紀のレリーフ
まずお城ですが実に
威風堂々
ローヌの対岸から見た『タラスコン城』
川岸からの城の横顔
正面に行くと
まさに「胸衝く」という形容がぴったりの頑丈な威容に足がすくみそうになる
本丸というか
天守というか
中核となる躯体は平面図が正方形で四隅に丸い塔
この手の城塞は
敵の攻撃による内部へのダメージを最小限に抑えるために
外壁には窓は最低限度しか開けなかった
ここに見える窓の大半は
戦国の世が終わった後に開けられたもの
お約束の
戦国時代の城の構造ですから
中庭も正方形の筈
場内に入るには
空堀の橋を渡る
四角い本丸と
それに接して作られているであろう庭を囲む城壁
の境目あたりから入ることになる
庭園はこんな感じ
本丸の中に入ると
建物の高さに対して中庭が狭いので
見通しがききにくい
しかし
内側にはさすがに窓が多い
そして
本丸の中はほとんど何もない
地元の若手画家の抽象画の展示があったりするだけ
最上部まで登ると
庭園を上から見下ろせる
ちょっと角度を変えると
ローヌの流れも目に入る
ところで
毎年八月が『タラスク祭り』
『山車(だし)』に当たるタラスクが
当日まで
お城に「つながれ」ています
それで
いい年のおじさまがたが
必死の形相で駆けずり回るのは
世界中
どこの祭りも同じでありまして
こうなるわけでございます
祭りが終わると
次の年まで町のフェスティヴァル・センターに飾られます
でも
実は『タラスク伝説』は
ヴァレンシア
あたりにもあるらしい。。。
しかし
発祥の地はタラスコンだから
名前がタラスク
なんですけどね
街中に
聖女マルト
に献堂された教会堂があります
16世紀建設の市役所にも
正面中央の上の方に
聖マルトが飾られています
町自体は
祭りの時期を覗くと極めて静かです
お約束のアーケードもあり
アーケードの中
こんなカラフルな家並みも楽しめます
この色彩感が
『プロヴァンス』なのです
タラスコンの街自体
取り囲んだ城壁が少し残っていて
要所要所に城門が保存されている
町の中央門に当たる
『コンダミーヌ門』
そして
『南の門』
※
では
せっかくですから
対岸の『Beaucaire ボーケール』にも
行ってみましょうか
対岸のタラスコンと違って
ここ
ボーケールの城は
河岸ではなく背後の高台にあります
高台の方が責められにくく
防ぎやすい
タラスコンの側には
残念ながら高台がないのです
だから
城自体を極めて頑丈に作った
こちらの城は完全に廃墟
城山も
この辺り独特の石灰台地
タラスコンからローヌを渡ると
町はローヌから水路を引き込んで運河となり
港町になっています
昔は
多くの物資を輸送する手段は船しかなく
ヨーロッパ全域に
大河を結んで運河網が発達しています
写真奥の道路が高くなっているのは
ローヌを渡る橋につながるからです
その後貨物列車が登場し
今の時代はトラック輸送が主体ですから
港は
プレジャー・ボートの係留値となっています
伝馬船も
すでに運搬用ではなく
ローヌ巡りのクルージング用か
船上生活用の住居
ところで
ここ『ボーケール』は
郊外に
ユニークな修道院の廃墟があります
岩山を掘り抜いて構造体とし
細部に切石を積んだ
中東のキリスト教修道院や
中央アジアの仏教遺跡
の様な形式
『Abbaye St-Roman 聖ロマン大修道院』
石を
必要な位置毎のブロックに切って積み重ねる
普通の建設方式も大変ですが
岩盤を
削り抜いて形にして行くのも
気の遠くなる様な工事であったことでしょう
そして
極め付けは
墓地
石で棺を作るのではなく
岩の盤面に
棺の形でくり抜いて
修道僧たちを葬ったのです
初期中世の修道院は
世俗の世界を断ち切って修行に没頭するために
人里離れた場所に造られた
切り立つ峰に頂上や
降りる道とてない深い谷の底とか
人の住まない礫漠などに
この様に
岩山の横っ腹をくり抜いて
など。。。
すごいと思われませんか?
では
次回をお楽しみに
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